ご自宅もしくは相続などで取得した住宅の売却をお考えで、その中でも住宅の買取サービスにご関心がおありではないでしょうか。
住宅の買取とは文字通り、売却したい住宅を現金で買い取ってくれるもので、日本全国にある多くの不動産会社が提供しているサービスです。
不動産会社の中には買取専門という業者もあるほど、古くから多くの利用者に親しまれています。
住宅買取をお考えの方が、今特に気になっていることを挙げてみました。
- 買取の他に住宅を現金化する方法はある?
- 他の方法と比べて住宅買取にはどんなメリットがある?
- 住宅買取のデメリットや注意点とは?
- 損をすることなく賢く買い取ってもらう方法は?
- まずは何から始めればいい?その後の流れは?
この中に該当するものが1つでもある方は、この記事にその答えがありますのでぜひ読み進んでください。
少しでも早く、確実に住宅を売却したい方にとっては重要な知識ばかりなので、どうぞ最後までお付き合いください。
目次
【不動産買取のキホン】買取を完璧に理解するための12のこと
1、住宅を今すぐ売りたい方には、「買取」があります
最初に結論から申し上げますと、住宅買取の最大のメリットは早く売れて現金化できることです。
住宅買取について、まずは知っておきたいポイントを3つ解説します。
(1)お急ぎの方に「買取」は最善の選択肢
何らかの事情でお金が必要という場合、住宅買取は「早さ」においてダントツです。
不動産会社が査定をして、自らが買い取るのですから、買主を探す必要がありません。
最短で3週間あれば買取を完了させて現金を手にすることができるので、とにかく急いでいるという方には、住宅買取は最善の選択肢です。
(2)面倒な作業や後腐れがない
不動産取引には、多くの「面倒」があります。買主を探してもらうための宣伝活動に始まって内覧への対応、買主との価格交渉、そして契約、最後には不動産会社への仲介手数料支払いなどなど。
その点、住宅買取は買主が目の前にいる不動産会社なので、仲介手数料はもちろん不要ですし、修繕やクリーニングも不要、さらに瑕疵担保責任といって後になって発覚した不具合の責任を取る義務もありません。
不動産取引に付きまとうたくさんの「面倒」をすべて解消できるのも、住宅買取のメリットでしょう。
(3)しかし、手順を間違えると3割も損をする場合も
早くて確実、しかも面倒がない住宅買取はメリットがいっぱいですが、その裏返しとなるデメリットももちろんあります。
最大のデメリットは、手軽な分だけ売却価格が安くなってしまうことです。しかもうまく立ち回らないと想定以下の価格で売却することになってしまって大損もあり得るので、それを避けるための対策が必要になります。
この記事では次章以降、住宅買取のデメリットやリスクを抑えつつしっかりとメリットをいかすための知識や立ち回り方を解説していきます。
2、住宅買取サービスの基礎知識
まずは、住宅買取とはどんなサービスなのか?という基本と概要を解説します。
(1)住宅買取とは?
住宅買取とは、不動産会社が自ら買主となって住宅を現金で買い取るサービスのことです。
不動産取引には必ず売主と買主が存在しますが、住宅買取の場合は不動産会社自らが買主となる2者間取引です。
(2)買取と仲介の違い
住宅の売却には、買取以外に仲介という選択肢があります。
住宅買取は不動産会社自らが買主となる取引であるのに対して、仲介は不動産会社が買主を探すサービスです。
不動産情報ネットワークへの掲載や宣伝活動によって買主が見つかったら、売主はその相手に住宅を売却します。不動産会社はその間に入って交渉のサポートや実際のオペレーションを行うため、「買取」ではなく「仲介」というサービスになります。
(3)即時買取と買取保証
住宅買取には、大きく分けて2つの形態があります。
①即時買取
不動産会社との交渉で価格に同意したら、その価格ですぐに取引を実行するのが即時買取です。
おそらくこの記事をお読みのほとんどの方が想像されている買取の形です。
②買取保証
不動産会社に依頼をして一定期間は売りに出してみて、それで思うように売れなかった場合に不動産会社が買取を保証するのが買取保証です。
もし仲介の段階で買主が見つかったら不動産会社ではなく買主に住宅を売却することになります。
即時買取との違いは、仲介の方が高く売れる可能性が高いので、その可能性にチャレンジしてみる点です。
(4)住宅買取のメリット5つ
住宅買取のメリットについては冒頭で少し触れましたが、ここでは詳しく解説します。住宅買取のメリットは、主に5つです。
①とにかく早い
冒頭でも述べましたが、売却完了までとにかく早いというメリットがあります。
多くの不動産会社が最短3日で査定、そして最短3週間で完了と謳っているので、売却価格に早期合意ができれば3週間後には現金を手にすることができるイメージです。
②面倒な作業やコストが不要
これも冒頭で述べましたが、住宅買取は不動産取引の面倒な部分をすべて不動産会社がやってくれるので、面倒な作業や手続き、コストが不要です。
早いことに加えて売主があまり何もしなくても良いという手軽さは、相続で取得した住宅など特に使用予定がないような不動産を売却するのに適しています。
③内覧で他人が家に来ることがない
仲介で住宅の売却活動をすると、買主候補の人が内覧に訪れます。
自分が住んでいる家に赤の他人がやって来て家の中を値踏みされることに抵抗を感じるという人は意外に多いですが、住宅買取だと不動産会社が買主になるのでそれ以外の人が自宅を見に来るということはありません。
④後腐れがない
不動産取引には瑕疵担保責任といって、売買が完了した後で隠れていた不具合が見つかったりすると、売主がその責任を負わなければならない場合があります。
売却を完了した後になって費用負担が発生するようなことがあると、売却計画に狂いが生じてしまいますが、住宅買取の場合は瑕疵担保責任を伴うことがないので、売買完了後の後腐れがありません。
売ったら最後、それっきりです。
⑤住宅を売ったことがバレない
5つ目は、事情によっては意外に大きなメリットです。仲介と違って住宅買取の場合は売却活動をしないため宣伝することも、内覧に誰かがやって来ることもありません。
そのため住宅を売却しようとしていることや、売却したことが他人に知られにくく、あまり表に出したくないという場合に有効です。
よくあるのが離婚に伴って住宅を売却するケースで、住宅の売却活動をするだけで近隣に憶測が広がってしまい、無用なストレスを感じるというケースがあります。
その点、住宅買取であれば近隣に知られる可能性が極めて低く、仮に知られても売却が完了して引っ越した後の話です。
(5)住宅買取の最大のデメリット
住宅買取のメリットが5つあるのに対して、住宅買取のデメリットはたった1つです。
それは、査定価格・買取価格ともに安くなることです。おおむね仲介と比べて2割ほど安くなると言われており、事例によっては3割ほど安くなってしまうこともあります。
5,000万円の住宅を売却する場合、買取だとそれが4,000万円もしくはそれ以下になる可能性があるということです。少々の差であればメリットが大きいので許容できるかも知れませんが、物件価格や下落率によっては看過できない金額となります。
しかし、このデメリットは売主がうまく立ち回ることで低減できます。住宅買取で少しでも高く売るための方法については、次章で詳しく解説します。
(6)住宅買取が適しているのは、こんな人
ここまでの解説を総合して、住宅買取を利用することに適しているのは以下の条件に合致する人です。
- お金が必要なので早く売りたい
- 時間が掛かる、内覧に人が来るなど煩わしいことは嫌だ
- 近所の人などに知られたくない
- 遠隔地の住宅など売却活動が面倒になりそう
- それゆえに多少安値になっても納得できる
上記の条件に1つでも多く該当する方は、住宅買取を検討してみてください。
3、住宅買取で損をしないための5大ポイント
住宅買取で唯一のデメリットである、買取価格が安くなってしまう問題。
この問題を少しでも低減して損をしないためのポイントを5つにまとめました。
(1)最低でも3ヶ所以上に査定依頼をする
すでに信頼関係ができている不動産会社があるという場合は別として、そうでない場合は少なくとも3社以上に査定依頼をしてください。
複数の不動産会社から査定価格やその根拠を聞くことにより、売却したい住宅の相場観を掴むことができます。有利に交渉を進めるためにも、己を知る(=住宅の価格相場を知っておく)ことは重要です。
複数社に査定依頼を出す際には、一括査定サイトを利用すると便利です。「不動産投資の教科書」では、以下の5サイトをオススメしています。それぞれのレビュー記事を公開しているので、そちらも参考にしてください。
・すまいValue
東急リバブル、住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社を大手不動産会社だけに絞った大手志向の一括見積サイトです。
大手の意見も聞いてみたいという場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
・HOME 4 U
登録不動産業者の審査が厳しく営業攻勢を掛けてくるような業者を排除していることや、NTTグループである安心感など、初めての方や投資家ではなく自己所有の家を売却したい方などにもオススメできるサイトです。
・SRE不動産(旧ソニー不動産)
ソニーグループの不動産会社で、100%売り手の立場で売却活動をサポートしてくれます。サービス対応エリアに該当するならオススメです!!
・イエカレ(不動産売却)
不動産を最高価格で売却するをうたっているサイト。土地活用にも強いので、土地だけを売りたい場合もシミュレーションしてみると良いかも知れません。

・イエウール
1700社以上の不動産会社と提携、最大6社同時に査定を依頼できるところが強みでしょう。複数の査定額を比較できるため、高値で売ってもらえる業者を見つけやすいとも言えます。
(2)ある程度の相場観を持ってから査定の依頼をする
前項では一括査定サイトを利用した方法で相場観を掴むことを推奨していますが、この作業の前に自力である程度の相場観を掴んでおく方法があります。
より確実に理論武装をしておくということであれば、以下のサービスを利用してみてください。
不動産取引価格情報検索(国土交通省)
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
国土交通省が提供している、不動産取引実績のデータベースです。近隣でよく似た物件が取引されている場合、その価格を知ることで相場の参考になります。
おうちダイレクト
https://realestate.yahoo.co.jp/direct
首都圏限定のサービスですが、都県名を選択して住宅の形態(マンション、戸建て)を選択、その物件を特定しやすいようマンション名や路線名、駅名などを入力するだけでAIが価格査定をしてくれるサービスです。
(3)不動産会社の査定価格では理由にこだわる
不動産会社から提示される査定価格には、単に金額だけでなく根拠が添えられています。
なぜその査定価格になったのかという根拠が明確でない場合は、「ボッタクリ」か「どんぶり勘定」の可能性があります。
いずれも買取サービスを利用するのに値しない査定結果なので、査定価格の提示を受ける際には根拠や理由にもこだわり、納得できるものであるかどうかを精査してください。
(4)足元を見られないようにする
早く現金化できることは住宅買取のメリットですが、あまり急いでいる印象を不動産会社に悟られないようにしましょう。
急いでいるということは少々の値引きにも応じるのではないか、と足元を見られてしまう恐れがあります。
もっとも、この記事でご紹介しているように一括査定サイトでそのような扱いをされることは考えにくいですが、「不動産業界は海千山千」であることも事実です。
担当者と話す際にも殊更急いでいる素振りを見せるよりも、「納得いく価格なら売りたい」と大きく構えて臨みましょう。
(5)買取を任せる不動産会社をしっかりと見極める
売ったらそれっきり、後腐れなしというのも住宅買取のメリットであると述べました。
しかし、だからといって相手は誰でも良いということはありません。
大きなお金が動く取引をするのですから、買取を任せられるか、信頼できるかという視点も忘れないようにしてください。
不動産業界には取引相手となる不動産会社だけでなく、そこで窓口となる担当者との信頼関係も重要になるというセオリーがあります。
自分の大切な所有物件を買い取ってもらうのですから、信頼できる会社・担当者を見極めましょう。
4、「不動産投資の教科書」がオススメする住宅買取の流れ
最後に、「不動産投資の教科書」がオススメする住宅買取の相場調査から売却完了までの流れを時系列で大まかに解説します。
(1)自力である程度の買取相場を調べておく
まだ不動産会社に査定依頼をする前に、まずは自力で価格相場を調べておくのが理想です。査定依頼に反応した不動産会社の担当者とファーストコンタクトを取る際にも、ある程度の相場観は役に立ちます。
先ほどもご紹介しましたが、これらのサービスを利用して相場観を掴む努力をしてみてください。もちろん、いずれも無料で利用できます。
不動産取引価格情報検索(国土交通省)
http://www.land.mlit.go.jp/webland/servlet/MainServlet
国土交通省が提供している、不動産取引実績のデータベースです。近隣でよく似た物件が取引されている場合、その価格を知ることで相場の参考になります。
おうちダイレクト
https://realestate.yahoo.co.jp/direct
(2)一括査定サイトで見積もり依頼を出す
こちらも先ほどと解説が重複しますが、ある程度の相場観を掴んだら次は査定依頼です。
複数社に同時に査定依頼を出すのが効率的なので、以下の一括査定サイトを利用してみてください。
不動産一括見積サイトは一度の見積もり依頼操作だけでそこに登録されている不動産会社に見積もり依頼が届くので、手軽に複数の不動産会社からの意見を集めることができて、相見積もりができます。
仕組みとしては以下の通りです。
そのメリットは先ほどもお伝えした通り相見積もりを取れることで、結果としてより適正な価格で売却することが可能です。
「不動産投資の教科書」としては、以下の3つのサイトをオススメしています。
第1位:すまいValue(すまいバリュー)
すまいValueは、不動産仲介の7割近くのシェアを誇る大手6社の不動産会社が直営の不動産査定サイトです。
物件のタイプについても、
- 分譲マンション
- 一戸建て
- 土地
- ビル
- アパート
など全てのタイプを対応しておりますので、ぜひ活用してみて下さい。
第2位:査定結果の連絡方法を選ぶことができる「HOME4U」
HOME4Uは、NTTデータが14年も運営している、「住み替え」から「資産運用」「任意売却」まであらゆる売却ケースの査定に対応できる、豊富なノウハウを持つ老舗不動産査定サイトです。
不動産売却の査定で外せない
- 東急リバブル
- 三菱UFJ不動産販売
- 野村の仲介+
- 三井住友トラスト不動産
などの大手不動産から、「地場」と呼ばれる地域密着型不動産会社まで、全国で900以上の不動産会社が登録されています。
なお、HOME4Uはかなり厳しい選定基準を設けており、サイト上でも
- 「悪徳業者」
の登録を徹底的に排除すると公言しています。
第3位:たった45秒簡単比較査定ができる「イエカレ」

(3)高すぎる価格、安すぎる価格を除外する
同じ不動産に対する評価なので、おおむねどこの不動産会社も似たような査定価格になるのが普通です。しかし、中には大幅に高い場合と安い場合があります。安い場合は額面通り除外をすれば良いと思いますが、注意したいのは大幅に高い査定価格を出してきている場合です。
査定価格が高いのは喜ばしいことですが、気になるのは事前に調べた相場や他の不動産会社が提示している査定価格と大きく異なっている点です。これは自社との取引を促すために「大盛り」の査定価格を出してきている可能性が高く、実際に買取となるとあれこれ理由をつけられて他の不動産会社と大して変わらない金額になったり、ひどい場合はもっと安い金額で買い取られてしまうことがあります。
不動産に掘り出し物なし、これほど相場に忠実な商品はないほど不動産には厳然とした相場があるので、平均的な査定価格を提示している不動産会社を有力な候補としましょう。
(4)納得できる査定価格を出してきた不動産会社に買取を依頼する
提示された買取価格に納得できれば、買取契約へと進みます。売主はあなた、買主は査定を出してきた不動産会社です。相手は不動産取引のプロなので、書類の準備や契約に必要な手続きはすべてやってくれます。
重要事項の説明があるので、後になって不利なことに気づくといったことがないよう、細かい部分までしっかりと聞いて確認しておくようにしてください。
(5)売却代金を受け取って買取完了
不動産の所有権移転は登記によって確定します。それと同時に買取代金の決済があるので、その現金を受け取って買取は完了します。
まとめ
とてもメリットが多い一方で売却価格がどうしても安くなってしまう住宅買取について、基本的な知識から損をしないための立ち回りテクニック、最後には住宅買取の流れを解説してきました。
完了できる情報はすべてが揃っているので、この情報を活用して住宅買取を有利に進め、納得のいく形で住宅を売却してください。