ふるさと納税の仕組みはご存じですか?
ふるさと納税が盛り上がりを見せています。身近な人からふるさと納税でオトクな経験をしたという話を聞くと、
「ふるさと納税ってそんなにオトクなのか」
と真剣に検討してみようかと考えることと思います。
しかし、ふるさと納税の魅力を薄々感じつつも、まだやったことがないという方のほとんどが、
「ふるさと納税は仕組みが複雑そうで、どうもよく分からない……」
とお感じなのではないでしょうか。
確かにふるさと納税の仕組みは少々ややこしく、やり方を間違えるとオトクにならないことがあるとなると、余計にハードルが高く感じられると思います。
今回は、
- ふるさと納税の3つの事実
- ふるさと納税の仕組みは?
- ふるさと納税の方法
- ふるさと納税の仕組みを知って豪華返礼品 得るためには?
などについて解説していきます。
なお、実は根本的な問題として、ふるさと納税は「ふるさと」に何かをするわけではなく、「納税」するわけでもないのですから、その仕組みをますます分かりにくく感じる方が多いのも当然です。
今回の内容をお読みいただければきっと仕組みをご理解いただけることでしょう。
ふるさと納税にご興味がございましたら、ぜひ「ふるさと納税とは?自分に合ったふるさと納税をするために知っておきたい6つのこと」も併せてご参照ください。
目次
1、ふるさと納税の仕組み|魅力が伝わる、3つの事実
すでにご存知の方も多いと思いますが、ふるさと納税のすごさやここまで人気を博している理由が分かる3つの事実をご紹介します。
(1)ふるさと納税の控除額が急増!?
総務省がまとめたデータによると、ふるさと納税の控除額はこの数年急増しています。グラフを見ると分かりますが、ここ数年は倍々ゲームのように急増していることが分かります。平成29年度の適用者数を見ると、2,252万8,000人となっており、なんと日本人の5人に1人程度の人がふるさと納税を利用していることが明らかになっています。これはもう、国民的ブームといって良いでしょう。
出典:自治税務市町村税科(ふるさと納税に関する現況調査結果)
(2)和牛、カニ、お米など返礼品には高級食材がいっぱい!
2,000万人以上もの人が利用しているふるさと納税。なぜこんなに人気なのかというと、最大の理由は多くの方がご存知の通り、豪華な返礼品です。和牛やカニ、お米などといった特産品は定番となっており、まるでお取り寄せグルメの感覚でそういった返礼品をお目当てにふるさと納税をしている人がたくさんいます。この記事をお読みになった方の中にも返礼品の噂を聞きつけてふるさと納税のことが気になり始めたという方が多いのではないでしょうか。
どんなものがあるのか、ふるさと納税の人気返礼品の世界を覗いてみましょう。
北海道産紅ズワイガニむき身1kg(北海道根室市)、寄附金1万円以上
九州産黒毛和牛「切り落とし」 ドカ盛り1500g(佐賀県上峰町)、寄附金1万円以上
出雲國仁多米5kg(島根県奥出雲町)、寄附金1万円以上
https://www.furusato-tax.jp/product/detail/32343/155689?rank_all
これらはいずれも、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」で人気上位になっている返礼品です。それぞれの地域性が出ていて、まさに日本全国からおいしいものをお取り寄せできるような感覚です。
詳しい仕組みは後述しますが、買ったら相当なお値段になりそうなこうした商品を実質的に2,000円のみの負担で手に入るのですから、ふるさと納税が人気を博しているのもうなずけます。
この「実質2,000円でオトクに商品をゲットする方法」はこの後にしっかりと解説していきますので、ご安心ください。
(3)好きな自治体にふるさと納税をすると税金が安くなる!
冒頭でふるさと納税は、「ふるさと」に関わりがあるわけではなく「納税」でもないと述べました。直接的には自治体への寄附という形でふるさと納税が行われますが、その分が本来支払うべき税金から差し引かれるので、実質的に自分の好きな自治体に納税をしたことになります。そのため、この制度が「ふるさと納税」と呼ばれているのです。
好きな返礼品をゲットしながら、税金が安くなる。こんなにオトクな仕組みを利用しない手はありませんね。
2、ふるさと納税の仕組み|7つのポイント
どうもよく分からない、ふるさと納税の仕組み。そのせいでふるさと納税の利用をためらってきた方々のために、これさえ押さえておけばふるさと納税の仕組みが分かる、という7つのポイントをまとめました。
(1)そもそも、ふるさと納税とは?
ふるさと納税というのは、好きな自治体に寄附をすることでその寄附金が2,000円を除いて全額が戻ってくる税金面での制度を指します。従来から、特定の団体などに寄附をするとその寄附金分が所得から控除される制度がありますが、それに似た制度です。
例えば福岡県出身で大阪市に住んでいる人が、北海道の自治体に寄附をするといったことも可能で、その場合は北海道の自治体に寄附をした金額から2,000円を差し引いた全額が、大阪市に支払った税金から戻ってくるというわけです。この人は福岡県出身なので北海道はふるさとではありませんが、好きな自治体に寄附ができて実質的に納税をしたことになるのが、ふるさと納税です。
(2)図解で分かる、ふるさと納税の仕組み
前項の解説を図解すると、以下のようになります(確定申告によって税金の減額を受ける場合)。納税者のお金が寄附先の自治体に支払われ、その証明を納税者が受け取って確定申告をすれば、その寄附金分が翌年の税金から戻ってくるという仕組みです。
お金が行ったり来たりするので分かりにくいですが、この仕組みを見ると事実上納税者が好きな自治体に納税ができることが分かります。
しかし、これだけだと「好きな自治体に納税できる」だけの制度で終わってしまいます。もちろん、最近では地震などの被災地を抱える自治体を応援する意味でふるさと納税を活用する人も多くなっており、それだけだとこの仕組みで十分なのですが、多くの人のお目当ては自治体からの返礼品です。
先ほどの図にもあるように、寄附を受けた自治体は約束通り寄附をした納税者に返礼品を届けるため、それが納税者にとってのメリットとなるわけです。
(3)2,000円を超える寄附分は全額控除される
ふるさと納税には、2,000円の自己負担分というルールがあります。例えばある自治体に1万円の寄附をして、それに見合った返礼品を受け取ったとします。その人は翌年に税金が1万円戻ってくるのかというと、それが8,000円になります。つまり自己負担分の2,000円が差し引かれており、この人は「実質2,000円で1万円寄附の返礼品を受け取った」となるわけです。
おおむね返礼品は寄附金の50%程度までというガイドラインがあるので、仮に5,000円相当の返礼品を受け取ったとしたらこの人は2,000円の負担で5,000円相当の商品をゲットできたことになります。
それなら何十万円も寄附をして、どんどんオトク額を増やしていきたい!とお考えの方もおられると思いますが、そこには税制上の上限金額があります。ご自身の上限金額がいくらになるのかを知る方法は、後述します。
(4)多くの人のお目当て、豪華な返礼品
ふるさと納税をすでに利用している人、そしてこれから始めたいとお考えの方の多くにとって、そのお目当ては豪華な返礼品です。和牛や魚介類、果物、お酒などといった特産品に加えて、家電製品やその自治体への旅行特典やその自治体のイベントに参加できる権利などを用意している自治体もあります。
人気の返礼品がある自治体には巨額の寄附が集まることから自治体同士の競争も激しくなっており、「行き過ぎだ」という指摘もあるほどです。そもそも寄附金額の半分もしくはそれ以上にあたるような返礼品を出してしまったら結局税収減になるという指摘もありますが、自治体にとってはそれでも地域の製品などを返礼品にすることで地域振興の効果もあるため、豪華な返礼品合戦はまだまだ続くものと思われます。
理由はともかく、納税者にとってふるさと納税の魅力はこれからも続くということです。
(5)納税先を自分で選ぶことができる
返礼品にばかり注目が集まってしまうとふるさと納税が持つ本来の趣旨から目がそれてしまいがちですが、ふるさと納税が目指す本来の趣旨とは「納税先を自分で選べる」ことにあります。
先ほど少し触れましたが、災害の被災地に応援の意味を込めてふるさと納税をするのはその典型で、自分が住んでいる街ではないものの応援したい街があるのであれば、その自治体に寄附をすることで具体的な形で応援をすることができます。
中には自分が住んでいる自治体のことが好きになれず、アンチの意味を込めて別の自治体にふるさと納税をする人もいます。このように、自分で納税先を選べるというのは、実は画期的なことなのです。
(6)実質的に2,000円で豪華な返礼品がもらえる
先ほどから述べているように、多くの人がふるさと納税を利用する理由は「実質2,000円の自己負担で豪華な返礼品がもらえる」からです。お取り寄せグルメの感覚で豪華な和牛や海産物などを買うとなると躊躇してしまうかも知れませんが、ふるさと納税なら2,000円以上の価値のあるものがもらえる可能性が高く、「それなら自分もやってみよう」となるわけです。
先ほどご紹介したズワイガニや和牛などは、どう見ても2,000円で買える代物ではありません。この豪華さが一部では問題視されてはいるものの、多くの人にとってお目当てとなっているわけです。
(7)ふるさと納税のワンストップ特例制度とは
ふるさと納税を利用して税金が戻ってくるようにするには、確定申告の手続きが必要です。自営業者の方であればあまり違和感はないと思いますが、サラリーマンの方は年末調整をしている場合が多く、ふるさと納税のために確定申告という新たな作業がひとつ増えることに抵抗を感じるという声もよく聞かれました。
そこで始まったのが、ワンストップ特例制度です。ふるさと納税以外に確定申告の必要ない人であり、年間のふるさと納税寄附先が5自治体までという条件を満たす人であればこのワンストップ特例制度が適用され、確定申告の必要がなくなります。
ふるさと納税を利用している人の中で大半の人が寄附先5自治体以内に該当すると思いますので、多くの人にメリットのある制度です。このワンストップ特例制度の利用方法は次章で詳しく解説します。
3、ふるさと納税の仕組み|返礼品をもらい、税金を控除するまでの流れ
実際にふるさと納税を利用してオトクな返礼品をもらい、しっかりと税金の減額を受けるまでの流れを解説します。初めての方を前提に解説していますので、1つずつステップを踏めば誰でも利用できるようになります。
(1)ふるさと納税の控除上限額を調べる
ふるさと納税には、所得に応じて利用できる上限があります。その上限を超えて寄附をしても超えた部分はオトクにならないので、返礼品+税金減額というオトクさがお目当ての方は最初に上限金額を調べることから始めます。
「さとふる」というふるさと納税サイトが用意している簡易シミュレーターがとても便利なので、まずはこちらで上限金額の計算をしてみてください。
ふるさと納税控除上限額シミュレーションのご案内(さとふる)
https://www.satofull.jp/static/calculation01.php
年収と家族構成だけで概算できます。例えば年収700万円で共働き、子供2人という家族構成の場合で試算してみると上限金額は68,000円となりました。この金額を超えて寄附をしてしまうとその分はただの寄附になるというわけです。
ここで注意したいのは、計算の結果が68,000円だからといって上限いっぱいまで寄附をせず、ある程度ゆとりを持たせておくことです。というのもこの計算結果は簡易的なものであり、この上限金額は他にもさまざまな要素によって変動する可能性があるからです。上限以内だと思っていたら実は本当の上限金額はそれよりも下だったことが後から分かっても、超過分は寄附のまま変えられません。
(2)寄附先の自治体を選ぶ
次に、寄附先の自治体を選びます。自治体選びには2つの視点があると思いますので、それぞれの視点でどこに寄附をするのかを決めます。
①返礼品で選ぶ
多くの方がお目当てとしている、豪華な返礼品。ふるさと納税サイトでは返礼品から選べる機能が充実しているので、そこから欲しいものを選び、それを取り扱っている自治体を寄附先にします。
ふるさとチョイス
https://www.furusato-tax.jp/?header
ふるなび
この他にもふるさと納税サイトはたくさんありますので、好みで選んでも問題ありません。もちろん取り扱っている自治体は同じなので、どのサイトから申し込むかによる損得はありません。
②地域を応援する思いで選ぶ
被災地を応援したいので、被災地の自治体に寄附をするといった具合に、特定の地域に思いを届けたい場合は返礼品に関係なく自治体から検索をします。災害復興に限らず、地域振興や自然保護、ローカルイベントの資金集めなどさまざまな特色のある寄附メニューがあります。
そうした取り組みにふるさと納税を活用するのは、実に有意義なことだと思います。
(3)ふるさと納税(寄附)を行う
寄附先に決めた自治体に、実際に寄附を行います。寄附といっても現金書留を自治体に郵送するわけではなく、ふるさと納税サイトから簡単に決済できるようになっています。オンライン決済なので、クレジットカードも利用可能です。
(4)返礼品を受け取る
発送を伴う品物の場合、それぞれの返礼品にはいつ頃発送されるのかという表示があります。寄附を完了したら、後はその返礼品が届くのを待つだけです。
お目当ての返礼品も重要ですが、そこに同梱もしくは自治体から送られてくる寄附証明書をしっかりと保管しておいてください。ワンストップ特例制度を利用せず確定申告する場合は、その証明書が税金の減額に必要になります。
(5)税金の控除を受ける
ふるさと納税は返礼品を受け取ったらそれで終わり、ではありません。寄附をした分の税金をしっかりと取り戻さないことには金銭的なメリットはありません。
ここで寄附先が5ヶ所までの方と5ヶ所以上の方(もしくは確定申告を希望する方)とでは手続きが異なるので、それぞれの手続きを解説します。
①寄附先が5ヶ所までの場合(確定申告をしない人)
サラリーマンなど給与所得者で確定申告を行う習慣がなく、年末調整で済ませている人の中でふるさと納税の寄附先が5ヶ所までであれば、ワンストップ特例制度の適用を受けることができます。これが適用されると確定申告の必要がなく、とてもメリットの大きい制度です。
多くの場合、返礼品が届く時に寄附証明書と一緒にワンストップ特例制度の申請用紙も同梱されています。その用紙に必要事項を記入して、免許証などの本人確認書類のコピーを郵送すればOKです。
もし申請用紙が手に入らない場合は、こちらからでも入手可能です。特例の申請書が届いた自治体からはふるさと納税の事実がお住まいの自治体に減額通知という形で届くため、確定申告をしなくても同じ結果が得られます。
少々説明が長くなりましたが、ワンストップ特例制度に該当する方は、自治体から送られてきた申請書にそこに書かれている必要書類を添えて郵送するだけです。
②寄附先が5ヶ所以上の場合(確定申告をする人)
寄附先が5ヶ所以上ある方で自営業など普段から確定申告をしている方は、従来通りの手続きとなります。自治体から送られてくる寄附証明書を確定申告時に添えて提出すると、翌年の税額からふるさと納税(自己負担分2,000円を除く)の寄附額が減額されます。
4、ふるさと納税の仕組み|知っておきたいオトク情報&注意点
ここまでお読みになってふるさと納税を早速やってみようとお考えの方、少々お待ちください。さらにオトクにする方法や、ふるさと納税の仕組み上注意しておきたい点をまとめましたので、こちらをお読みになってからにしましょう。
(1)クレジットカードで寄附をするとポイント分オトクになる
「さとふる」・「ふるさとチョイス」などのふるさと納税サイトを使うと、クレジットカードでの寄附が可能です。他の方法でも決済は可能ですが、
。数万円単位の決済になることが多いと思いますので、決してバカにできないポイントとなります。
(2)楽天ふるさと納税を利用すると楽天ポイント分オトクになる
ECサイト大手の楽天には、「楽天ふるさと納税」というサービスがあります。「さとふる」「ふるさとチョイス」と同様にネット上でふるさと納税ができるサービスなのですが、楽天のサービスを利用すると楽天ポイントが貯まります。クレジットカードのポイントとは別に貯まるものなので、すでに楽天のアカウントをお持ちの方やお使いになる予定のある方は、このサービスの利用も検討してみてください。
前項のクレジットカードでもそうですが、数万円単位の決済を伴うためこのポイントもバカにはできません。
楽天ふるさと納税
https://event.rakuten.co.jp/furusato/
(3)ふるさと納税の期限は12月31日までなのでお早めに
税金の計算は1月1日から12月31日というのが基本です。そのため、ふるさと納税も12月31日までに行った寄附が翌年の税金減額の対象となります。12月31日を過ぎても翌年の所得から控除できるため税金の減額が翌々年になるだけで損になることはないのですが、ふるさと納税の魅力を感じている方にとっては翌年の枠を先に使ってしまうのはもったいないことです。
せっかくある「今年の枠」をしっかり使うために、12月31日という期日を意識してください。なお、12月31日ギリギリになってくるとふるさと納税の寄附が殺到するため、決済が間に合わないことも考えられます。それを考慮して、できるだけ時間に余裕を持って寄附をすることを強くオススメします。
(4)自分が住んでいる自治体にふるさと納税をしてもスルーされる恐れあり
ふるさと納税は自分が住んでいる(住民票を置いている)自治体ではない、別の自治体に事実上の納税をするところにその意義があります。そのため、自分が住んでいる自治体に寄附をしてもふるさと納税とは認められず、ただの寄附になることがあるのでご注意ください。
自分が住んでいる地域に欲しい返礼品がある場合、それに目がくらんでしまって寄附をしたものの寄附証明書が送られてこないとなるとただの寄附になってしまうので、注意が必要です。
(5)そもそも納税をしていない人にはメリットがない
ふるさと納税で「実質2,000円で豪華な返礼品」という恩恵を受けるには、そもそも減額されるだけの税金が発生していることが前提になります。納税者ではない人は減額されるべき税金がないので、ふるさと納税のメリットはありません。もちろん寄附をすれば返礼品も送られてきますが、翌年の税金減額がないためただ通販を利用したようになってしまいます。
扶養家族の方など、ご自身の名義で税金を納めていない方にはふるさと納税のメリットはありませんので、その基本を押さえておいてください。
まとめ
ふるさと納税の仕組みがどうもよく分からないという方を想定して、ふるさと納税の仕組みからメリットを受けられるまでの全知識を解説してきました。いかがですか?これで前から気になっていた豪華な返礼品をゲットできる準備は整いましたか?
あとはふるさと納税サイトから好きなものを、好きな自治体を選んで手続きをするだけなので、まずは上限金額のシミュレーションからはじめてみてください!
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