今の日本は、銀行にお金を預けてもほとんどお金が増えません。利子が低いからです。2016年8月26日の時点で発表された大手銀行3社(三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)の金利はなんと「0.001%」であり、100万円を1年間銀行に預けても、利息はたったの「10円」です。
そのため、日本円ではなく、利子が高く設定されている米ドル、豪ドルなどの外貨で預金する「外貨預金」という投資商品に人気が集まっています。
しかし、数多くある外貨からどの外貨を選んだらいいのか、そもそも外貨預金すべきなのかと悩まれている方もいらっしゃるでしょう。そこで『不動産投資の教科書』にて、徹底リサーチの上で、以下の通り外貨預金で失敗しないために事前に知っておくべき内容をまとめました。
- 外貨預金とは?外貨預金の仕組みについて
- 外貨預金とFXの違い
- 外貨預金のメリットとデメリット
- 自分に合った外貨の選び方とは?失敗しない外貨選びのポイント
- 外貨預金の始め方
今回の内容がこれから外貨預金を検討されている方のご参考になれば幸いです。
目次
1、そもそも外貨預金とは?外貨預金の仕組みについて
(1)そもそも外貨預金とは?
外貨預金とは、日本円ではなく、米ドルや豪ドルなど外国の通貨で預金をすることです。銀行によって取り扱っている通貨の種類が異なりますが、具体的には
- 米ドル
- ユーロ
- 豪ドル(オーストラリアドル)
- 英ポンド
- スイスフラン
- 香港ドル
- 南アフリカランド
など様々な通貨があります。
(2)なぜ外貨預金の金利が高いの?
なぜ、外貨預金は日本円預金と比較して金利が高いのでしょうか。
預金の金利は市場原理によって決まりますが、その国の意向もある程度反映されます。つまり、金利が高い通貨は、その国の意向で高い金利の状態を保たれていると言えるでしょう。
(3)外貨預金の仕組み
外貨預金の仕組みとしては、簡単にいえば日本円で外貨を購入して、その外貨のままで銀行に預けて、利息や為替レート変動による差額により利益をもらうことです。
以下の条件で外貨預金のシミュレーションをしてみましょう。
- 買付時レート(TTS※1):1ドル=100円
- 売却時レート(TTB※2):1ドル=102円
- 金額: 10,000ドル(1,000,000円)
- 金利:0.6%
- 期間:1年
(※手数料や税金などは考慮していません。)
■計算方法
① 利息
10,000ドル☓0.6%=60ドル
② 為替レートによる利益
10,000ドル☓(102円−100円)=20,000円
③ 合計利益
60ドル☓102円+20,000円=26,120円
つまり、元金100万円で1万ドルを購入して、1年間銀行に預けた利息と為替レートによる合計利益は「26,120円」になります。
なお、具体的に試算したい場合無料にて利用できる「外貨シミュレーション」を利用してみてください。
※1 TTSとは、Telegraphic Transfer Selling rateの略で、日本円から外貨を買うときのレートです。
※2 TTBとは、Telegraphic Transfer Buying rateの略で、外貨から日本円を買うときのレートです。
2、外貨預金とFXの違いとは?
FXは外貨預金と同じように為替差益を目的とした金融商品であるため、どちらに投資するかと迷われている方もいらっしゃるでしょう。いずれも、元本が保証されていない投資商品であるという点は共通です。
以下にてFXと外貨預金の違いについて書いていきますので、参考にしてみてください。
(1)そもそもFXとは
そもそもFXとは、Foreign Exchange の略で、正式には「外国為替証拠金取引」といいます。ドルやユーロなどの外国通貨を売買することによって、その為替差益を得ることを目的とした金融商品のことです。「外為」とも呼ばれています。
(2)外貨預金とFXの違い
では、外貨預金とFXにはどのような違いがあるのでしょうか。
具体的には以下のような違いが挙げられます。
- 外貨預金よりFXの手数料が安い
- 外貨預金の取引は銀行の営業時間内に限られるのに対して、FXは24時間リアルタイムで取引することができる
- 円をベースとする外貨預金に対して、FXは様々な通貨をベースとし、そのベースとした通貨と他の外貨を自由に「買い・売り」することができる
- メジャーな通貨のみをメインとしている外貨預金に対して、FXはマイナーな通貨まで取り扱えるなど、外貨の種類がかなり豊富である
- 外貨預金は預金保護制度がないのに対して、FXは「信託法」により元本と利息が保護される。つまり、外貨預金の場合はお金を預けている金融機関(銀行等)が倒産したら預金が戻ってこない可能性があるのに対して、FXの場合には資金を預けた金融機関が倒産したとしても投資した資金は保護されます。
など。
3、外貨預金のメリットとデメリット
続いて、通常の預金(普通預金、定期預金)と比較した外貨預金のメリットとデメリットを紹介していきます。
(1)外貨預金の3つのメリット
まず、外貨預金のメリットをみてみましょう。
外貨預金には大きく下記の3つのメリットが挙げられます。
- ①金利が高い
- ②為替レート変動によって差益が得られる
- ③インフレ対策になる
では、それぞれについてみてみましょう。
① 金利が高い
外貨預金は、日本円に比べ金利が高く設定されていることが最も大きなメリットといえます。
銀行、ネットバンク、定期預金、預入金額、預入期間などの条件によって金利の設定は異なりますが、2016年8月現在では日本円で預金する場合の金利は以下のようになっています。
- 普通預金:0.001%〜0.002%
- 定期預金:0.01%〜0.15%
お金を銀行に預けてもほとんど増えません。
一方、外貨預金として米ドルをみずほ銀行等に預ける場合の金利は以下のようになっています。
- 普通預金:0.25%
- 定期預金:0.3〜0.55%
円で預金するより外貨の方の金利が圧倒的に高いことがお分かりになりましたでしょうか。なお、外貨の種類や金融機関によって金利が異なりますので、詳しい金利について各金融機関のサイトより確認するようにしましょう。
② 為替レート変動によって為替差益が得られる
外貨預金は、為替レートの変動により為替差益を得ることもできます。
例えば、「1ドル=100円」のレートで10,000万ドルを買い付けた場合、1年後「1ドル=102円」で売却すれば、為替差益「10,000万ドル☓(102円−100円)=20,000円」をもらうことができます。なお、金利、手数料、税金は考慮しておりません。
③ インフレ対策になる
外貨預金をすることで、国内でインフレが起きたときのリスクを減らす対策にもなります。
そもそもインフレーションとは、物価の価値が上がり、お金の実質的価値が下がることです。例えば、今まで100円で買えたリンゴが、200円を出さないと買えない状況がインフレーションです。
下記の図を見て頂ければ分かりますが、消費者物価指数と為替レートは密接な関係を持っています。物価が高くなると、保有している円の価値が下がってしまうので、円を売って外貨に替えようという働きが強くなります。一方、円を売る動きが強まると、円高に移行するということです。
出典:三井住友信託銀行
(2)外貨預金の3つのデメリット
続いて、外貨預金のデメリットをみてみましょう。
大きく以下のようなデメリットが挙げられます。
- ① 為替手数料が高い
- ② 為替レート変動により為替損益がでる可能性がある
- ③ 外貨預金は保証(ペイオフ)の対象外である
では、それぞれについてみていきましょう。
① 為替手数料が高い
外貨預金の場合、預け入れ(円から外貨)、引き出し(外貨から円)する際に以下の為替手数料がかかります。
以下にて為替手数料をまとめてみました(2016年9月現在)。ネットバンクと比較して大手銀行の手数料が圧倒的に高くなっていることが分かります。
従って、為替手数料を節約するにはネットバンクを選ばれるよいでしょう。
為替手数料比較表
定期預金 | SBIネット銀行 | 新生銀行 | 三菱東京UFJ銀行 |
米ドル | 0.15円 | 0.15円 | 1円 |
ユーロ | 0.15円 | 0.4円 | 1.5円 |
豪ドル | 0.3円 | 0.4円 | 2.0円 |
NZドル | 0.3円 | 0.4円 | 2.0円 |
英ポンド | 0.4円 | 0.6円 | 4.0円 |
② 為替レート変動により為替損益がでる可能性がある
上記メリットで為替レート変動により為替差益が得られると書きましたが、引き出し時の為替レートが預金時と比較して円高になると、せっかく高金利で利益を出したのにもかかわらず、場合によって元本割れするリスクが考えられます。
外貨預金は満期後にもそのまま外貨で所有することができますので、急いで売却する必要がないときは、円高のタイミングでの売却を避けるようにしましょう。
③ 外貨預金は保証(ペイオフ)の対象外
ペイオフとは、日本円で預けている銀行などの金融機関が万が一破綻した場合、1000万円の限度での元本とその利息のみ保証される制度です。
このペイオフ制度は日本円のみと限定され、外貨預金の場合は対象外となります。外貨預金を始める際の金融機関選びは、破綻リスクが低い金融機関を選ぶ必要があると言えるでしょう。
4、自分に合った外貨の選び方とは?失敗しない外貨選びのポイント
実際に様々な外貨商品がある中で、どの外貨を選んだらいいのかと分からない方も多いのではないでしょうか。
以下にて代表的な外貨それぞれの特徴をまとめましたので、外貨を選ぶ際に参考にしてみてください。
通貨 | 特徴 |
米ドル | ・世界の基軸通貨 ・知名度が高いことから人気度も高い |
ユーロ | ・世界第2位の基軸通貨 ・イギリスを除くEUにおける統一通貨 ・複数の国で使われている通貨であるため、変動要因が多い |
豪ドル | ・先進国の中で比較的高い金利 ・為替変動が比較的大きい ・鉄鉱石、石炭など資源が豊富な資源国である |
NZドル | ・先進国の中で比較的高い金利 ・為替変動が比較的大きい ・隣国であるオーストラリアの影響を受けやすい |
英ポンド | ・世界主要通貨の1つ 北海油田を有しているなど資源国である ・ユーロの影響が受けやすい傾向がある |
南アフリカランド | ・高金利商品として人気が高い ・為替変動が比較的大きい ・金やダイヤモンドの採掘量が世界最大の資源国である |
基本的には為替変動はその国の経済と連動していますので、初心者の方は通貨や経済に関係したニュースなど情報量が多く入ってくる外貨を選ばれるといいでしょう。
比較的、
- 米ドル
- ユーロ
は他の外貨より値動きが安定していますので、初心者の方には適していると言えるでしょう。
一方、
- 豪ドル
- NZドル
- 南アフリカランド
などの外貨は他の外貨より金利は高いですが、為替相場の変動も比較的大きいので、大きなリターンを狙いたい方には適していると言えるでしょう。
5、外貨預金の始め方
最後に、実際に外貨預金を始める際の流れをみてみましょう。
外貨預金を始めるには、金融機関にて外貨預金するための口座を開設する必要があります。
大きく以下の流れになります。
- 外貨預金する金融機関を選ぶ
- 金融機関にて普通口座を開設する
- 同金融機関にて外貨預金口座を開設する
- 普通口座に日本円を入金する
- 金額を指定して外貨を購入する(外貨普通預金→外貨定期預金)
外貨預金の金融機関を選ぶ際には、
- 金利
- 為替手数料
などの条件を参考に選ぶといいでしょう。
なお、金融機関によって為替手数料が異なっており、都市銀行に比べてネットバンクの方が安くなる傾向があります。初心者の方はネットバンクから始めてみるのはいかがでしょうか。
まとめ
今回は外貨預金について書きましたがいかがでしたでしょうか。外貨預金は日本円で預金するより金利は高いですが、為替レートと連動していることからリスクがあります。損しないためには為替レートも常に把握するようにしましょう。今回の内容がこれから外貨預金を検討されている方のご参考になれば幸いです。