土地の売却を考えている場合、まず気になるのがその土地の価格です。
土地を実際に売り出すときの価格は、不動産会社が査定した価格を参考に決まりますが、大まかな相場価格は自分でもシミュレーションすることはできます。
今回は、自分で土地の査定価格をシミュレーションする方法について解説します。
(監修:田井能久 不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)
土地の売却を検討している方は、以下の記事もご参考ください。
目次
1、自分で土地の査定価格をシミュレーションしてみよう
(1)国土交通省や国税庁の地価情報サービスを利用する
土地は「一物四価」と言われ、価格の評価方法が4種類あります。
公示価格(公示地価/基準地価):国/都道府県が発表
相続税路線価:国税庁が発表
固定資産税評価額:市区町村が発表
実勢価格:実際に売買成立している価格
このうち、土地の売買で参考にされるのは「公示価格」と「実勢価格」です。
また、国税庁が発表する相続税路線価は、市街地にある土地価格をそれぞれ接面する道路の価格水準で表されているものです。
土地の価格が網羅的に調査されている点で、広く活用されているため参考にするとよいでしょう。
これらの情報を駆使して該当するエリアの土地価格を調べ、自分で価格をシミュレーションしてみましょう。
公示価格
参考URL:国土交通省・国土交通省地価公示・都道府県地価調査
実勢価格
参考URL:国土交通省・土地総合情報システム
相続税路線価
参考URL:国税庁・路線価図評価倍率表
(2)AI自動査定サービスを利用する
民間の不動産会社のなかには、社内で蓄積したデータからエリア相場などを発表している会社もあります。
さらに現在では、AIで自動査定してくれるサービスが多数存在します。
AI査定サービスは、時間やコストをかけずにネットから自分自身で土地の査定が可能です。AIによる簡易的な査定なのであくまでも目安として扱いましょう。
匿名でも結果を確認できるというのは大きなメリットですが、AIによる簡易査定は、土地の状況や相場の変動によって、実際の価格と異なる可能性があるため、注意が必要です。
不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’S
参考URL:不動産・住宅情報サイトLIFULL HOME’S
2、実際に売却するときは不動産会社の査定が必要
自分で土地の査定価格をシミュレーションすることは可能です。ただし、目安として扱い、売却するので実際の査定価格を知りたいというときは、不動産の専門家に相談することをおすすめします。
不動産の専門家への相談は、複数の不動産会社に一括して価格査定を依頼できる無料のオンライン査定サービスを利用するのが一般的です。
一括査定依頼ができるサービスを利用することで、1回不動産の情報を入力するだけで、複数の不動産会社の査定価格を見比べることができます。
不動産を高く売却するためには、複数の不動産会社の査定結果を比較し、高く売却できそうな会社と仲介契約を結ぶことが必要です。
無料のオンライン査定サービスを3つご紹介します。
すまいValue|ここでしか依頼できない大手不動産会社が集結!
不動産売却一括査定サイトのなかで、絶対に外したくないのが「すまいValue」。
不動産大手6社が共同で立ち上げた一括査定サイトです。
6社というと少ないように感じるかもしれませんが、このうちの3社は以下のとおり。
- 三井不動産リアリティネットワーク
- 住友不動産
- 東急リバブル
この3社だけで、業界における仲介件数がトップ3を占めているため、査定サイトの中では流通件数自体は最も多いとも言えます。
また、上記3社は「すまいValue」でしか査定依頼ができません。これだけでもかなりのメリットといえるのではないでしょうか。
大手不動産会社は広告料が安く、有名ポータルサイトに物件を掲載してくれる可能性もあるため、早く売れる可能性が高くなるでしょう。
「すまいValue」に参加している6社は、すべて全国的なネームバリューを誇る大手不動産業者なので、不安や心配を感じることは少ないでしょう。
「すまいValue」を利用した人の96.3% が安心感があると回答しています。安心感を最優先させたい人におすすめの一括査定サービスです。
ただ、大手不動産会社のため、売却時の仲介手数料は比較的高額になる可能性が高く、地方や郊外の物件の場合は査定のエリア外となってしまう場合もありますので、注意が必要です。
SUUMO|大手から地域密着型まで幅広く10社に依頼が可能
「SUUMO」は、株式会社リクルートが運営する一括査定サービスです。
全国に対応しており、提携社は大手から地域密着型まで幅広く、10社に査定を依頼できます。(※査定可能会社数は物件所在地によって異なります)複数社に査定を依頼することで適正な相場を知ることができるのは大きなメリットです。
依頼する会社を選択する際には、店舗の実績やスタッフ紹介など詳しい情報を確認することができるので、初めて査定依頼をする場合でも安心感を持つことができます。
相続やローンなど不動産を売却する際の注意点についてのサポート体制も充実しており、SUUMO売却査定の利用者満足度は91%です。(2021年3月調べ)
大手3 社(三井不動産リアリティネットワーク、住友不動産、東急リバブル)に依頼することはできないのがデメリットですが、できるだけ多くの査定結果をもとに比較検討したい人におすすめの一括査定サービスです。
SRE不動産|AIを使った売却手法×エージェント制度で納得度の高い査定
「SRE不動産」はソニーグループの不動産会社です。
SRE不動産では、業界最高水準の精度を誇るAI が、以下のような人間では処理できないほどの大量なデータや、さまざまな条件から売却の推定価格を算出します。
また、注目すべき特徴として、「売却エージェント制」があげられます。
不動産会社では、自社で売り手と買い手の両方を担当することを目標とするのが一般的です。これを「両手仲介」といい、双方から仲介手数料を受け取れるというメリットがあります。
しかしながら、仲介手数料は成功報酬なので、成約しなければ受け取ることができません。
成約につなげるためには売り手・買い手どちらかに肩入れするのではなく、双方の妥協点をすり合わせていくというスタイルになります。会社利益を考えればやむを得ないことですが、売る側も買う側も100%満足というわけにはいきません。
SRE不動産では、ひとりの営業が売り手と買い手の双方の担当者となることを原則禁止し、売却専門・購買専門に組織を分けたエージェント制度を導入しています。
仮に自社で買い手が見つかったとしても、業務や担当が完全に独立しているため、売却エージェント(担当)は100%売り手の要望にそって交渉にあたります。
「業界最高水準のAI(人工知能)」による客観的でより正確な査定価格の算出と、「売却に特化した専門エージェント」のサポートによって、「安心安全なお取引」と「早く高く売ること」を徹底的に追求しているのです。
なお、SRE不動産はサービスエリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)が限られていますが、該当する場合はぜひおすすめしたいサイトです。
(1)実際に土地査定を受ける前に準備するものは?
土地の売買に必要な書類として「(購入時の)売買契約書」や「登記簿謄本」などが挙げられます。
登記簿謄本(全部事項証明)は、住戸表示でなく所在地が分かるものとしてあれば望ましいでしょう。
登記簿謄本がなければ、固定資産税の課税明細書でも対応できます。
また、所有地が複数筆あるときは、そのうちのどの筆に該当し、合計何筆になるのかを把握しておくことが必要です。
他人に土地を貸している土地(底地)ならば、どのような借地契約を締結しているか、年額いくらの地代をいつから受けとっているかなどの契約内容を把握しましょう。
土地に関しては、所有者が自分の土地の状況を正確に把握していないというケースが多いです。
親から引き継いだ土地だったり、現在も親が管理してきた土地だったりすると、敷地の境界線さえ何となくしかわかっていないという状況も少なくありません。
土地査定において、曖昧な点はすべてマイナスに働いてしまう可能性があるので、特に売却する場合には、資料をできるだけ集めるようにするとよいでしょう。
(2)土地を売却するときの流れ
土地を売却するときの基本的な流れは、以下のとおりです。
- 土地の相場を知る
- 必要な資料を用意する
- 土地の一括査定を依頼する
- 土地を売り出す
- 買主が決まったら契約を結び引き渡す
「土地の相場を知る」とは、自分で土地査定シミュレーションを行いおおよその概算を把握することです。
予め土地の相場を知っておくことによって、後ほど不動産会社に査定してもらった額の根拠をより理解しやすくなるでしょう。
3、土地の査定価格が適正かを判断するには?
自分で査定した土地の査定価格が正しいか否かを判断するには、地域に精通した業者などのセカンドオピニオンに頼りましょう。
売り手に関しては、過去の高い売買事例を根拠に高い価格が妥当であると考えがちです。
一方、買い手が欲しいのは過去の情報でなく将来どうなるかという情報であるので、この考え方のギャップに注意する必要があるでしょう。
業者が査定した価格に関しても適正さを判断するためには、やはりある程度の地価相場に対する情報を自分でも持たないと、その価格が適正かどうかは検証できません。
土地価格の査定において、無料査定を行う業者や自動査定サイトは地価水準を知るための道具としてはとても大切です。
しかし、最終的に売るべきか買うべきかという判断をするのはご自身なので、一定の査定の知識を備えることも大切でしょう。
土地の査定価格についてのQ&A
「土地は一物四価」とは?
土地の価格の評価方法が4種類あることを指して「土地は一物四価」といいます。
- 公示価格(公示地価/基準地価):国/都道府県が発表
- 相続税路線価:国税庁が発表
- 固定資産税評価額:市区町村が発表
- 実勢価格:実際に売買成立している価格
このうち、土地の売買で参考にされるのは「公示価格」と「実勢価格」です。
自分で土地の査定価格をシミュレーションすることは可能?
公示価格・相続税路線価・固定資産税評価額・実勢価格など、公的機関で公開されている情報を駆使し、該当するエリアの土地価格を調べ、自分で価格をシミュレーションすることは可能です。
ただし、目安として扱い、売却するので実際の査定価格を知りたいというときは、不動産の専門家に相談することをおすすめします。
匿名で土地の査定価格を知ることは可能?
匿名でも、AIで自動査定してくれるサービスが多数存在します。
AIによる簡易査定は、土地の状況や相場の変動によって、実際の価格と異なる可能性があるため、あくまでも目安として扱う必要があります。
まとめ
今回は、土地の査定について解説しました。
土地の査定の方法や流れをはじめ、準備するものや土地の査定価格が適正かどうか判断する方法について理解いただけたかと思います。
土地の査定は、自分自身でも行うことが可能ですが、情報をしっかり選択することや、土地の査定を業者任せにしないことが重要です。