• 不動産投資
  • 2023/11/17

不動産特定共同事業法|改正のポイント

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不動産特定共同事業法は平成6年6月に制定され、3度にわたり改正されています。

不動産特定共同事業法を一言で説明すると、「小口の資金を集めて不動産投資をするための規定」となります。

この記事では、不動産特定共同事業法とはどんな法律なのか、不動産特定共同事業法が改正される背景、目的といった基本事項を解説します。

さらに、不動産特定共同事業法の改正によって大きなポイントとなる、クラウドファウンディングとの関わりや小規模不動産特定共同事業についても詳しく解説します。








初心者が知っておくべき不動産投資のバイブル
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  • 不動産投資の失敗例から学ぼう


1、不動産特定共同事業法の概要

不動産特定共同事業とは、小口の資金を集めてその資金を元手に不動産投資を行い、そこから得られた収益を投資金額に応じて配分するという仕組みの不動産事業です。

不動産特定共同事業法は、上記の仕組みの事業を行うにあたって健全性や透明性を確保するために平成6年6月に制定された法律です。

制定当初は、この法律で定めている不動産特定共同事業者の許可制度を規定するものでした。

2、不動産特定共同事業法の改正

(1)不動産特定共同事業法 3つの改正ポイント

不動産特定共同事業法は、制定後、2013年、2017年、2019年に改正されています。

改正の概要は以下の通りです。

2013年

特例事業の制度を導入

2017年

特例事業者の範囲を拡大

クラウドファンディングに対応した環境の整備

2019年

より投資家保護を適切に図るための施策

ホームページ等で電子取引業務(クラウドファンディング)を行う際のルール

不動産特定共同事業法の主な改正ポイントは、3つあります。それぞれのポイントについて解説しましょう。

①小規模不動産特定共同事業が創設される

2017年の改正では、これまで特定共同事業者の許可を得るための要件が厳しかったものを規制緩和することで、小規模特定共同事業という概念が盛り込まれました。

中小規模の事業者が参入できるようになったことにより、より多くの事業者が不動産特定共同事業を行うことができるようになります。

②クラウドファウンディングの法整備

2019年の改正では、クラウドファンディングのためのルールが明確化されました。

近年、インターネットを通じて資金を集める手法としてクラウドファウンディングの普及が進んでいるものの、法整備がなされていないという現状があったのです。

そこで、クラウドファンディングについても各種規定を整備することで、法的な根拠が設けられることとなりました。

③各種規制の見直し

不動産特定共同事業をもっと多くの投資家に開放するため、規制が緩和されたことも、改正のポイントとして挙げられます。

機関投資家だけが事業参加者となる場合の特例を創設し、その一方で事業参加者の範囲が一般の投資家にも拡大され、一般投資家の投資対象における選択肢が増えました。

(3)不動産特定共同事業法が改正される背景

このように不動産特定共同事業法が改正される背景には、全国的に見られる空き家の増加に対して不動産市場を活性化させたいという国の思惑があります。

改正前の不動産特定共同事業法では許可制度が厳格に運用されてきました。

したがって実質上、参加できる事業者は大都市圏の大手不動産業者となっており、地方の中小業者などに公平な事業参加機会を求める声が上がっていたのです。

また、地方を中心に空き家や老朽化した不動産の再生など活性化が喫緊の課題となっている一方で、クラウドファウンディングなど今時の有効な資金調達方法に明確な位置づけがなされていませんでした。

不動産特定共同事業法の改正は、これらの問題を解決するための法改正と位置づけられています。

(4)改正によって期待される効果

不動産特定共同事業法の改正を進めている国土交通省では、この法改正によって以下のような効果を見込んでいます。

  • 良質な不動産ストックの形成
  • 地方などの中小不動産業者の参入
  • 空き家、空き店舗の再生に伴う投資

この法改正により、特に空き家など価値の低いまま放置されていた不動産の再生および投資の活性化が期待されます。

(5)小規模不動産特定共同事業の創設

改正前の不動産特定共同事業法では、国土交通大臣または都道府県知事が許可を与える形で事業者が選定されていました。かなり厳格な基準で運用されてきたため、選定されている事業者は大手の不動産会社に限られていたのです。

現在は小規模不動産特定共同事業が創設されたこと参入事業者が増え、市場は活性化しています。

参考:不動産特定共同事業法に基づく事業者及び適格特例投資家一覧(国土交通省)

3、不動産特定共同事業法とクラウドファンディング

(1)クラウドファウンディングとは?

クラウドファウンディングとは、不特定多数の群衆から資金を募り、その資金を元手に事業や投資を行い、そのリターンを出資者に配分するという仕組みのことです。

ただしクラウドファウンディングにおいては、リターンを求めず若い才能を応援したいという意味を込めた寄付の形を取ることもあるため、純粋に金融手法とは言い切れない部分があります。

クラウドファウンディングは、主にインターネット上で情報が公開され資金を調達することが特徴です。

投資対象が不動産のクラウドファンディングを、不動産投資型クラウドファンディングと呼びます。

不動産投資型クラウドファンディングのしくみ

(2)クラウドファンディングが不動産市場を活性化する?

不動産特定共同事業法の改正ではクラウドファウンディングの活用がひとつの目玉となっています。

全国的な問題になっている空き家や空き店舗の中には、資金がないばかりに活用アイディアが実行できていないものも多数あります。

そこでクラウドファウンディングに関する法整備をすることで、不動産の再生に役立てることが期待されているのです。

国土交通省が発表した「不動産特定共同事業(FTK)の利活用促進ハンドブック」を見ると、法改正後、実際にクラウドファウンディングの市場規模が拡大していることがわかります。

 

 

出典:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001519666.pdf

4、小規模不動産特定共同事業の概要

不動産特定共同事業法の改正により新たに創設される小規模不動産特定共同事業とは、これまでの参入要件を緩和したものでした。

地方の中小不動産業者でも不動産再生のユニークなアイディアがあれば応募でき、審査にパスすれば事業者になることができます。

応募に必要な主な要件は、以下の通りです。

  • 法人であること
  • 宅地建物取引業法の免許を受けていること
  • 資本金1,000万円以上
  • 負債額が資産額の10%以下

要件の詳細は、小規模不動産特定共同事業パンフレット(国土交通省)をご覧ください。

5、不動産投資の新しいかたち

(1)不動産への投資機会が拡大

不動産投資を小口化して投資金額に応じて収益を配分するという仕組みは、すでにあります。代表的なものとして、不動産投資信託のREITが挙げられます。

REITはすでに市場が確立しており、活発な投資が行われています。

不動産投資型クラウドファンディングの活性化により、投資家にとっては投資対象の選択肢が増えています。

REITと比較した不動産投資型クラウドファンディングの特徴として、物件ごとにファンドが組まれるため、投資対象の不動産を選択できるという点が挙げられます。

そのため、地元のために投資をしたい、特定の地域を応援したいという思いを形にしやすくなるでしょう。

(2)再生プロジェクトの周辺不動産市場も活性化

不動産特定共同事業法の改正が目指しているのは、特定共同事業に選定されたプロジェクトの成功だけではありません。空き店舗の再生などによって実現する商業施設の再生が成功すると、周辺一帯の不動産価値も上昇し市場が活性化する可能性があります。

こうした動きにより、これまで不動産投資の視点からは対象から外れていたエリアや物件が投資対象として現実味を帯びることもあり得ます。

まとめ

人口減少社会を迎えた日本にとって、全国各地で進行している空き家・空き店舗問題はさまざまな面から弊害が大きく、重大な課題です。不動産特定共同事業法を改正したことにより、国もその対策に本腰を入れていることが分かります。

その流れを読み取り、不動産投資の選択肢や投資機会を増やすためにも、法改正によって起こり得る動きにも敏感でいたいものです。

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