投資にご興味がある方であれば、一度は「個人向け国債」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
そもそも国債とは、国が国内で発行する債券のことを言います。その中でも個人向けである「個人向け国債」は、1万円という少額から投資することができることと、リスクが低いなどの理由から人気を集めています。
しかし、投資である以上リスクはつきものです。個人向け国債を上手に活用するには、商品の仕組みやメリット・デメリット、購入する際の注意点など詳しく把握しておくことが大切です。
そこで今回は、個人向け国債投資を始める前に知っておきたい事項をまとめました。具体的には以下の通りです。
- ・個人向け国債とは
- ・個人向け国債のメリットとデメリット
- ・個人向け国債の種類
- ・個人向け国債の買い方
- ・新窓販国債とは
初めての投資として、または分散投資の対象として、これから個人向け国債を検討されている方のご参考になれば幸いです。
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目次
1、個人向け国債とは
(1)そもそも国債とは
国債とは、「国庫債券」の略で、国が国内にて発行した債券のことを言います。国が国民の生活を豊かにするために負う債務(借金)という側面もあります。
(2)国債が発行される背景とは
国は国民の生活を豊かにするため、空港、美術館、道路など色々な施設や設備をつくります。これらの建設費用は通常われわれ国民が支払っている税金から支出しますが、それだけで足りなくなった時は、国は債券を発行します。民間からお金を借りて国家を運営するのです。つまり、国債を発行することは国がお金を借りることを意味するのです。
(3)個人向け国債とは?7つの特長
個人向け国債とは、個人の投資家が国債という債券を購入(所有)することで、債務者である国から利子をもらうことができる制度で、その利子が投資の利益になります。
個人向け国債について大きく以下のポイントをおさえておきましょう。
- 元本保証
- 年率0.05%という最低金利保証がある
- 1万円から購入可能
- 毎月購入可能
- 利息は半年ごとに受け取ることができる
- 発行されて1年後に途中解約可能
- 買い付け手数料がかからない
2、個人向け国債のメリットとデメリット
では、個人向け国債を購入するにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
以下にて詳しく書いていきますので、参考にしてみてください。
(1)個人向け国債のメリット
まず、メリットについてみてみましょう。
大きく以下のようなメリットが挙げられます。
- ①低リスクの投資商品である
- ②少額から投資することができる
- ③買い付け手数料がかからない
では、それぞれについて詳しくみてみましょう。
①低リスクの投資商品である
個人向け国債は、株式や為替などの投資商品と比較して、リスクが低い投資商品だと言われています。
なぜならば、国債は国が発行している債券であり、その債務者である国が破綻するリスクは低いからです。
また、銀行などの金融機関が万が一破綻した場合、預かっている貯金に対して「1人あたり1,000万円までの元金とその利息のみ保証する」というペイオフ制度(※)により保証金額の上限が制限されていますが、国債は「保護預り分」として日本銀行などで分別して保管されているので、たとえ金融機関が破綻しても確実に全額を返してもらえます。つまり、元本保証されているのです。
また、元本保証されているだけではなく、年率0.05%という最低金利保証もあります。マイナス金利が継続し、銀行の普通預金金利が0.001%という経済情勢にあって、個人向け国債は安心して投資できる商品と言えるでしょう。
※ペイオフ制度とは、万が一金融機関が破綻した場合、預金保険機構より預金者に預金の払い戻しを保証する制度のことを言います。しかし、保証額は「1人あたり元金1,000万円までとその利息のみ」と制限が設けられています。
②少額から投資することができる
通常の国債は5万円から5万円単位で購入する必要があるのに対して、個人向け国債は「1万円から1万円単位」で購入することができます。少額投資が可能なのです。その点で、国債や債券投資にご興味がある初心者の方に適している商品と言えるでしょう。
また、毎月購入することができるので、つみたて感覚で「1万円ずつ毎月購入する」ということも可能です。毎月購入することができれば、半年後からは毎月利息を受け取ることができるということになります。
③買い付け手数料がかからない
最近は少額からできる投資商品が増えていますが、投資家が何らかの手数料を負担しなければならないものがほとんどです。その点、個人向け国債は買い付け手数料がかからないというメリットがあります。
ただし、金融機関によっては個人向け国債を含む国債のための口座に「口座管理手数料」がかかるところもあるので、注意が必要です。
(2)個人向け国債のデメリット
続いて、デメリットについてみてみましょう。
大きく下記のようなデメリットが挙げられます。
- ①発行してから1年間は解約することができない
- ②途中解約をする場合「中途換金調整額」がかかる
ではそれぞれについてみてみましょう。
①発行してから1年間は解約できない
個人向け国債は発行してからの1年間は、万が一急遽現金が必要になっても途中で解約することができません。従って、国債を購入する際、手元に十分な現金を残しておくよう注意すべきでしょう。
②途中解約をする場合「中途換金調整額」がかかる
個人向け国債は発行してから1年が過ぎれば途中で解約することができます。
解約するのに手数料はかかりませんが、「過去に支払われた直前2回分(1年分)税引きする前の利子金額×0.79685」という中途換金調整額が差し引かれます。もっとも、基本的には中途換金調整額を引かれても元本割れにはなりません。
解約する場合の返金額は下記の計算式にて算出することができます。
「投資元本+経過利子相当額−中途換金調整額」
例えば、変動金利10年の商品を中途換金した場合下記のイメージになります。 出典:財務省「中途換金シミュレーション」
具体的に中途換金する場合の返金額を知りたい方は、財務省の「中途換金シミュレーション」を利用してみてください。
3、個人向け国債の種類
続いて、具体的に個人向け国債の種類についてみてみましょう。
個人向け国債は全部で以下の3種類があります。
- (1)金利変動・10年
- (2)金利固定・5年
- (3)金利固定・3年
では、それぞれについてみてみましょう。
(1)金利変動・10年
まずは、変動金利10年の商品についてみてみましょう。
①概要
金利変動10年の商品は、半年ごとに適用利率が変動します。金利が変動することによって、その都度受け取る利子の金額が増減します。
金利変動のイメージは下記の図を参考にしてください。
出典:財務省
②適している人
金利が変動する商品なので、金利上昇時の対策(インフレ対策)をしたい方に適している商品と言えるでしょう。
(2)金利固定・5年
続いて、金利固定5年の商品についてみてみましょう。
①概要
金利固定5年の商品は、発行時に設定された利率が満期まで適用されます。利率が一定していることから投資プランがわかりやすいのが最も大きなメリットです。
金利固定5年の金利イメージは下記の図を参考にしてみてください。
出典:財務省
②適している人
金利が固定していることから、金利が変動するリスクを避けたい方に適している商品と言えるでしょう。また、期間が5年間と少し長いので、手元に少しお金の余裕がある方がよいのではないでしょうか。
(3)金利固定・3年
最後に、金利固定3年の商品をみてみましょう。
①概要
金利固定3年商品は、商品が発行してから3年間金利が固定します。
金利固定3年の金利イメージは下記の図を参考にしてみてください。
出典:財務省
②適している人
こちらも金利が固定していることから、金利が変動するリスクを避けたい方に適している商品と言えるでしょう。また、期間は3年と比較的短めになりますので、3年後の資産組み換えもしやすい商品と言えます。
(4)個人向け国債 シミュレーションもできる
商品ごとに金利や所有期間が異なりますので、どの商品を選んだらいいのかと迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その場合、ぜひ財務省の「購入シミュレーション」を利用してみてください。
まず国債の種類を選んでから投資予定金額を入力すると、適用金利や受取利息が確認でき、より具体的な投資プランをシミュレーションすることができます。
4、個人向け国債の買い方
では、個人向け国債は実際にどこから購入すれば良いのでしょうか。
(1)個人向け国債を買う手順
個人向け国債は紙などは発行せず、口座上の記録で管理します。
そのため個人向け国債を始めるには、前提として金融機関にて国債の取引をする口座を開設する必要があります。
大きく以下の流れで始めることができます。
- 個人向け国債の取扱い金融機関を確認する
- 口座管理手数料の有無など詳しい内容を確認する
- 口座を開設(必要な書類:免許証など本人確認できる証明、印鑑)
- 国債の購入を申し込む
取り扱い金融機関一覧は財務省の「取引金融機関一覧」を参考にしてみてください。
なお、財務省のページでは、下記の3つの一覧から探すことができます。
- 全ての取扱い金融機関一覧
- 都道府県別取扱い金融機関一覧
- インターネットなどによる購入対応可能な取扱い金融機関一覧
金融機関によっては、夏・冬などボーナスの時期に「個人向け国債 購入キャンペーン」をおこなっているところもあります。「50万円以上の購入でキャッシュバック」など、まとまった金額を投資する方向けですが、こうしたキャンペーンも上手に利用したいですね。
(2)個人向け国債は毎月購入できる
個人向け国債の発行は、以前四半期毎に募集を行っていましたが、販売促進の目的で、平成25年12月以降は毎月募集・発行するようになりました。
具体的な発行スケジュールは、財務省の「個人向け国債発行スケジュール」を参考にしてみてください。
(3)受取利息にかかる税金は?
金融商品の利息を受け取る際に税金が引かれるのは個人向け国債も同様です。
購入の半年後から利息を受け取ることができますが、受取時に20.315%の税金が差し引かれます。上記のシミュレーションは適用金利「税引き前」での計算結果なので、実際の手取り金額とは異なります。
5、新窓販国債とは
(1)そもそも新窓販国債とは?
新窓販国債とは、個人向け国債以外で個人投資家が購入できる国債のことを言います。
購入者に対する制限はなく、法人や組合などの名義で購入することもでき、月1回発行されています。
商品は、
- 2年満期
- 5年満期
- 10年満期
の3種類から選ぶことができます。
(2)新窓販国債の買い方
新窓販国債も個人向け国債と同じように、金融機関にて口座を開設する必要があります。
取扱い金融機関については、財務省の「新窓販国債取扱金融機関一覧」を参考にしてみてください。
(3)新窓販国債の発行スケジュール
新窓販国債は毎月発行されています。
詳しい発行スケジュールについては「新窓販国債発行スケジュール」を参考にしてみてください。
(4)新窓販国債と個人向け国債 違いは?
新窓販国債と個人向け国債のどっちの商品が自分に適しているかと知りたい方もいらっしゃるでしょう。
2つの商品の内容を以下の通り一覧表にまとめましたので、商品を選ぶ際に参考にしてみてください。
まとめ
今回は個人向け国債について書きましたがいかがでしたでしょうか。
国債を購入することも投資の一つです。元本保証されていて少額から購入できる個人向け国債は投資の初心者にぴったりの金融商品であるだけではなく、投資信託などすでに投資を始めている方にとってもリスク分散のためにおすすめできます。
この記事が個人向け国債を検討される際のご参考になれば幸いです。