保証ファクタリングは、売掛先が倒産した場合などの売掛金を回収できなくなったときに保証会社が保証してくれる制度です。便利な仕組みですが、初めて利用するサービスにはデメリットなど気になることも多いでしょう。
そこで今回は、当メディアにて
- 保証ファクタリングとは何か
- 保証ファクタリングのメリットとデメリット
- 保証ファクタリングを利用するべき会社や業界
- 保証ファクタリングを利用できる会社
などについてまとめました。これから保証ファクタリングの利用をお考えの方の参考になれば幸いです。
なお、ファクタリングの仕組みや種類などのより詳細に関して、ファクタリングとは?仕組みや種類、メリット・デメリットまでわかりやすく解説!で詳しく解説しています。こちらも合わせてご覧ください。
目次
1、保証ファクタリングとは
保証ファクタリングとは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、以下の項目について説明します。
- そもそもファクタリングって何?
- 保証ファクタリングとは
(1)そもそもファクタリングって何?
ファクタリングとは、企業間の商品やサービスの取引において発生する、「売掛金」の買い取りや保証をするサービスで、主に「保証型」と「買取型」の2種類があります。
日本国内において、売掛金が発生する取引は珍しくありません。信用取引、掛取引、ツケなどとも呼ばれ、企業間で売掛金が発生する取引は一般的な方法です。売掛金の発生により、商品やサービスを提供した企業は「売掛債権」という未払い金の請求権利を得ます。
売掛金は、発生した翌月末や翌々月末など、指定日に振り込まれるのが一般的です。しかし、取引先は銀行口座に現金を準備する必要がありますが、企業の懐事情や業績などにより確実に入金準備できるという保証はありません。
そのため、売掛債権があるにも関わらず、支払いが遅れたり、支払われなかったり、最悪倒産してしまったりなど、売掛金を回収できないリスクは常にあるのです。そこでファクタリングを利用すれば、取引先からの支払いに問題が生じても、売掛金の買い取りや保証を受けとることができます。
また、ファクタリングは法律に触れるような怪しい取引ではありません。経済産業省中小企業庁が推奨する、正規な資金調達法なのです。
関連記事:「売掛金買取(ファクタリング)って何?仕組みや融資との違い、注意点について」
(2)保証ファクタリングとは
保証ファクタリングとは、売掛金を回収できなくなったときに保証会社が保証してくれる仕組みです。売掛で取引している企業に対し、支払い能力や与信状況への不安がある場合、未回収リスクを回避するための保険として使われます。
取引先企業の倒産や経営破綻などにより、売掛金が回収不能となった際に履行される保証サービスです。
【おもな履行条件】
- 破産や会社更生の手続きが開始された
- 特別清算が開始された
- 民事再生や、その他法的倒産の手続きの申し立てがされた
- 手形交換所の取引停止処分を受けた
- 手形や小切手の不渡りを起こした
- 任意整理着手を公表した
- すべての営業を廃止した
- 本店事務所を閉鎖した
このように、経営破綻の確認された時点で保証は履行されます。
保証型は経営破綻が確認されなければ、保証の対象にはなりません。一方の買取型は、売掛金を現金化するためのサービスで、ファクタリング会社に売掛金を売却するため、売掛先から振り込まれる前に現金化できます。
2、保証ファクタリングのメリット
ここでは、保証ファクタリングのメリットについて解説しましょう。
(1)貸し倒れリスクの回避
もっとも大きなメリットになるのは、貸し倒れリスクを回避できることです。与信審査を厳しく行ったとしても、完全に貸し倒れリスクを防げるわけではありません。とくに未回収となった額が大きければ、会社の経営に大打撃を与えることになります。
保証ファクタリングを利用していれば、売掛先が経営破綻しても保証されるので、貸し倒れリスクを回避できるのです。
(2)与信審査ができる
保証ファクタリング会社を利用すれば、与信審査をアウトソーシングできるのもメリットです。
ファクタリング会社に保証ファクタリングを申し込むことで、売掛先の与信審査を行い、その結果により保証料の上限が提示され、契約という流れになります。申し込みをすれば自社で与信審査をしなくても、ファクタリング会社が行ってくれるのです。
その結果、自社で調べることなく、売掛先の経営状況や返済能力などを把握することができます。例えば、保証料の上限金額が高く提示されれば、安心して取引できる材料と判断でき、その逆ならリスクがある取引と判断できるのです。
自社で与信審査するより、時間や費用コストの削減など業務の効率化にもつながりますね。
(3)売掛先に知られず利用できる
保証ファクタリングは、売掛先に知られずに利用できます。売掛先に知られると、信用を失ってしまい取引を解消されるケースも少なくありません。申し込み、与信審査、ファクタリングの実行など、すべて情報は売掛先に通知されずに行われます。
(4)大手の金融機関から利用できる
保証ファクタリングを取り扱っている保証会社のほとんどは、大手金融機関や大手企業のグループ会社です。初めて利用するサービスには「悪徳業者に騙されるのでは?」など不安がつきものですが、世間的に信用のある企業が取り扱っているので安心して利用できるでしょう。
また、保証ファクタリングは経営破綻を基準に保証する性質上、精度の高い与信審査が必要です。そのため、与信審査のノウハウが豊富な、大手金融機関や大手企業のグループ会社などでしか対応できないという側面もあります。
(5)国の助成を受けられることも
種類によっては、国から助成金を受けられる保証ファクタリングもあります。国の助成を受けられたら、保証料の負担を減らせます。
例えば、建設業向けの助成に「下請債権保全支援事業(債権支払保証事業)」というものがあります。これは、下請建設企業が保証ファクタリングを利用しやすいように保証料負担に対し助成するというものです。
万が一、元請の建設会社の経営破綻などで売掛金を回収できなくなっても、ファクタリング会社が保証金を支払います。そこで発生する保証料を助成してくれる仕組みです。
3、保証ファクタリングのデメリット
ここでは、保証ファクタリングのデメリットについて解説しましょう。
(1)保証料がかかる
保証ファクタリングの利用には、保証料がかかります。公表されていませんが、相場は保証上限額の「1〜8%」程度かかることが多いようです。保証料の利率は、売掛先の信用が高いと審査されれば保証料は低くなり、信用が低ければ保証料は高くなるのが一般的です。
そのため、信用が低いと判断された企業で、利益率が低い売掛金では損をする可能性もあるので注意しましょう。また、保証料は保証金の受け取り有無に関わらず、契約することで発生する費用です。
(2)契約できないことも
売掛先の与信審査結果によっては、保証ファクタリングの契約ができないこともあります。返済能力や信用力によって審査されるためです。
利用する顧客としては「危ない売掛金であるほど保証してもらいたい」と考えるでしょう。一方のファクタリング会社は「倒産することが目に見えている危ない売掛金であるほど保証したくない」と考えるのです。
(3)支払い不能時しか保証されない
保証ファクタリングの保証は、売掛先が経営破綻状態など支払不能時のみになります。前述したように、保証金を受けなかった場合でも、支払った保証料は戻りません。
4、保証ファクタリングに向いている会社や業界
ここでは、保証ファクタリングを利用するのに向いている会社や業界を解説します。
【向いている会社】
- 与信審査のノウハウがない
- 売掛先が特定の1社に偏っているため売掛金の額が膨大になっている
- 自社の経営も厳しく売掛先が1つでも経営破綻したら危ない
- 売掛先からの支払い遅れが目立つようになった
基本的に、売掛金の未回収リスクがある場合に利用するとよいでしょう。未回収が出た場合、自社も経営危機に陥ります。特に1社との取引に偏っている状態では、共倒れとなってしまいます。
【向いている業界】
建設業界
売掛金の額が大きく、着工から完成までの期間が長く、回収までの期間も長くなるという特徴があり、資金繰りの悪化の懸念があるためです。
アパレル業界
仕入れから販売するまでに期間が長いという特徴があり、経営状況は悪くなくても資金繰りがスムーズにいかないケースもあるためです。
介護業界
国民保険団体連合会から支払われる介護報酬が、請求から支払いまでに約2カ月の期間があるため、経営に影響が出るケースもあります。売掛先が国民保険団体連合会という信用ある機関なので、ファクタリング会社からの信用も得られやすいのも特徴です。
5、保証ファクタリングを利用できる会社
ここでは、保証ファクタリングを利用できる会社を紹介します。
(1) MSFJ株式会社
【特徴】
- 業界最安値の手数料
- 個人事業主、フリーランスなど専用のファクタリングサービスも展開
- 「建設業コンサルティング企業」としていので、建設業におけるファクタリングへの強みを期待できる
手数料が業界最安価格帯のファクタリング会社です。個人事業主やフリーランス専門ファクタリングなら、10万円から利用できます。
(2)ピーエムジー株式会社
【特徴】
- 個人事業主や自営業者も利用できる
- コンサルティング事業も展開している
- 資金調達や経営再建についての相談やサポートを受けられる
ファクタリングによる資金調達も可能ですが、コンサルティングによるサポートにも強みがある会社です。資金を調達したうえで、具体的な経営改善策への提案が受けられます。
(3)日本中小企業金融サポート機構
【特徴】
- 個人事業主や零細企業の資金調達などをサポートする一般社団法人
- コンサルティング事業も展開している
- 郵送ファクタリングというサービスもある
郵送ファクタリングという、独自サービスがあります。申し込みから契約まで、すべて非対面で行えるサービスです。かなりの時短になり、スピーディーな資金調達が期待できます。
(4)ジャパンマネジメント
【特徴】
- 最低売掛金20万円から利用できる
- 個人事業主も利用可能
- 全国対応、来店不要で契約可能
全国どこからでも申し込むことができます。「他社で断られた場合も資金調達可能」としているので、もし他社で断られたり、納得できる提示がされなかったりした場合、相談してみましょう。
(5)えんナビ
【特徴】
- ノンリコース契約で、売掛金が未回収になっても支払いリスクなし
- 業界最低水準の手数料帯、リピート率も高く顧客満足度93%(※公式サイトより)
- 法人も個人事業主も利用可能。最低売掛金50万円から
万が一、売掛先が倒産してもファクタリング会社への支払いリスクが発生しません。支払いリスクがないことは、少ない資金でやりくりしている個人事業主にも有用なサービスといえるでしょう。
6、保証ファクタリングを利用する流れ
保証ファクタリングは、申し込みから保証を受けるまで、どのような流れで進められるのでしょうか。
- ファクタリング会社に保証契約を申し込む
- ファクタリング会社は売掛先企業の与信審査をする
- 与信調査の結果に基づき保証額の上限を決め、合意すれば契約
- 売掛先企業の経営破綻が確認されたら保証額の上限範囲内で未回収の売掛金が支払われる
保証ファクタリングは、売掛金の全額が保証されるサービスではありません、与信審査によって決められた上限額内での保証です。
7、まとめ
保証ファクタリングは、売掛金に保険をかけられるサービスです。しかし、売掛先の与信審査や売掛金の額によっては、逆に損をしてしまう可能性もあります。
多くのファクタリング各社では、ファクタンリング業務以外にもコンサルティング事業を展開しているので、不安や疑問がある場合は早めにファクタリング会社へ相談するとよいでしょう。