国内景気が上向き、インバウンド景気や東京オリンピックなど好材料が多い日本経済。
この局面で注目するべきは、内需株です。
内需株というと景気の変動に左右されにくいというイメージをお持ちの方は多いと思いますが、それに加えて最近は内需株に対する追い風が吹いているので投資妙味が増しています。
特に株式市場は長らく低迷していた時期を脱し、半ばバブルと呼んでも良いほどの上昇局面となりました。
このような状況下で最も影響を受け、株価上昇につながりやすいのが内需株です。
今回は、毎月資産運用に興味ある方が数万人訪問するメディアである不動産投資の教科書が
- この局面で株式投資家が知っておくべき内需株の「アツい状況」
- 内需株に投資するにあたって必要な基礎知識
- 内需株として注目したいジャンル
- 最後には「不動産投資の教科書」編集部がオススメする内需株銘柄から厳選10銘柄
をご紹介します。
この記事1本で内需株のことが理解できて、読み終えた段階で今すぐにでも内需株を物色、投資できるだけの情報が得られると思います。
ぜひ最後までお読みください。
1、内需株がアツい!
国内景気や株価の好調を受けて、その恩恵を最も受けていると言われる内需関連株の人気が高まっています。そもそも内需株は景気変動に左右されにくいことや配当の安定感などで根強い人気を持っているのですが、ここにきてその実力が再評価されています。
(1)景気の上向きによって内需株が堅調
内需株には国内向けに商品やサービスを提供している大企業が多くを占めており、こうした大型株の堅調ぶりが現在の株価上昇を支えている側面があります。
その他にも国内消費によって業績が支えられている企業が内需株なので、国内景気が上向くことによって株価も上昇します。
不動産管理大手の日本管財(9728)は典型的な内需株ですが、この1年の株価推移を見るとその堅調ぶりが見事に表れています。
出典:https://minkabu.jp/stock/9728/chart
他にも見てみましょう。
こちらは家電量販店大手のエディオン(2730)の株価チャートです。国内景気が上向いていることを受けて個人消費が底堅くなっており、その上にインバウンド需要が追い風となって、その恩恵が業績と株価に表れているのが分かります。
出典:https://minkabu.jp/stock/2730/chart
こうした傾向は内需株全体に見られるもので、こうした銘柄が昨今の株高を支えています。国内景気が堅調に推移している限り、この傾向は続くでしょう。
(2)景気に左右されず株価が下がりにくい
前項では内需株の好調ぶりについて解説しましたが、そもそも内需株には「景気に左右されず安定している」という魅力があります。国内向けに事業を展開している企業なので日本国内で衣食住などの消費がなくならない限り、内需株が総崩れになることはないでしょう。
人が生きていく上で必要なものを提供している企業が多いので、人が生活している限り一定の需要が見込めるのです。
そのため、投資家の中には配当収入や現金以外での資産保有を目的として、内需関連の大型株を長期保有している人も少なくありません。
(3)長期保有で配当収入が見込める
先ほど内需株の配当収入に触れましたが、内需株の中には配当利回りの高い銘柄が多く存在しているため、長期保有をすることで一定の配当収入を見込むことができます。
メイテック(9744)の3.39%、りらいあコミュニケーションズ(4708)の2.32%、センコーグループHD(9069)の2.43%など、これらはいずれも典型的な内需株ですが、定期預金の金利をはるかに上回る魅力的な配当利回りとなっています。
持っていて良し、配当を受け取っても良し、値上がりを待つのも良し。内需株の魅力が高まっている現在の株式市場では、この内需株を味方につける投資がひとつのポイントになりそうです。
2、内需株の基礎知識と魅力
内需株を味方に付ける株式投資のために、ここでは投資家として知っておくべき内需株の基本を解説します。
(1)そもそも、内需株とは?
すでに述べてきていることですが、内需株とは内需関連株とも呼ばれるジャンルの銘柄群のことです。内需、つまり日本国内向けに事業を展開し、日本国内で利益を稼ぐ企業のことです。
日本国内の景気動向に左右される一面もあるため、国内景気が上向くと内需株の株価は上昇します。昨今の株高は日本国内の景況感が上向いていることが多いに影響しているため、内需株が牽引していると言っても良いでしょう。
(2)内需株は不況に強い
日本経済は失われた20年と表現されるような長期的不況に苦しんできました。その中では経営破綻してしまった企業も数え切れませんが、内需株はその中でも比較的生き残った企業が多いという特徴があります。
その理由には企業規模が大きいこともありますが、不況下であっても食品やインフラなど消費せざるを得ない商材を扱っている企業について、最悪でも一定の売上が見込めるということもあります。内需株の強さはまさにこの部分で、日本国内の生活が現在の水準である限り、国内消費が一定以下になることはありません。
こうした事情もあり、失われた20年の株安時にも内需株の中には底堅く推移した銘柄がたくさんありました。
こうした不況への強さは、資産として株を保有することにおいても魅力的です。
(3)円高局面になると内需株に追い風
為替レートが円高になると、輸入品の価格が安くなります。そのため国内消費が刺激され、国内の小売業を中心に内需株が活況になるという法則があります。一時は1ドル=120円台で推移していた円相場が10円近く円高になっただけでも輸入価格への影響はとても大きいため、こうした円高も内需株の買いを誘発します。
また、昨今は世界の貿易環境に保護主義というきな臭いムードが流れています。米中貿易戦争とも呼ばれる高関税合戦は保護主義を象徴するもので、こうした動きによって海外で商売がしにくくなると輸出企業に投じられていた投資マネーが内需株に流れやすくなります。
(4)全体的に大型株が多い
詳しくは次章で解説しますが、内需株の中には全体的に伝統ある大企業や官製企業など安定した大型株が多い傾向が見られます。もちろん時価総額も大きく発行済株式数も多いため、少々の出来高で株価が大きく動くことはありません。
短期売買で利益を上げたい投資家にとっても面白みに欠けるかも知れませんが、長期保有するのであればこの安定感がメリットとなります。
(5)配当が安定している銘柄が多い
内需関連の大型株には長期的に安定した利益を出している企業が多く、それを受けて安定した配当を出している銘柄が多く見られます。定期預金をするつもりで内需関連の大型株を長期保有している投資家も相当数いるので、この特徴は内需株ならではものだと言えます。
3、内需株と呼ばれるジャンルと、特に注目したい8つのジャンル
どんな業種のことを内需株というのでしょうか。古くから内需株として知られる定番の5ジャンルと、最近注目されている3つのジャンルをご紹介します。
(1)不動産、建設
不動産と建設は、日本国内で事業を行う典型的な内需産業です。どちらも動くお金が大きいだけに景気変動の影響を受けやすく、国内景気が良くなると不動産や建設関連の株は物色されやすくなります。
(2)インフラ関連
インフラ関連とは、通信や鉄道、道路などといった社会を支える基盤に関連する産業のことです。インフラ投資は日本国内に対して行われるものなので、インフラ工事などの需要が増加すると投資が活発になり、インフラ関連の株価が上昇します。
(3)外食、小売り
外食と小売りは、いずれも個人消費の影響を受ける産業です。国内景気が上向くと個人の可処分所得が多くなり、その結果として個人消費が活発になります。つまり国内景気が上向くと外食や小売りに関連する銘柄が買われやすくなります。
(4)食品
衣食住の「食」は、人間にとって最も重要な必需品です。そのため食品関連は文字通り食いっぱぐれがないと言われており、不況下でも底堅いという内需株の特徴が最もよく表れます。
景気が良くなれば付加価値の高い食生活の恩恵で株価は上昇し、不況下でも一定以上の需要は見込まれるため株価は底堅いということで、安定感は抜群です。
(5)銀行
国内の景気が良くなると、国内の企業と取引のある銀行にも追い風となります。大手メガバンクは海外業務でも利益を上げているでしょうが、地方銀行などはそれぞれの地盤となる地域で事業を展開しているため、国内景気の足腰が強いかどうかが明暗を分けます。
その意味で銀行も内需株の一角をなす存在として見なされており、国内景気が上向いている昨今では銀行も投資妙味のある内需株です。
(6)インバウンド関連
インバウンドは、従来はなかった内需株のジャンルです。訪日外国人客が急増していることを受けて、インバウンド消費に関連する企業は売り上げを大きく伸ばしています。ドラッグストアや百貨店、鉄道会社などが直接的な恩恵を受けていますが、その他にも日本の化粧品が売れていることから化粧品メーカー、それ以外には家電メーカー、外食チェーンなどにも経済効果が及んでいます。
(7)オリンピック関連
オリンピック特需という言葉があるほど、オリンピック開催はそのホスト国に多大な経済効果をもたらします。オリンピック関連としては建設、インフラ、不動産、スポーツ関連などへの経済効果が見込まれています。オリンピック関連についてはすでに株価を大きく上げた銘柄も続出していますが、出遅れ気味の銘柄を探せば今からでもその波に乗れるチャンスは十分にあります。
(8)日本文化関連
インバウンドと若干似ていますが、世界から日本文化に対する熱い視線が注がれており、それが経済効果につながっています。アニメやフィギュアなどのポップカルチャーや和食、和装など日本文化に関連する銘柄の中にも好業績を上げているところが目立ち始めているので、東映アニメーション(4816)やまんだらけ(2652)などに投資妙味が出てきています。
4、編集部厳選、オススメの内需株5選
「不動産投資の教科書」が厳選したオススメの内需株5銘柄を、ご紹介します。
(1)永谷園ホールディングス(2899)
お茶漬けをはじめとする、おなじみの食品メーカーです。定番商品の堅調さと新商品の開発力が相まって業績好調、それに伴い株価も好調が続いています。
出典:https://minkabu.jp/stock/2899/chart
(2)アイケイ(2722)
通販の大手です。インバウンド関連の売上が寄与し、業績を上方修正したことが好感されて株価にも反映しました。しかし株価は反落中で、押し目買いに妙味がありそうです。
出典:https://minkabu.jp/stock/2722/chart
(3)錢高組(1811)
内需株の本命業種であり、建設業の中でも株価に値頃感があるところに面白みがあります。業績の上方修正があったため、今後上昇余地が拡大するかも知れません。
出典:https://minkabu.jp/stock/1811/chart
(4)エディオン(2730)
記事の冒頭でもご紹介した、内需株の優等生です。内需拡大の恩恵を受けて業績好調でありながら、株価に若干の出遅れ感があります。そのおかげで配当利回りが5%を超えており、配当狙いでも買い妙味ありです。
出典:https://minkabu.jp/stock/2730/chart
(5)積水ハウス(1928)
ハウスメーカーの国内最大手です。好調な内需に支えられて株価も好調に推移しています。配当利回りは3%を超えており、配当狙いの投資で長期保有の価値もあります。
出典:https://minkabu.jp/stock/1928/chart
5、低位株から厳選!オススメの内需株5選
前章では定番の内需株から本命銘柄や出遅れ銘柄などをピックアップしました。この章では低位株に絞って内需株を物色してみたいと思います。
(1)THEグローバル社(3271)
本業の不動産事業に加え、インバウンド需要に応えて展開しているホテルが好調です。内需株の中でもインバウンド関連に分類されて有望株であるにもかかわらず、株価には値ごろ感があります。
出典:https://minkabu.jp/stock/3271/chart
(2)ラオックス(8202)
主に中国人訪日客向けの家電販売店や免税店を展開、インバウンド景気の恩恵を受けて業績好調です。もともとは日本資本でしたが2009年に中国資本の傘下となり、現在に至ります。これに伴い、家電量販店からインバウンド事業に大きくシフトしました。
出典:https://stocks.finance.yahoo.co.jp
(3)みずほフィナンシャルグループ(8411)
大手メガバンクの一角として国内景気の上向きに伴って業績も好調です。その一方で銀行株は全体的に低位株が多く、みずほFGも例外ではありません。それゆえに配当利回りが高く、長期保有派の方にもオススメです。
出典:https://minkabu.jp/stock/8411/chart
(4)清水建設(1803)
東京オリンピック絡みの建設需要も取り込み、業績と株価がいずれも好調です。しかしながら、もともとが1,000円前後の中型株なので手を出しやすいという一面も。
出典:https://minkabu.jp/stock/1803?q=1803
(5)日本和装ホールディングス(2499)
日本文化に対する世界からの注目度が高まるにつれて業績も拡大中。株価は200円台から400円台にジャンプアップするも、未だ低位株であり狙い目です。典型的なインバウンド銘柄なので、インバウンド需要が増加すると株価のジャンプアップが期待できます。
出典:https://minkabu.jp/stock/2499/chart
まとめ
日本国内に住み、日本国内で消費をしている私たちにとって、内需株はさまざまな面で「お世話になっている企業」でもあります。それだけになじみのある銘柄も多く、内需株は初心者の方にも取り組みやすいジャンルだと言えます。
日本経済に明るい材料が多くなっている状況に加えてインバウンドやオリンピックといった特需といって良いような追い風も吹いているので、出遅れ感のある内需株に投資をする絶好のチャンスが到来しています。
この記事の情報をきっかけに、まずは内需株のカテゴリーにどんな銘柄があるのか物色してみてはいかがでしょうか。
この記事をお読みの方はぜひ「資産運用とは?|金融商品の種類、メリットデメリット徹底解説」も併せてご参照ください。
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