不動産売却時の「仲介手数料」は、安くならないのだろうか……。
不動産売却をして収益を得たいのに、仲介手数料が高額であると不動産売却に気が引けてしまいますよね。
不動産売却時の仲介手数料には、いくつか注意点があるため注意が必要です。
今回は、不動産売却における仲介手数料の基本情報を説明したうえで、
- 仲介手数料の上限について
- 仲介手数料計算の具体例と注意点
- 不動産売却の仲介手数料は無料になるのか
などについて、不動産投資に関する当メディア『不動産投資の教科書』が解説します。
他にも、仲介手数料を支払う前に確認すべき点や、不動産売却時に発生する仲介手数料以外の費用などについても紹介します。
この記事が、不動産売却を検討している方の参考になれば幸いです。
なお、より手間なく高く売却したいのであれば不動産売却査定サイトの活用がオススメです。
様々な売却査定サイトがありますが、その中でも不動産投資の教科書がオススメするのは、以下の大手6社が参画している「すまいValue
」です。
- 東急リバブル
- 住友不動産販売
- 野村の仲介
- 三井のリハウス
- 三菱地所ハウスネット
- 小田急不動産
目次
1、不動産売却における仲介手数料の基本情報
(1)不動産売却時の仲介手数料は「成功報酬」
不動産売却をしようと考えたとき、不動産会社と媒介契約を締結して、不動産売却を依頼することが可能です。
媒介契約を受けた不動産会社は、不動産を売却するために以下のような活動を行います。
- 物件の査定・売却価格の提案
- 物件の宣伝資料作成
- チラシやインターネットなどでの物件の宣伝
- 売主の状況に合わせた物件の販売プランを提案
- 物件下見の日程調整や現地案内
- 売買契約書などの関連書類作成
- 決済などの対応
上記の活動を通じて、晴れて不動産売却が成立した際に不動産会社へ支払うのが「仲介手数料」です。
仲介手数料は、いわば「成功報酬」であり、取引が成立した場合のみ支払われます。
なお、不動産売却において、仲介業者に売却依頼をした場合のみ仲介手数料がかかります。
仲介業者に依頼せず、個人間で不動産売買を行った場合には、仲介手数料はかかりません。
(2)仲介手数料の例外
不動産売却の仲介手数料には、次のような例外があります。
①売主が特別に希望した不動産売却のための活動にかかった費用
仲介手数料の範囲では、「通常の仲介業務」のみ依頼することが可能です。
通常の仲介業務は、(1)で紹介したような業務が含まれます。
しかし、不動産売却の媒介契約を結んでいれば、不動産が売れるまで不動産会社が無制限で売却のための活動をしてくれるわけではありません。
具体的に次のような、売主が不動産会社へ希望して発生した費用については、不動産会社が通常の仲介業務を逸することになり、別途請求されることになるでしょう。
- 遠方の購入希望者と物件の交渉するために発生した交通費
- 新聞や雑誌などへの広告掲載費
上記のような費用を売主に請求できるのは、事前に売主の希望があり了解を得た場合のみとなるので、注意が必要です。
②低廉な不動産の売買における特例
低廉(安価)な不動産の媒介契約においては、「低廉な空家等の売買取引における媒介報酬額の特例」が、2018年1月1日に施行されました。
低廉とは、400万円以下を指します。
特例の内容は、通常の仲介手数料に調査費用を上乗せできるというものです。
上乗せできる金額は、「18万円+消費税」を限度としています。
本特例は、現代において社会問題となっている「空き家」の流通促進を目的として、施行されました。
2、不動産売却の仲介手数料の上限
不動産売却の仲介手数料は、いったいどれくらいの金額になるのでしょうか。
(1)不動産売却の仲介手数料の上限
以下の表のとおり、「宅地建物取引業法」と「国土交通省告示第 172 号」によって、売買代金の金額区分ごとに仲介手数料の上限額が定められています。
不動産の売買価格 | 手数料の上限 |
200万円以下 | 5% |
200万円超400万円以下 | 4%+2万円 |
400万円超 | 3%+6万円 |
※物件の価格:非課税
(2)不動産売却の仲介手数料早見表
物件価格別の仲介手数料の上限額は、以下の表のとおりです。
なお、物件価格は非課税、税率は新税率(令和3年1月27日現在)となっております。
物件価格(税抜) | 仲介手数料の上限(税込) |
500万円 | 231,000円 |
1000万円 | 396,000円 |
1500万円 | 561,000円 |
2000万円 | 726,000円 |
3000万円 | 1,056,000円 |
4000万円 | 1,386,000円 |
5000万円 | 1,716,000円 |
6000万円 | 2,046,000円 |
7000万円 | 2,376,000円 |
8000万円 | 2,706,000円 |
9000万円 | 3,036,000円 |
1億円 | 3,366,000円 |
2億円 | 6,666,000円 |
3億円 | 9,966,000円 |
3、不動産売却の仲介手数料計算の具体例と注意点
本項では、仲介手数料の具体的な計算と、仲介手数料計算上の注意点について解説します。
(1)仲介手数料計算の具体例
①物件価格1500万円(税抜)の場合
1500万円(税抜)のワンルームマンションを売却した場合の仲介手数料の上限額は、以下のように計算します。
1500万円×3%+6万円=51万円(税別)
②物件価格5000万円(税抜)の場合
5000万円(税抜)の戸建てを売却した場合の仲介手数料の上限額は、以下のとおりです。
5000万円×3%+6万円=154万円(税別)
③物件価格2億円(税抜)の場合
2億円(税抜)の3LDKマンションを売却した場合、仲介手数料の上限額は以下のとおりとなります。
2億円×3%+6万円=606万円(税抜)
(2)仲介手数料の計算における注意点
仲介手数料を計算する場合には、次の点に注意しましょう。
①法律で定められているのは仲介手数料の「上限のみ」
仲介手数料額に関しては、あくまでも「上限」のみが、法律で定められています。
不動産仲介業者と仲介手数料について値引き交渉ができれば、10万円のみの支払いでも、支払わなくても問題ありません。
仲介手数料の値引きについての詳細は、「4、不動産売却の仲介手数料は値引き可能!」で解説します。
②仲介手数料の計算における消費税の影響
不動産売却の仲介手数料において、勘違いされやすいのが「物件自体の売却価格には消費税がかかるのでは?」ということです。
しかし、不動産売却時の消費税は、仲介手数料に対してのみ課されます。
原則として、物件の売却価格には、消費税がかかりませんので注意しましょう。
例外として、新築物件の場合には、物件価格にも消費税が課されます。
3、不動産売却の仲介手数料は値引き可能!
不動産売却の仲介手数料に上限があることについては、すでに説明したとおりです。
しかし、あくまで「上限」が定められているだけであって、必ずしも仲介手数料を設定しなければならないわけではありません。
不動産売却の仲介手数料は値引きすることも可能なのです。
本項では、不動産売却の仲介手数料を値引きするタイミングや値引きしやすい条件、値引きするメリット・デメリットについて解説します。
(1)値引きのタイミングは「媒介契約締結前」
不動産売却の仲介手数料を値引きするためには、不動産会社と媒介契約を締結する前に交渉しましょう。
なぜ媒介契約締結の前かというと、締結後では契約内容を変更することが難しいからです。
媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」があります。
「専属専任媒介契約」と「専任媒介契約」は、1つの不動産会社としか媒介契約を締結できません。
「一般媒介契約」は、複数の不動産会社と媒介契約を締結できるのです。
「一般媒介契約」の場合、いくら媒介業務に注力しても、他社に売買契約の成立を取られてしまう可能性が高くなります。
不動産会社としては、できるだけ「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」で締結したいと考える傾向にあります。
以上のことから、不動産会社には、「専属専任媒介契約」もしくは「専任媒介契約」を前提として、契約締結前に仲介手数料の値引き交渉がおすすめです。
(2)値引きしやすい条件
不動産売却の仲介手数料を値引きしやすい条件には、次のようなものがあります。
- 高額で売りやすい物件であること
- 「両手仲介」であること
具体的に、それぞれどのような条件となるのか解説します。
①高額で売れる物件であること
高額で売れる物件は、仲介手数料を値引きしてもらいやすい傾向にあります。
例えば、人気エリアにある物件や、広くて設備が充実している希少性のある物件などです。
不動産会社としては、高額で売れる物件なら仲介手数料を下げても利益を確保しやすいというメリットがあるからです。
②「両手仲介」であること
両手仲介とは、不動産売買において売主と買主双方が同じ不動産会社と契約していることです。
両手仲介の場合、不動産会社は1つの物件に対して、売主と買主から仲介手数料を獲得できます。
不動産会社にとって両手仲介は利益が大きくなるため、仲介手数料の値引き交渉をしやすいといえるでしょう。
(3)値引きするメリット・デメリット
不動産売却の仲介手数料を値引きするメリットとデメリットは、次のとおりです。
①【メリット】より多くの利益を得られる
仲介手数料は、決して安いものではありません。
せっかく不動産売却をするなら、できるだけ多くの利益が欲しいですよね。
仲介手数料を値引きして、より安くすることで売主が獲得できる利益も増えるでしょう。
②【デメリット】仲介業務に力を入れてもらえない
仲介手数料を値引きするということは、不動産会社としては報酬が減ってしまうということです。
すでに説明したとおり、仲介手数料は不動産会社への「成功報酬」です。
成功報酬が減ってしまうのでは、不動産会社の仲介業務も、仲介手数料の値引き前より縮小されてしまうかもしれません。
値引きするデメリットを改善させるためには、物件を可能な限り高額で売却することを目指すということが大切です。
4、不動産売却時に仲介手数料を支払う前に確認すべきポイント
仲介手数料の金額は交渉次第で値引きできますが、決して安くはない支出となってしまいます。
特に、物件の売却価格が高額になるにつれて仲介手数料の上限も高くなります。
仲介手数料を支払う前には、次のポイントを確認しておきましょう。
(1)仲介手数料の例外が適用されるか
「1、(2)仲介手数料の例外」で説明したように、売主の希望で特別な媒介業務を行ってもらう際には、交通費や広告費などの費用をさらに別途請求される可能性があります。
もっとも、不動産会社で一般的に行われる媒介業務の範囲内であれば、請求が上乗せされることはありません。
(2)仲介手数料を返金してもらえるか
売買契約成立から、物件引渡しまでの期間は1ヶ月前後が多くなっています。
物件引渡し日までに売買契約が解除される可能性もあり得るでしょう。
「売買契約成立後に契約解除となったら、仲介手数料は返金してもらえるの?」と不安な方も多いのではないでしょうか。
「ローン特約」による売買契約解除のケースでは、仲介手数料が返金されます。
ローン特約は、買主のローン審査が通らなかった場合、無条件で契約解除ができる特約です。
一般的に、売買契約書において「融資利用の特約」などという名称が使用されています。
ローン特約は、買主がローンの審査に通らないことが、銀行の融資姿勢が厳し過ぎることが原因であり、買主に原因がないという考え方を採用しています。
しかし、買主がローン審査に必要な手続きを怠ったなどというように、買主に落ち度があった場合は、特約は適用されず仲介手数料は返金されませんので注意が必要です。
以上のことから、売買契約書の「ローン特約」をよく確認して、万が一の場合に仲介手数料が返金されるかどうかについて事前に把握しましょう。
(3)不動産の価格相場
仲介手数料を値引きできても、実際の売却価格が安くては損することになります。
損をしないためにも、仲介手数料を支払う前には、不動産の売却価格相場を調べておきましょう。
不動産の価格相場を調べる方法は、次のとおりです。
①公的サービス
実際に取引された過去の売却価格を見ることができる公的サービスには、次のようなものがあります。
【土地総合情報システム】
土地総合情報システムは、国土交通省が提供するサービスです。
実際に行われた不動産の取引価格や、標準値や基準値の価格などを検索できます。
【REINS Market Information】
REINS Market Informationは、公益財団法人東日本不動産流通機構・公益社団法人中部圏不動産流通機構・公益社団法人近畿圏不動産流通機構、公益社団法人西日本不動産流通機構が保有している日本全国の取引情報を提供しているサービスです。
②ポータルサイト
公的サービスと並行して利用をおすすめするのが「ポータルサイト」です。
主な大手不動産ポータルサイトは、以下のとおりです。
- SUUMO
- at home
- LIFULL HOME’S
いずれも不動産賃貸でテレビCMなどで有名な不動産会社ですね。
【at home】
③一括査定サイト
一括査定サイトは、入力時間わずか1分前後で、簡単に物件の相場を把握できるサイトです。
一括査定サイトに登録するには、厳しい審査をクリアする必要があります。
一括査定サイトに登録されている不動産会社は、信頼できるでしょう。
代表的な一括査定サイトは、次のとおりです。
【すまいValue】
一括査定サイトで絶対に外せないのが、「すまいValue」。不動産会社大手6社が共同で立ち上げた、一括査定サイトです。
6社のうち3社は、三井不動産リアリティネットワーク・住友不動産・東急リバブルで、業界における仲介件数がトップ3の会社です。
一括査定サイトのなかでも、流通件数自体は最も多いといえるでしょう。
上記3社は、「すまいValue」でしか査定依頼ができないため、最大のメリットといえます。
大手不動産は広告料が安く、SUUMOやat homeなど認知度の高いポータルサイトに物件を掲載してくれる可能性もあり、早めに売れる可能性も上がるでしょう。
すまいValueに登録されている6社とも、全国的なネームバリューを誇る大手なので、不安や心配を感じることは少ないといえます。
すまいValue利用者の約97%が、「トラブルなく安心安全に取引できた」と回答しているのが事実です。
安心感を最優先させたい人には、おすすめの一括査定サイトです。
しかし、大手のため仲介手数料は安くなりにくいでしょう。
地方郊外の物件はエリア外となり、査定ができない場合がある点にも注意が必要です。
【HOME 4U】
NTTのグループ会社「NTTデータ・スマートソーシング」が運営する「HOME 4U」。
他社の一括査定サイトと比べると立ち上げがかなり早く、2001年にサービスを開始しています。
20年近い歴史があり、安心感が違うのではないでしょうか。
唯一無二の特徴としては、電話相談ができるということです。他に電話相談が可能な一括査定サイトはありません。
NTTグループが経営しているだけに、フリーダイヤルで無料というところもポイントでしょう。
プライバシーマークを取得しているので、個人情報を手厚く保護する体制も整っています。
HOME 4Uでは独自の審査基準を設けており、ユーザーにマッチした不動産会社を吟味・厳選した上で掲載しているのが特徴です。
悪徳不動産パトロールを常に行っているため、信頼性はかなり高いといえるでしょう。
デメリットとしては、大手不動産会社には査定の依頼ができない点です。
【SRE不動産】
SRE不動産は、ソニーグループの不動産会社です。
注目すべき特徴として、「売却エージェント制」を採っていることが挙げられます。
不動産会社では、自社で売り手と買い手両方の仲介を担当することを目標とするのが一般的です。
このような仲介方法を「両手仲介」といい、双方から仲介手数料を受け取れるというメリットがあります。
しかし、「成功報酬」という仲介手数料の性質上、成約しなければ仲介手数料を受け取ることができません。
成約につなげるためには、売り手・買い手どちらかに肩入れするのではなく、双方の妥協点をすり合わせていくというスタイルになります。
会社利益を考えればやむを得ないことですが、売る側と買う側双方が必ずしも100%満足となるわけではありません。
SRE不動産では、両手仲介を原則禁止し、売却専門・購買専門に組織を分けたエージェント制度を導入しています。
仮に自社で買い手が見つかったとしても、業務や担当が完全に独立しているため、売却エージェント(担当)は100%売り手の要望に沿って交渉にあたることが可能です。
売却を依頼した物件情報は日本最大級のポータルサイト「Yahoo!不動産」に掲載されるため、より多くの購入検討者からのアクセスが期待できるという強みもあります。
残念ながら、サービスエリア(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)が限られていますが、該当する場合はぜひおすすめしたいサイトです。
【イエカレ】
イクス株式会社が運営する日本最大級の一括査定サービス「イエカレ」。
イエカレは、小規模から大手まで幅広い多くの不動産会社と提携しているのが特徴です。
【イエウール】
株式会社Speeeが運営している不動産売却査定サイト「イエウール」。
1,900社の不動産会社と提携し、最大6社同時に査定を依頼できるところが強みです。
複数の査定額を比較でき、より高い査定額をつけた業者を簡単に見つけられます。
査定依頼画面はLINE画面のようにわかりやすく、入力しやすいこともあり、利用者数1,000万人以上と他のサイトと比較して段違いに多いようです。
ただ、すべての査定サイトにいえることですが、あくまでも簡易的な査定であり、実際にその売り出し価格になるとは限りません。
売却依頼を受けるために意図的に高い査定額を出す業者も少なくないので、机上査定よりも金額が下がる可能性があることは覚えておきましょう。
イエウールは、クレームの多い不動産会社との提携を解除する動きを強化しています。
その点で比較的安心して利用できるため、査定依頼の初心者にもおすすめです。
不動産の売却価格の相場を調べる方法の詳細については、「中古マンション相場価格は?不動産売却の査定額の注意点も」をご参考ください。
(4)手付解除時に仲介手数料がかかってしまうので注意!
不動産売買契約締結後、スムーズに売却まで至らず、手付解除によって契約が解除されるケースもあります。
手付解除時にも、仲介手数料がかかってしまうのです。
ここでは、手付解除時の仲介手数料について解説します。
①手付解除とは
「手付」は、売買契約などの有償契約を締結するときに、買主・売主それぞれが相手方に交付する金銭です。
手付解除とは、売買契約締結後に買主が手付金放棄、もしくは売主が手付金を倍返しすることによって契約を解除することです(民法557条)。
いったん契約が締結された後の解約ということになります。
宅地建物取引業法において、売主が宅地建物取引業者の場合には不動産の売買契約で交付される手付は、解約手付と規定されています。
②手付解除した場合の仲介手数料は?
不動産仲介会社は、手付解除後にも仲介手数料を請求できると認められています。
不動産仲介会社より仲介手数料を請求された場合には、支払わなければなりません。
手付解除前に仲介手数料を支払った場合にも、すでに不動産会社へ支払った仲介手数料は取り戻せません。
以上の手付解除の場合の仲介手数料の扱いについて、知らない方が多いため今一度確認しましょう。
(5)ATMの引き出し上限額
物件の売却価格が高額になると、仲介手数料の金額も高額になることが考えられます。
高額な仲介手数料を現金で用意する場合、ATMで引き出せる上限額を超えていないか確認しましょう。
支払う直前に仲介手数料を引き出そうとしたものの、ATMの上限額を超えていたため引き出せず支払えない……という状況は避けたいものです。
5、不動産売却で発生する仲介手数料以外の費用
不動産売却時にかかる費用には、仲介手数料以外にも次のようなものがあります。
(1)印紙税
売買契約が締結されたら、売買契約書を作成することになります。
売買契約書には、物件の売却価格に応じた印紙税額分の収入印紙を貼付します。
なお、租税特別措置法によって、不動産売買契約書では印紙税の軽減措置がとられています。
①軽減措置の対象
軽減措置の対象となる契約書の条件は、以下のとおりです。
- 契約書に記載されている売却価格が10万円を超えること
- 平成26年4月1日~令和4年3月31日までに作成されたこと
②軽減後の税率一覧
軽減措置の対象となる契約書の印紙税の税率一覧は、以下のとおりです。
売却価格 | 本則税率 | 軽減税率 |
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1千万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1千万円超5千万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5千万円超1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円超10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円超50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円超 | 600,000円 | 480,000円 |
(2)測量費
土地や土地付きの戸建ての場合、土地の測量が行われます。
土地の測量は、次のような目的で行われるものです。
- 土地の境界を明確にして境界紛争を防止する
- 土地の地積を確定して売買金額を確定させる
測量費用は、仲介手数料に含まれません。
売主負担として別途支払う費用となります。
費用の目安は50万円~100万円ほどと考えてよいでしょう。
(3)登記費用
不動産売却時に売主が登記手続きをしなければならない場合には、登記費用が発生します。
売主自身で、登記手続き行うことも可能です。
しかし、登記手続きは手間がかかり、登記のプロでない限り難易度も高いでしょう。
(4)ハウスクリーニング費用
不動産売却を検討する場合、売却活動において内覧の印象は最重要といえます。
ハウスクリーニングを行うとよいでしょう。
ハウスクリーニングは仲介手数料に含まれず、すべて売主の実費となります。
入居中かどうかや、部屋の広さによってハウスクリーニングの費用相場は変わるので、よく確認しましょう。
(5)引越し費用
入居中の不動産を売却する場合などには、引越し費用が必要です。
引越し費用は、人数や引越し時期、荷物の量などによって変動しますので、引越し業者へ見積もりをとるとよいでしょう。
(6)司法書士費用
登記手続きは、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士に依頼すると、司法書士費用が発生します。
司法書士の費用は、司法書士によって異なりますので、できるだけ複数の司法書士や司法書士事務所で見積もりをとって検討しましょう。
6、仲介手数料で損しないための不動産会社の探し方
(1)仲介手数料について正しい情報を説明してくれる
不動産売却時の仲介手数料で損をしないために、不動産会社選びで重要なポイントは「仲介手数料について正しい情報を説明してくれるかどうか」です。
次のような説明をする不動産会社は、選択しないようにしましょう。
①「仲介手数料はどの不動産会社でも同じ」
仲介手数料は、不動産売却時にほとんどの不動産会社から請求されます。
しかし、仲介手数料の金額設定については法律で決まっておらず、上限額のみしか規定されていません。
不動産会社の都合のいいように説明するのは、非常に悪質だといえるでしょう。
②「広告代は別途請求する」
通常の売却活動では、広告代は仲介手数料に含まれます。
「1、①売主が特別に希望した不動産売却のための活動にかかった費用」でも説明したように、売主が通常の範囲を超える宣伝を希望した場合は例外です。
しかし、例外に当てはまる場合は事前の説明や合意が必要であるため、説明なしに「広告代は別途請求する」旨の説明をされたら要注意です。
③「仲介手数料は着手金とする」
冒頭で説明したとおり、仲介手数料は売買契約が成立した場合の成功報酬となります。
売買契約が成立していないのに、媒介契約の着手金として仲介手数料を支払うことは適切ではありません。
着手金として仲介手数料の前払いを請求されても、支払う義務はありませんので、万が一請求された場合には断りましょう。
(2)仲介手数料の「安さ」だけがすべてではない!
すでに説明しているとおり、仲介手数料の上限までであれば、不動産会社が仲介手数料の金額を自由に設定できます。
不動産会社には、仲介手数料が安いことを強みとしている会社があります。
なかには、仲介手数料を無料としている不動産会社もあるでしょう。
しかし、仲介手数料が安いことを重視して不動産会社を決めるのはおすすめしません。
仲介手数料を安くしている不動産会社の場合、売却活動に手を入れてくれない可能性があるからです。
場合によっては、売却価格を下げようとしてくるかもしれません。
(3)一括査定サイトでぴったりの不動産会社をみつけよう
不動産売却の媒介活動を行ってくれる不動産会社を、一括査定サイトを利用して探すことがおすすめです。
一括査定サイトでは、売却したい不動産の所在地や広さなどを入力するだけで、簡単に不動産会社をピックアップしてくれます。
「4、(3)③一括査定サイト」でご紹介した一括査定サイトであなたにぴったりの不動産会社をみつけましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
今回は、不動産売却時の仲介手数料について解説しました。
仲介手数料は、物件価格ごとに上限額が決まっていますが、不動産仲介業者との交渉次第で値引きすることも可能です。
せっかく売却するのなら、できるだけ支出を抑えて売却したいですよね。
不動産売却を検討しているなら、この記事を参考にして無駄のない売却を目指しましょう。