• 不動産管理会社, 節税対策
  • 2024/3/28 (更新日:)

税理士が徹底解説!不動産管理会社設立による3つの節税メリットとは?

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不動産投資の規模が拡大するにつれ、個人オーナーが法人化や不動産管理会社の設立を検討するケースが増えています。

しかし、不動産管理会社を設立するには、税金や費用など多くの問題があり、初めての人にとっては難しいものです。

そこで、「不動産投資の教科書」では、不動産管理会社の節税対策や会社設立の流れについて詳しく解説します。不動産投資を行う際に知っておくべき情報をわかりやすくまとめたので、是非ご覧ください。

この記事を読んでいる方の必須知識は以下の記事を参照してください。
資産管理会社を設立する5つのメリット|注意点や手続き方法も解説

1、不動産管理会社設立は税金上3つのメリットがある

不動産投資 セミナー 講師

不動産管理会社とは、平たく言うと「法人として不動産の賃貸事業を行う」ということで、投資規模が大きくなった場合、法人化したほうがより多くのメリット、特に節税メリットを享受しやすくなります。

法人化した場合の税金上のメリットは、次の3つが挙げられます。

(1)利益への課税負担が減る

もっとも大きなメリットは「利益への課税負担が減る」ことです。なぜかというと、個人の所得税法と法人の法人税法で利益(所得)への課税の仕方が違うからです。

所得税法では、一言でいうと「低い所得には低い税率を、高い所得には高い税率を適用する」累進課税制度を採用していることをご存知でしょうか。

課税所得額が195万円以下ならば5%で済みますが、1000万円になると33%、3000万円になると40%、5000万円になると最高税率の45%が適用されます。

つまり、「儲かれば儲かるほど高い税金を課される」のが個人への税制です。

実際にはこの所得税に加え、住民税の所得割(税率10%)や国民健康保険税などもかかります。

一方、法人税では、おおよそ一律の税率が適用されます。資本金の額が1億円以下の中小法人について適用される税率は次のようになっています。

  • 年所得800万円以下…適用除外事業者以外15%  適用除外事業者19%
  • 年所得800万円超…23.2%

この他、法人住民税や法人事業税などを考慮した実効税率(法人の所得に適用される税目すべての税率)を計算すると37%前後になるため、儲かる規模が大きくなった場合は法人にしたほうが節税できるのです。

(2)家族への給与を経費として計上しやすい

個人オーナーとして不動産投資を行っている場合、事務作業などで家族に給与を支払ったとしても原則として必要経費に計上できません。

事業専従者控除や青色事業専従者給与という「家族への給料を必要経費にできる」という制度が所得税法にありますが、「専従できる程度の不動産事業としての規模を備えている」のが制度適用の条件です。

また、不動産賃貸事業に関してカフェで打ち合わせを行ったとしても、相手が家族の場合、打ち合わせ代は必要経費になりません。

しかし、不動産管理会社を設立し、家族をその役員や従業員にして業務を与えれば、支払った報酬や給料は法人の経費(損金の額)に計上できます。

また、会社の事業に関し、会社役員である家族とカフェで打ち合わせした場合、打ち合わせ代は経費に計上できます。

(3)贈与税・相続税が節税に

不動産管理会社を設立することは、贈与税・相続税の節税にもなります。

贈与税では年間110万円を超えて家族に贈与すると贈与税がかかり、200万円以下の贈与で税率10%で す。

一方、所得税では給与所得という形で家族に分配した場合、年間103万円を超えても課税所得額が195万円以下ならば税率は5%です。

所得控除などを合わせて考えると、給与として分配したほうが節税になる可能性が高くなることがわかるでしょう。

また個人で賃貸物件の土地を相続する場合、小規模宅地等の特例で評価額が50%減になりますが、適用面積の上限は200㎡です。

不動産投資規模が大きい場合、法人化を行って3年が経過すれば不動産としての相続評価額よりも法人株式としての相続評価額の方が低くなることが多く、結果、節税につながりやすくなります。

2、不動産管理会社設立の流れ

ここで、不動産管理会社設立の大きな流れを解説して行きましょう。

(1)不動産管理会社の設立手順と必要日数は?

会社設立の手順とそれぞれの作業に必要な日数は次のようになります。

  1.  社名、本社所在地、事業目的等の決定:1日
    2. 代表社印、社印、銀行印の作成:3日
    3. 定款作成:半日(※)
    4. 公証役場での定款認証:1日(※)
    5. 出資金の振込:半日
    6. 承認承諾書の作成:半日(※)
    7. 登記申請書の作成:2日(※)
    8. 法務局での登記申請~登記完了:7日(※)

事前に準備しておけば、8営業日程度で会社設立は完了しますし、どれも設立した人自身で行える作業です。ただ、時間がない場合や不安な場合、(※)の作業については、司法書士や行政書士など専門家に依頼することを検討しましょう。

(2)会社設立に必要な費用は?

会社設立にはおおよそ次の費用がかかります。

  • 定款認証手数料(公証役場にて):50,000円
  • 定款印紙税(公証役場にて):40,000円(電子定款ならば0円)
  • 定款謄本代(公証役場にて):約2000円
  • 登録免許税(法務局): 株式会社150,000円、合同会社60,000円
  • 登記簿謄本(登記完了後、法務局にて):1通600円
  • 印鑑証明代(法務局にて):1通450円
  • 会社印鑑など:10,000円~
  • 司法書士や行政書士などの手数料:50,000円~
  • ざっと30万円以上になりますが、法人や定款の形態次第では20万円以内で設立することができます。

3、不動産管理会社の設立に必要な資格

不動産管理会社を設立するためには、以下のような資格が必要となります。

(1)不動産業免許

不動産管理業務を行うには、不動産業免許が必要です。

不動産業免許は、都道府県の知事に申請して取得しますが、下記のような一定の要件を満たす必要があります。

  • 経営者や役員は一定の学歴や職歴を有していること
  • 業務に従事する社員も一定の資格を有していること

(2)宅地建物取引士

宅地建物取引士は、不動産取引に関する専門知識を有する国家資格です。

不動産管理会社が不動産取引業務を行う場合には、宅地建物取引士が所属していることが求められる場合があります。また、宅地建物取引士は、一定の講習を受講することで、資格を取得することができます。

(3)不動産管理士

不動産管理士は、不動産管理に関する専門知識を有する国家資格です。
不動産管理会社が不動産管理業務を行う場合には、不動産管理士が所属していることが求められる場合があります。

不動産管理会社を設立するためには、上記のような資格が必要となります。
それぞれの資格には一定の要件や取得条件があるため、事前に情報収集を行うことで、スムーズな設立手続きができるでしょう。

4、不動産管理会社を法人化したときの注意点

法人にした場合、社会保険の加入義務が発生します。また、社会保険料の法人負担分や税理士などへの専門家への報酬などでコストが膨らみやすくなります。

コツコツと会計記帳などの事務作業を行う必要もありますので、このようなことに気をつけながら、法人化するかどうかを検討するようにしましょう。

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5、まとめ

不動産管理会社の設立がなぜ節税につながるのか、そしてどのように不動産管理会社を設立するのかについて解説しました。

不動産投資における利益を最大限享受できるよう、正しく節税を行なっていきましょう。

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