中国は国家5大AIプロジェクトを指定しました。
自動運転、城市大脳、医療映像、智能語音、智能視覚です。
城市大脳は、智慧城市(スマートシティ)の頭脳というニュアンスです。
中国のネットニュースには、智慧城市(スマートシティ)や智慧社区(スマートコミュニティ)智慧小区(スマートマンション)の話題であふれています。
近未来、中国の都市生活はどうなっているのでしょうか。スマートシティから順に見ていくことにしましょう。
・中国における「スマートシティ」は監視と言えない?
国家AIプロジェクトの「城市大脳」は、智慧城市(スマートシティ)の頭脳となるものとも言えるでしょう。
アリババの子会社「阿里雲」が委託されて杭州市や蘇州市で実装実験を進めており、すでに国内外の10大都市と提携しました。
城市大脳は、都市交通や医療、都市管理や環境、観光、規定、平安、民政の8分野をカバーするものです。
そのうちの1分野である都市交通を見てみましょう。都市交通は4つのジャンルから成り立っています。
(1)天曜…交通事故や事件を全方位で探知するもの。自動パトロールのことを指す。杭州市では700の道路をカバーしていて、交通警官200人分の働きをしている。
(2)天鷹…追跡するもの。失踪者や逃走車など。
(3)天機…蓄積されたデータによる未来を予測する。交通問題の発生を予防するなど。
(4)天肇…画像の情報処理を行う。
実質監視社会のように思えてしまいますが、それを進歩であると捉えるのが中国らしいところではないでしょうか。
中国の人々はこれにより渋滞が緩和されたり、緊急車両の所要時間が短縮されたなどの実績を評価しています。
参考URL:复盘阿里城市大脑这3年
・銀川市のスマートコミュニティ
次に智慧社区(スマートコミュニティ)の例を挙げましょう。
寧夏回族自治区の首府、銀川市の人口は225万人(2018年)です。
西部大開発の重点地区となっていて、2016年12月には国務院(日本で言う内閣)から「第三次国家新型城鎮化総合試点地区」に指定されました。
銀川市はその翌年から500ヶ所のスマートコミュニティの建設に着手し、街全体のスマート化を早速進めました。
そのスマートコミュニティの基本となっているのは顔認証システムとビッグデータです。
収集したデータは、流動人口の管理、防犯や秩序の維持に使用します。
例えば駐車誘導、冷凍食品保管庫、直接飲用水、騒音監視システムなど、リサイクルも進め廃品回収にはポイントを付与し、回収率上昇を図っています。
中国では大型マンションの駐車場は早い者勝ち、ゴミは分別回収されていませんでしたが、顔認証によって無茶をしたり不正を起こした人々のデータまで組み込まれてしまうことにより、改善せざるを得ない状況に持っていったとも言えるでしょう。
参考URL:智慧社区有多“智慧”?力维智慧社区解决方案为您解密
・北京市のスマートマンション
そして首都・北京市には、12ヶ所のスマートマンションが建設されています。
モデルは2018年にオープンした職住一体型の「瑞普小区」です。
中国には珍しい立体駐車場と、24時間OKの自動洗車機を備え、水は環境に配慮した中水(生活用水を再生してトイレや冷房に再利用する水)を使っており、職住一体のためオフィスと居住区が混在し、居住区では虹彩認証によって住人の識別と管理をします。
また北京市住宅建設委員会の開発した「優博慧」というアプリを使うと、スマホで門の開錠、管理会社との連絡、通知、意見交換、管理費の納付まで全てできる仕組みとなっています。
12ヶ所のスマートマンションは、養老と居住、ビジネスと居住、居住のみ、などさまざまなモデルが混在していますが、共通項はオンラインプラットフォームの提供とも言えるでしょう。
・中国AI施策の未来
北京市は低所得者向け保障性住宅60ヶ所のうち、59ヶ所にも光彩認証とスマートロックを設置中で10月に全面稼働を予定しているようです。
公営住宅にまで最新設備を導入するとは、北京市は、スマートマンションの建設にかなり前のめりに賛同している様子が受けて取れるのではないでしょうか。
一方スマートマンションの建設には、現状のコミュニティにおける管理水準の違い、データの連動不足、市民の参加不足、などの問題もあるようです。
今後の課題としては虹彩認証システム採用による、コミュニティ安全管理のレベルアップや、顔識別により、行動をパターン化し、異常事態を早期発見したり、管理のオンライン化と、オンライン内での役割を明確化や統一管理と、社会資源との結合を上げています。
色々と問題はあるにせよ、銀川のような内陸の都市から首都・北京に至るまで中国は国をあげて居住環境のスマート化に取り組んでいるのが分かるのではないでしょうか。
圧倒的に進化し続ける中国の動向には、今後も目が離せません。