不動産の売却をお考えの方にとって大切なことは、
- 「少しでも高く売れること」と、
- 「早く売れること」
だと思います。
さらに付け加えると、「少なくとも相場以下で買いたたかれたくはない」ということにも当てはまるのではないかと思います。
その願いをかなえるために、次に思い浮かぶことは、それでは不動産会社はどこがいいのかという疑問です。不動産会社によって売却の結果が大きく変わりそうな気がする方は多いでしょうし、それは事実でもあります。
そこで、月間20万人以上の方々が訪れる不動産と投資家のためのメディア、「不動産投資の教科書」では、この「不動産を売却するならどこがいい?」という疑問にお答えしたいと思います。
不動産売却を成功に導くために必要な基礎知識や具体的な方法、そして不動産会社はどこがいい?という最大の疑問にお答えするための選び方を解説していきます。
不動産売却で失敗したくない!という方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
1、不動産売却の成否は不動産会社選びで決まる!

不動産の売却は、どの不動産会社に依頼するかによって結果が大きく変わるというのは、すでにイメージされていることかと思います。果たしてそれは本当なのでしょうか。
(1)不動産を高く、早く売却できるかは不動産会社次第という事実
不動産の売却が成功するか否かは、「誰に任せるか」で結果が大きく異なります。その理由は次項で解説するとして、不動産は高額取引になることが大半なので、結果の違いが大きな金額の違いになってしまいがちです。
それが不動産会社によって変わってくるということになれば、売却をお考えの誰もが「どこがいい?」という疑問を持つのは当然のことです。
不動産を高く売りたい、早く売りたいとお考えの方は、不動産選びが重要であることをしっかりと押さえておいてください。
(2)なぜ不動産会社次第なのか
それではなぜ、不動産売却の結果は不動産会社次第なのでしょうか。主な理由は以下に挙げてみます。
- 一棟ものや区分など物件種類によって不動産会社の強みが異なる
- 大手、地元密着など不動産会社の規模によっても得意分野が異なる
- 地域密着の不動産会社であれば得意なエリアとそうでないエリアがある
- 不動産会社が取引をしている顧客がそれぞれ異なる
この他にも、看過できない理由もあります。
- 顧客利益よりも自社の利益を優先する不動産会社もある
- 不動産会社の情報力、能力の差
こうした理由も含めると、いかに不動産会社選びが重要かお分かりいただけるのではないかと思います。
(3)大切なのは「強力な味方」を見つけること
先ほど、「看過できない理由」の中に自社の利益を優先する不動産会社もあると述べました。この点については、おそらくこの記事をお読みの方のほとんどが薄々感じておられるのではないでしょうか。
売却側が不動産の素人であるのを良いことに、「うまく言いくるめられて安く買いたたかれるのではないか」という疑念は、どうしても付きまとうものです。不動産が高額商品であるだけに、こうした思いが払しょくできず慎重になってしまうのは至極まっとうなことだと思います。
つまり、不動産の売却で重要なのは、強力な味方をいかに見つけるかに尽きるのです。売却を依頼するなら不動産会社はどこがいい?という疑問を解決するには、味方になってくれる不動産会社を見つけるのが最善だということです。
2、不動産売却を任せるならどこがいい?お考えの方へ

強い味方になってくれる不動産会社を見つけるための基本的な考え方と、依頼してはいけない不動産会社の見極め方を解説します。
(1)不動産売却は成功と失敗で結果が大きく異なる
不動産売却の成功とは、より高く、そして早く売れることです。その逆に失敗とは、安い価格でしか売れなかった場合や、そもそも売却できなかったといった場合です。不動産が高額商品であるだけに、この両者には途方もない差があります。
満足のいく価格で売却できた場合と、最終的に売却できなかったという結果では、少なくとも数千万円規模の差が出てくることになります。売却できたとしても数百万円単位で手にする売却代金の差が出ることになるので、個人がこの不動産売却に失敗してしまうとダメージは甚大です。
(2)成功する不動産売却に必要なこと
失敗を考えるとゾッとする方も多いと思いますが、ここで不動産売却に成功するために必要な要件を定義しておきたいと思います。
- 適正価格もしくはそれ以上で売ってくれること
- 迅速な対応とネットワーク力で早期売却してくれること
- 足元を見てきたり自社の利益ばかりを追求したりしないこと
ここには、重要なキーワードがいくつも登場しています。「適性価格」「早期売却」「ネットワーク力」「自社の利益」などです。これらのキーワードは不動産売却を依頼する不動産会社選びにも大きく関わってくることなので、ここでは不動産売却の成功像をイメージしてください。
(3)こういう不動産会社だと失敗する!
先ほど不動産会社選びの成功像をイメージしていただきましたが、反対に失敗した場合をイメージすると、以下のようになります。
①最初にやたら高い簡易査定額を提示してくる
②自社による買取を持ちかけてくる(しかも安い)
③明らかに本腰を入れていない
不動産売却は複数社に依頼をして相見積もりを取るのがセオリーになっているので、それを前提にした不動産会社の「とにかく自社に依頼を引き込んだら、後はこっちのもの」という戦略(手口?)が透けて見えます。
本腰を入れていないというのは、売却活動を始めた時の不動産会社の態度です。一般媒介といって複数社に同時依頼ができる方法ならなら仕方ない部分もありますが、専任媒介でやる気がないと感じられる場合は不動産会社の変更を検討すべきでしょう。
こういった気配を感じたら、その不動産売却が成功する可能性は極めて低くなることを押さえておいてください。
3、重要な選択!大手不動産会社vs地元密着型不動産会社

売却を依頼する不動産会社選びの大きな分岐点として、大手か?地元密着か?という選択肢があります。どちらも一長一短なので、ご自身のケースではどちらが適切かを判断する材料をご提供します。
(1)なぜ大手と地元密着型を比較する必要があるのか
資本主義経済では大きな会社、大きな資本が常に有利な立場にあるのが常識です。それなら不動産売却でも大手に依頼しておけば無難・・・と考えたくなるところですが、そうとも言い切れないのが不動産業界の面白いところです。
不動産は文字通り、動かない資産です。そのため特定の地域に圧倒的な強みを持つ地場の不動産会社があると、大手といえども万能ではないということもあるのです。
この事実を踏まえた上で、どちらを選ぶべきなのかを考えていきましょう。
(2)大手と地元密着型の不動産会社をメリットとデメリットで比較
大手と地元密着型の不動産会社、それぞれが持つメリットとデメリットを一覧にまとめてみました。
大手不動産会社 | 地元密着不動産会社 | |
メリット | ・情報量が豊富 ・大手不動産会社特有のネットワークがある ・宣伝力、認知力が強い ・大口買主の人脈が広い | ・特定の地域に圧倒的な強み ・特定の地域の有力な買主、資産家の人脈がある ・その地域だけで勝負しているため親身になってくれる ・特定の地域での査定能力が高く、査定額や期間が正確 |
デメリット | ・その地域特有の不動産事情に疎い ・高く売るよりも早く売ることに注力しがち ・近隣の買主と売買成立することが多いため、スケールメリットが意味を成さないことも | ・宣伝力やスケールメリットで大手に劣る ・特定の地域以外の買主を探すのは難しい ・個人経営に近いので当たり外れが大きい |
これらのメリットとデメリットを総合すると、スケールメリットの大手、親身になってくれる地元密着、という大まかな違いが浮かび上がってきます。
(3)結局、どこがいい?
ここまで大手と地元密着の不動産会社を比較して、それでは結局どこがいい?という結論を導いていきたいと思います。売主の状況や売却したい物件によってどこがいいかが決まるので、以下のポイントで選ぶのが良いでしょう。
①大手不動産会社を選ぶべきケース
買主が決まりやすい人気物件や築浅物件、さらに高額物件の場合は大手に軍配が上がります。大手不動産会社であれば買主候補の人数が多いですし、その中には高額物件を購入できる大口の顧客も多数いるからです。
②地元密着型不動産会社を選ぶべきケース
その反対に、築古物件であったり狭小物件、また価値の低い物件などについては地元密着の不動産会社に任せるのが無難です。すでにお気づきかと思いますが、大手ではあまり本腰を入れにくい物件群だからです。
反面、地元密着の不動産会社であればこうした売却が難しい物件であっても良さを見出してくれるでしょうし、それをうまくアピールすることでニッチな購買ニーズを掘り起こしてくれる可能性があります。
4、不動産売却の「どこがいい?」に答える5つのチェックポイント

実際に不動産会社を選ぶ際に、「この不動産会社に任せても大丈夫か」というチェックができる5項目について解説します。
(1)片手仲介なのかどうかをチェック
不動産売却には、「片手仲介」と「両手仲介」という区別があります。片手仲介とは売主(つまりあなたのことです)の側について、売却のみのサポートをする取引のことで、両手仲介とは買主の側にもついてサポートをする取引のことです。
片手だと不動産会社は依頼主である売主の利益だけを追求すれば良いですが、両手の場合は買主の利益も代弁する必要があり、双方の顔を立てなければなりません。もし自分が売主だったら、どちらに依頼するべきかお分かりになると思います。
大手不動産会社はスケールメリットもあるため両手取引になりがちなので、それが不利に感じる場合は片手取引なのか両手取引なのか尋ねてみてください。それだけでも一定のプレッシャーを与えることができるので、効果があると思います。
(2)担当者の対応や本気度をチェック
不動産は高額商品であるのと同時に、全く同じものが2つとないという特性があります。そのためすべての不動産取引はケース・バイ・ケースになります。
中古車を売買する時であっても担当者の良し悪しをチェックする人は多いですが、不動産売却の場合はなおさらです。不動産会社選びと同時に、担当者の対応や本気度、売主であるあなたとの相性もチェックしてみてください。
人間同士のコミュニケーションなので、言葉遣いや態度で分かることも多いと思います。その段階で「何か違う」と感じたら、無理に依頼をする必要はありません。
(3)電話でしつこく売却を持ちかけてきていないかチェック
ひとたび査定を依頼すると、以後何度も売却を持ちかけてくるような不動産会社は選ぶべきではありません。本当に売却力に自信があるのであれば、売主が決断するまで堂々と構えていれば良いのです。
それをガツガツとせっついてくるような不動産会社は、「そうしないと顧客を獲得できない会社」だと考えることもできるわけです。
(4)不動産売却の周辺情報についても聞いてくれるかチェック
不動産売却には、必ず何らかの理由や事情があります。その中には離婚やローンの返済不能、相続トラブルなどデリケートな問題が関係していることも多々あります。そんな不動産売却の周辺情報についてもしっかり寄り添ってくれる不動産会社は、その事情に沿った売却活動をしてくれます。
売却の話を持ちかけた時に物件の情報だけでなく売主の情報をしっかりと聞き取ってくれるかどうかも、その後の売却活動の質を見極めるポイントになります。
(5)デメリット情報もちゃんと説明してくれているかチェック
希望通りの金額で売却できるかどうかも含めて、不動産売却は良いことばかりではありません。デメリット情報や不利になるようなこともしっかり説明を受けた上で売却活動をすることは、売主の安心感だけでなく戦略上も有効です。
売却に関する現実や見通しなどを美辞麗句だけでなくしっかりと説明してくれる不動産会社は、一見耳障りの良くないことを言っているように感じますが、実は最も親身になってくれている可能性が高いのです。
5、成功する不動産売却の流れ

最後に、不動産売却を成功に導く正しい順序を7つのステップで解説します。ここまでの解説を踏まえて、特に(1)と(2)が重要なので、それを意識しながら読み進めていただければと思います。
(1)自分で調べて相場観をつかんでおく
不動産会社に査定依頼を出す前にやっておくべきなのは、自力による価格調査です。売却を検討している不動産物件にはいったいどれくらいの値が付くのかという相場観を掴んでおくことで、以後の売却活動の物差しになります。そこで利用したいサービスをご紹介します。
・不動産取引価格情報検索(国土交通省)
実際にあった不動産取引の結果を国交省がデータベース化したものです。近隣の類似取引を探すことで、「実際に売れた価格」を知ることができます。
近年では不動産テックと言ってITと不動産を融合した技術から続々と新しいサービスが登場しています。その中からAIが不動産価格を査定するサービスをご紹介します。
・GEEO
・HowMa
・イエシル
(2)不動産一括査定サイトを使って複数社に見積もりを依頼
大まかな相場観を掴んだら、いよいよ不動産会社への査定依頼です。特定の1社だけに依頼するのではなく複数社に依頼をして比較検討をするのが最善なので、その際に一括査定サイトの利用をオススメします。一度の操作で複数社に査定依頼を出すことができますし、そのサイトを利用していることが不動産会社にも伝わるので競争意識を働かせることができます。
「不動産投資の教科書」としては、以下の一括査定サイトをオススメしています。
①すまいValue
東急リバブル、住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社を大手不動産会社だけに絞った大手志向の一括見積サイトです。
大手の意見も聞いてみたいという場合に利用すると、一括で大手6社に見積依頼を出すことができます。
②HOME 4 U
登録不動産業者の審査が厳しく営業攻勢を掛けてくるような業者を排除していることや、NTTグループである安心感など、初めての方や投資家ではなく自己所有の家を売却したい方などにもオススメできるサイトです。
③SRE不動産(旧ソニー不動産)
ソニーグループの不動産会社で、一つの物件で売り手と買い手の双方を担当することを禁止し、片手仲介が原則です。
100%売り手の要望にそった、納得度の高い売却活動ができる「売却エージェント制」を採用し、さらに、Yahoo!不動産と連携しているので、売却したい物件の情報に、より多くの購入検討者がアクセスすることができるという強みもあります。
SRE不動産がこだわる売却エージェント制と情報公開制度で透明性のある売却活動ができ、売り手の安心感や成約価格に対する納得度は高いです。
エージェント制のため、サービスエリアが限られているのですが(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)エリアに該当するなら、ぜひおすすめしたいサイトです。
④イエカレ(不動産売却)
不動産を最高価格で売却するをうたっているサイト。土地活用にも強いので、土地だけを売りたい場合もシミュレーションしてみると良いかも知れません。

(3)届いた提案内容を吟味する
一括査定サイトから見積もり依頼を出すと、各社から続々と査定の結果や売却への提案が届きます。もちろん各社それぞれ自社に依頼してほしいという意図があるので、どれも積極的です。
ここで注目したいのは、査定価格です。同じ不動産なのですから、各社おおむね横並びになっているのが普通です。ここで突出して査定額が高い不動産会社は、自社に依頼を引き込むために価格を盛っている可能性があるので、除外しても良いと思います。
提案内容や対応などから信頼できる不動産会社を絞り込んでいってください。
(4)仲介を依頼する不動産会社を決める
仲介を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びます。一般媒介という形もありますが、一般の場合は他の不動産会社に依頼することもできる契約なので、不動産会社が本腰を入れにくいというデメリットがあります。
専任媒介契約だとその不動産会社以外が仲介をすることがないので、その形で仲介を依頼して早期売却を目指しましょう。
(5)売却活動を開始
媒介契約が成立したら、あらかじめ決めた売り出し価格によって売却活動を開始します。不動産情報ネットワークに売却情報を掲載し、その他にも自社の手法で折り込みチラシを入れたり、顧客への宣伝などを行います。専任媒介だとこうした売却活動の内容や進捗を報告する義務があるので、報告を受けながら状況を把握してください。
(6)内覧対応、買主との交渉
買主候補が現れたら、内覧の希望が入ります。実際に物件を見に来るという大切な機会なので、室内の整理整頓や清掃をして買主候補を迎えましょう。
また、買主からはほぼ間違いなく値引きの交渉が入ります。売り出し価格のまま売却できることのほうがむしろ稀なので、ここは柔軟に交渉に応じましょう。ダラダラと売り出し続けているよりも早期に交渉を決めてしまったほうが結果として高値売却になるというケースが多いので、欲張りすぎないことが重要です。
(7)売買契約成立
買主と価格や条件で折り合えば、売買契約成立です。契約に関するサポートは仲介を依頼した不動産会社が行ってくれるので、必要な書類を用意して契約に臨みましょう。
こうした一連の売却活動に要するのは、平均的に3ヶ月程度と言われています。逆に考えると、3ヶ月で売却を完了できたらスムーズな売却だったと判断して良いと思います。
まとめ
不動産売却を依頼するならどこがいい?という疑問にお答えするため、不動産売却の成功と失敗の差や、失敗を避けるための不動産会社選びなどについて解説してきました。
失敗を恐れすぎると何も始められませんが、ごく当たり前の手順を踏むだけで不動産売却の失敗を避けることができるので、この記事の内容と手順を踏まえながら1つずつ着実に進めて納得のいく不動産売却を目指してください