不動産投資を行う上で、一にも二にも立地と言われるとおり、場所選定は大変重要な要素です。
そこで、「今注目の地方エリア」と題して、これから期待できる地域にはどのようなところがあるのか、全国くまなく検証していきましょう。
住む家という観点からも価値を保つ地域と考えることができる地域を挙げていきますので、貸す・住む両面から注目される地域をご紹介します。(伊藤亮太・ファイナンシャルプランナー)
目次
・人口の多い都市で今後最も期待できる街は「福岡市」と「川崎市」
100万都市というくくりの中で、20~25年先を見据えた時に、人口増加が今後も見込める地域がどこなのかという視点で検証していきましょう。
人口動態を見る上で参考になるのが、国立社会保障・人口問題研究所が公表する『日本の地域別将来推計人口(2018年3月推計)』です。
このデータをもとに、100万都市の中で2015年当時の人口と2045年推計人口を比較してみましょう。結果は以下の表になります。
2045年順位 | 都市名 | 2045年推計人口 | 2015年人口 | 増減数 | 増減率 |
1(1) | 神奈川県横浜市 | 3,446,124 | 3,724,844 | ▲278,720 | ▲7.5% |
2(2) | 大阪府大阪市 | 2,410,820 | 2,691,185 | ▲280,365 | ▲10.4% |
3(3) | 愛知県名古屋市 | 2,173,770 | 2,295,638 | ▲121,868 | ▲5.3% |
4(4) | 北海道札幌市 | 1,805,120 | 1,952,356 | ▲147,236 | ▲7.5% |
5(5) | 福岡県福岡市 | 1,654,572 | 1,538,681 | +115,891 | +7.5% |
6(7) | 神奈川県川崎市 | 1,549,981 | 1,475,213 | +74,768 | +5.1% |
7(8) | 京都府京都市 | 1,297,241 | 1,475,183 | ▲177,942 | ▲12.1% |
8(6) | 兵庫県神戸市 | 1,295,786 | 1,537,272 | ▲241,486 | ▲15.7% |
9(9) | 埼玉県さいたま市 | 1,285,867 | 1,263,979 | +21,888 | +1.7% |
10(10) | 広島県広島市 | 1,122,112 | 1,194,034 | ▲71,922 | ▲6.0% |
11(11) | 宮城県仙台市 | 922,655 | 1,082,159 | ▲159,504 | ▲14.7% |
※( )の中は2015年段階の人口順位を示す
この表から見られた通り、2015年から2045年の30年予想だと、100万都市で増える見込みのある地域は福岡市、川崎市、さいたま市の3都市となります。(ただし、東京23区は除く)
特に、福岡市は2015年10月の国勢調査で神戸市を人口で抜き全国5位に躍り出ています。また、川崎市は2019年5月1日に神戸市の人口を抜き全国6位になるなど勢いがあることが分かります。
この2つの都市は2045年時点でも2015年に比べて着実に増加見込みであり、不動産投資地域としては多いに期待ができる都市と言えるでしょう。
・まさかのダークホース?「さいたま市」も忘れずに
そして忘れてはならないダークホースが、さいたま市です。
リクルート住まいカンパニーが公表する「住みたい街ランキング2019関東版」にて、4位に大宮、8位に浦和がランクインするなど今密かに注目を集めているのがさいたま市です。
トップ10に2駅がランクインしたのは関東の市町村でさいたま市のみであり、東洋経済新報社「都市データパック2018年版」では住みよさランキングで政令指定都市の中で1位となるなど、住みよい街として人気を集めています。
人口も2015年当時の人口よりは2045年推定の方が増えると予想されており、今後も注目してよいエリアといってよいでしょう。
・魅力が変わらないはずの指定都市でもこの2都市は人口減?
一般的に政令指定都市はその周辺地域の中心都市であるため、月日が経ってもその魅力は変わらないと考えられます。
しかし、実際には政令指定都市の中でも大きく人口を減らすのではないかと想定されている地域が2つあるのをご存じでしょうか。
それが、「神戸市」と「仙台市」です。
推定では、2015年人口と比較して2045年にはおおよそ15%ほどの減少が両市で見込まれています。
なぜその2つは人口減が見込まれてしまっているのでしょうか。
神戸市に言えることは、大阪市の再開発などの影響があるのかもしれません。
特に郊外といえる西区や北区の人口が減少しており、その理由として大阪市内への通勤に時間がかかるといったことが影響を及ぼしている可能性があります。
仙台市は自然減という理由の他に、東京一極集中のあおりを今後も受ける可能性があることも考えられるのではないでしょうか。
・人口減少地域が不動産投資にNGというわけではないが……
いずれにしても25年ほど経ってみないと実際のところは分かりませんが、国の推計では増加する地域、減少する地域が見込まれています。
なお一概に人口が減少するから不動産投資はNGというわけではありませんが、あくまでも都市名で推測するとしたら、福岡市、川崎市、さいたま市が総合的に見ると魅力のある街といえるでしょう。
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