不動産投資用に区分マンションを購入する際、物件選びで立地とともに重要になってくるのが間取りです。
実際、国土交通省が平成27年度に実施した「住宅市場動向調査報告書」のP105では、回答者の73%が「マンションの設備において間取りを重視する」と答えています。
例えば、マンション投資の入門編として勧められることの多いワンルームマンションですが、間取りによっては入居が付きづらく、思った以上に家賃収入が入らないということもあり得ます。部屋数が増えるほど、間取りのバリエーションが増えるため、もしファミリー向けの2LDKや3LDKの物件を購入するのであれば、間取りの重要性はより高まります。
この記事では、間取り図の読み方や間取りの種類という基本から、『不動産投資の教科書』がリサーチした資産価値の落ちないマンションの間取り例、そのような物件の探し方を取り上げています。区分マンション選びの際の参考にしていただければ幸いです。
目次
1、マンションの間取りの種類
まずは間取りの種類や、住む人数ごとにちょうどいい間取りの目安を見ていきましょう。
キッチンやリビングを中心に考えると理解しやすいですので、1Kから、DK、LDKの違いを先に見ていきます。
(1)1K
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/372557
1つの部屋+キッチン(調理するスペースのみ)。部屋とは仕切りを隔ててキッチンがあります。1人暮らしといえば定番の間取りです。
(2)1DK
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/1130716
部屋+DK(ダイニング+キッチン)。上の画像は1つの部屋とDKで1DKです。
調理スペースだけでなく食べるためのテーブルを置くスペース(4畳半~8畳)があればDKと表記されます。1人暮らしで食べる場所と寝る場所を分けたい方ならこちらです。
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/989583
ちなみに、2DKだとこんな間取りになります。2人暮らしなら2DKでも不自由なく生活できます。
(3)LDK
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/1105142
1つの部屋+LDK(リビング+ダイニング+キッチン)。居間と台所と食堂の一括りで8畳以上のスペースがあればLDKと表記されます。
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/1105194
2LDKは2つの部屋+LDK。2人で住むのに十分な間取りです。
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/1070208
3LDKなら3つの部屋+LDK。3人~4人家族にちょうどいい大きさです。子どもが小さいうちなら5人家族でも問題ありません。
(4)1R
出典:https://www.housemate-navi.jp/detail/room/703163
ワンルームといいます。台所と部屋の間に仕切りがありません。1人暮らし用ですね。
2、間取り図の見方
間取り図にはさまざまなアルファベットの略語が登場します。また、見取り図によって面積を表す単位が違う場合もあります。どういった種類があるのかまとめました。
(1)間取り図の略語一覧
①S/SR
サービスルーム(納戸)。居室と呼ぶためには採光条件として床面積の1/7以上の窓が必要です。この条件に当てはまっていない個室がこれに当たります。
②DEN
書斎。denは英語で「ほら穴」の意味。上記のサービスルームと部屋の中身は一緒ですが、読書や趣味を楽しむ空間という位置づけでこんな表現になっています。
③R
Refrigeratorの略。冷蔵庫置き場です。
④W
Washing machineの略。洗濯機置き場です。
⑤CL
クローゼットです。
⑥WIC
ウォークインクローゼットです。CLが押入れのような形状なのに対し、WICは文字通り、歩いて入れるCLのことをいいます。
⑦SIC
シューズインクローゼット。靴を収納するスペースです。
⑧MB
メーターボックス。電気、ガスなどのメーターを設置するためのスペースです。
⑨PS
パイプスペース。配管を通すための空間です。寝室の近くにPSがある場合、音が気になる可能性があります。
(2)広さの表記
①㎡(平米)
これはご存知かと思います。1m×1mですね。
②畳、帖
どちらも「じょう」と読み、畳1枚分の広さを表します。
畳のサイズは各地域で違い、「京間」「中京間」「江戸間」「団地間」などいくつか種類があります。
しかし、間取り図で広さを表す際の「1畳」は「1.62㎡以上」と、「不動産の表示に関する公正競争規約」で決められています。
1.62㎡と言われてもイメージがつきづらいかと思います。1辺が0.9m、もう1辺が1.8mで1.62㎡になりますので覚えておきましょう。
③坪
間取り図には出てきませんが、土地の広さを表す単位には「坪」もありますね。
1坪は畳2枚分です。大まかに1.8m×1.8mと考えてください。
3、資産価値の高い間取り
資産価値の高い間取りは、家賃収入が途切れることがほとんどありません。
「引越し先の物件を選ぶ際、何を重視するか(複数回答可)」を問うアンケートでは、1位の価格に次いで、間取りが2位にランクイン。8割を超える方が、間取りを重視すると回答しています。価格が同程度のマンションなら、暮らしやすい間取りの物件の方が選ばれやすい(空室期間が少ない)ということです。
(1)利回りがいいのは単身者向け
20㎡のワンルームと、40㎡のファミリー向け2LDKでは、面積が2倍だから賃料も2倍、とはいきません。単身者向けのワンルームタイプは、面積あたりの賃料で考えるとファミリータイプよりも高めです。
また、都市部なら人の入れ替わりが激しいので空室になる期間も短く、管理費や修繕費もワンルームタイプの方が安く抑えられます。
なお、単身者向けで近年人気が高いのは、1R、1Kよりも1DK、1LDKタイプ。広さ重視で部屋選びをする人が増えています。
(2)家族向けは部屋数よりリビング重視
家族向けについても、単身者向け同様、広さ重視の間取りが人気上昇中です。少子化の影響で、部屋数の多さよりも広い空間を自由に使えるスタイルを選ぶ家族が増えています。
(3)立地が最も重要
冒頭で取り上げた国土交通省の「平成27年度住宅市場動向調査報告書」のP189では、回答者の約半数、48%が「賃貸住宅を選ぶ際に立地を重視した」と回答しています。間取りを含む住宅設備を重視したと回答した人は38%。実は間取り以上に立地が大切なことがわかります。投資用のマンションを探す際は、駅からの距離、スーパー、コンビニが近くにあるか、学生街か、など、人が集まりやすい立地環境かみておく必要があります。
(4)投資マンションの探し方
投資用にマンションを探されている方のためには、最新の情報を収集することが大事です。しかし、ポータルサイトでは物件情報の更新が遅れてしまいがち。『不動産投資の教科書』の過去の記事で、区分マンション専門のおすすめ不動産投資会社を紹介していますのでご覧ください。
4、住居者形態別:人気の高い間取り
『不動産投資の教科書』がリサーチした、家族構成やライフスタイルに合わせた人気の間取りを紹介します。
(1)シングルに人気の間取り
①荷物が多い人に「収納重視」な間取り
出典:https://chintai.mynavi.jp/tokyo/107/room840700000210.html?fm=rs
服や家具などの荷物が多い人には、収納が充実した間取りが好まれます。玄関にシューズインクローゼット、洋室にウォークインクローゼット、洗面所にリネン庫など、それぞれの部屋に収納がついているタイプだと探し物の手間も省けます。
②しっかりくつろぎたい人に「寝室重視」な1LDK
出典:https://chintai.mynavi.jp/tokyo/123/room7966100000511.html
平日は仕事が忙しく、帰宅後はほぼ寝るだけの生活。せめて家ではのんびりしたい方には寝室を重視した間取りが人気です。リビングを通さず居室に行ける1LDKなら、居住空間と寝室をしっかり区別できます。
ちなみに、寝室にこだわるのであれば窓の位置にも気を配りましょう。朝日で気持ちよく目覚めることのできる東向きならいうことなしです。
(2)二人暮らし世帯、DINKSに人気の間取り
①プライベート重視なカップルなら「2LDK」
出典:https://chintai.mynavi.jp/tokyo/102/room342300006442.html
2LDKなら各々独立した部屋を持てるので、仕事に集中したい時や趣味に没頭したい時に相手の生活リズムを気にせずのびのび過ごすことができます。また、2人で過ごす時間と1人の時間とのメリハリが生まれます。
②ゲストがよくくるなら「リビング広めの1LDK」
出典:https://chintai.mynavi.jp/tokyo/121/room1217100001133.html
家族や友人が頻繁に遊びに来るカップルなら、リビングの広さを重視されることが多いです。居室は寝室として使い、リビングは数人集まっても余裕がある12畳以上ならインテリアも楽しめます。大型テレビを置きたいカップルにも広めのリビングは人気です。
(3)ファミリー世帯に人気の間取り
①子どもの顔が見られる「リビング中心」の間取り
出典:https://chintai.mynavi.jp/tokyo/104/room55300008108.html
子どもが大きくなっても家族のコミュニケーションを大切にしたい人には、どの部屋もリビングを経由しなければ入れない間取りが好まれます。みんなが通るリビングは、家族が集まる中心としての役割を果たします。
②日当たり・採光を重視した「横長リビング」の間取り
出典:https://chintai.mynavi.jp/tokyo/112/room443700005738.html
ファミリー世帯を対象に不動産会社などが実施する「暮らしたい間取りのアンケート」で毎回登場するのが、横長のリビングダイニングが日当たりの良いバルコニーに面した間取り。横長な分、窓が大きく取られ、たくさん自然光を採り入れられます。また、このタイプはキッチンとリビングがつながっていることが多いです。子育て中の世帯ならリビングで遊ぶ子どもを見守りながら家事がこなせます。
5、間取りのリフォームについて
マンションの立地は申し分ないけれど、どうしても間取りが気に入らない。そんな場合はリフォームで解決することもできます。
(1)リフォーム可能かは規約を確認
理想の間取りを考える前に、まずはマンションの管理規約を確認しましょう。マンションによってはリフォームの内容に禁止事項がある場合もあります。
(2)リフォーム例と予算
リフォーム業者のサイトではさまざまなマンションリフォーム事例が紹介されています。
①部屋の数の増減
- 台所とリビングの仕切りを無くす(~50万円)
→台所に開放感が生まれるとともに、食事の支度中も子どもの様子を見られるようになります。 - 子どもが大きくなったので12畳の洋室を2分割(10~20万円)
→家族の成長にあわせて部屋数を変えた例です。また、今は1部屋でよくてもいずれ2部屋にすることを考え、部屋の真ん中に可動式の間仕切り扉をつけるのもいいですね。
②キッチンや浴室などの設備改修
- システムキッチンを最新式へ変更し床も張り替えて掃除しやすく(50~60万円)
→特に中古マンションならキッチンも古い場合があります。
→リフォームすることで清潔かつ収納も多めのシステムキッチンにできます。 - 洗濯機置き場を洗面所や台所に近づけて家事をラクに(~60万円)
→水回りを1つのエリアに集中させるだけで、家事をするのが快適になりますよね。
まとめ
投資用マンションを選ぶ一つの選択基準として、間取りに対する考え方や間取り図の見方、最終手段としてリフォームについても紹介しました。
人気の高い物件を見つけ、利回りよく運用していくためにも、住む人の気持ちになってマンション選びをしていくことが大切です。間取りだけでなく、立地環境も重視して、良い物件を探しましょう。