「ペット可ではなく、共生物件へ……?」
これはどういうことかを疑問に思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
不動産投資や不動産経営にとって、経済環境の変化や国内不動産市場についてネガティブな情報を見聞することは多く、心配事や悩みのタネは尽きません。
それでもここ数年で著しい市場の拡大を見せ、今後も安定的な需要が見込める特異なものもあり、それがペット関連ビジネスであります。
ペット関連ビジネスの王道はもちろん主役である犬や猫の販売ではありますが、ペットフードや首輪やペットシートなどのペット用品なども広がりを見せており、広い意味では人間がペットと暮らす家もその関連ビジネスに入る勢いであります。
今回は右肩あがりのペットビジネス市場に、不動産経営をどう活かすのかを、毎月不動産に興味ある方が数万人訪問する『不動産投資の教科書』編集部と一緒に考えて行きましょう。(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)
収益物件の選び方について、詳しくは以下の記事をご覧ください。
1、「ペット可」の不動産と「ペット共生型」の不動産の違いとは?
戸建住宅が一般家庭の中心的な住まいだった頃は、庭に犬小屋を置き、そこで犬を飼うのが典型的なペットとの付き合い方でありました。
しかしマンションなどの共同住宅、そして都心で暮らすようになると庭というものがなく、また散歩もできる環境にないので屋内で動物を飼うことしかできず、それに適した猫や鳥などが人気を集めるようになります。
最近では室内で飼えるペットの種類が増え近隣に迷惑がかからないのならいいのではという意見が多く、「ペット可」の物件が増えてきました。
この「ペット可」の物件は、あくまでも人間が住む上で迷惑の掛からないペットなら飼ってもよいという、人間の目線で決定されているものです。
従ってあくまでも人間にとって住みやすい設備で作られており、変えたところは管理規約などの生活のルールぐらいだと思われます。
ペット可物件が増える一方で、少子化で子供のいないカップルや単身者が、愛情を注ぐ相手としてペットの地位がどんどん高まり家族として扱われるようになって、ペットにとっていい環境かどうかを家探しの基準とする人々が増えてきました。
その場合、近くで遊べる公園があるとか静かな環境であることはもちろんのこと、建物設備としてペットが家に帰ったときにすぐに使える足洗い場や、くぐり扉や、汚物流しなどが求められます。
そして室内も、猫ならキャットウォークや滑りにくい床や傷が付きにくい壁が求められますし、匂いに敏感な動物のために化学物質などの使用をできるだけ抑えた資材が好まれるのです。
このようにペット共生型はペットが家族の主役と捉え、そのペットが満足するような設備を備えている物件であるといえるでしょう。
2、ペット可の不動産のプロ「ペット共生住宅管理士」とは?
今は不動産選びの主役となったペットと共生するための住宅に対して、専門的な知識をもった人材を養成する目的で(公社)日本愛玩動物協会が6月に「ペット共生住宅管理士」検定という資格を新設しました。
参考URL:ペット共生住宅管理士(外部リンクに飛びます)
ペットの習性や正しい飼い方をきちんと理解し、不動産会社や管理会社などに勤務する方を始め、ペット共生マンションに興味があるオーナーに対しても取得を進めています。
受験はオンラインで手軽に受けられそうですが、その前提として、「動物の愛護及び管理に関する法律」の趣旨に基づき、愛玩動物(ペット)の愛護及び適正飼養管理の普及啓発活動などを行うために必要な知識・技能を収めて、所定の試験に合格し登録される「愛玩動物飼養管理士」の2級を取得している必要があるようです。
住宅の知識よりもペットに関する知識があることが前提となっている点で不動産の資格とは言えないのかもしれませんが、自身もペットが大好きで不動産も大好きな方なら興味を持って勉強ができるのではないでしょうか。
まとめ|不動産経営においてペットは「大事なお客さま」
空室解消の特効薬として「ねこ付きマンション」や「ねこ付きシャハウス」が話題になったように、ペットの不動産の関係性は重要なものになりつつあります。
ペットといえども最近の飼育状況は「室内飼育」「小型犬」などがポイントとなっていて、人間社会で室内でゲームをしながら一人で過ごし、高齢化や肥満化する人が増えているのを反映しているようです。
また飼っている人間が少子化や高齢化すれば、当然ペットも減少化や高齢化はするので長期的に見れば市場の縮小も避けられないでしょう。
それでも、もう家族の一員になったペットに対してかけるお金の高額化は当面は続くものと考えられます。
ペットはもはや大事なお客様であり、そのお客様に喜んで頂く方法として上記の資格を取るなどをして学んでいくことは大事な一つの不動産経営上の知識になると言えるのではないでしょうか。