レインズの不動産情報は、不動産投資を考えている個人でも閲覧・検索できるのでしょうか。
不動産を「売りたい」「買いたい」と考えたとき、一度は「レインズ」という言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。
レインズは不動産情報についてのネットワークです。
レインズの利用方法や仕組みなどについて、あまり詳しく理解されていない方が多いかと思います。
この記事では、
- レインズの基本情報
- レインズを利用するメリット
- 個人でレインズを利用する方法
について、当メディア「不動産投資の教科書」が解説します。
レインズを利用したいと考えているものの、レインズがどういうものかをまず知りたいと考えている方の参考になれば幸いです。
目次
1、レインズとは
「レインズ」は、「Real Estate Information Network System」の略称です。
公益財団法人 不動産流通機構が運営する、不動産物件情報のネットワークシステム(不動産流通標準情報システム)のことをいいます。
1988年に宅地建物取引業法の改正によりスタートし、国土交通大臣から指定を受けています。
東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4つの「指定流通機構」が運営するシステムです。
なお、東日本不動産流通機構は通称「東日本レインズ」と呼ばれています。
(1)レインズを利用できるのは誰?
レインズは、指定流通機構に会員登録をしている不動産会社のみが利用可能です。
個人では、レインズに掲載されている物件情報を閲覧することはできません。
(2)レインズの仕組み
指定流通機構に会員登録をしている不動産会社が、売主から不動産売却の依頼を受け、その不動産情報をレインズにて登録をします。
不動産購入を希望する買主は、物件探しを依頼をした指定流通機構に会員登録をしている不動産会社に、レインズのなかで物件の検索をしてもらいます。
このように、売主・買主のそれぞれから依頼を受けた不動産会社の間で、物件情報の提供と物件検索がリアルタイムで行われるシステムです。
出典:公益財団法人 東日本不動産流通機構「REINS TOWER」
(3)レインズに登録される物件とは
全ての物件情報は、レインズに登録されているのでしょうか。
それは、物件内容をレインズに登録する法的義務があるか否かによります。
レインズへ物件登録することが法律上義務づけされているのは、売主と不動産業者の間で次の契約が締結されているケースです。
- 専属専任媒介契約
- 専任媒介契約
どちらの契約も、売却の仲介を依頼するのを1社のみとする契約です。
一方、売主が何社でも売却の仲介を依頼できる「一般媒介契約」の場合は、レインズに物件を登録する義務はありません。もっとも、法律で「積極的に登録するように」とされています。
必ずしも全ての物件を確認できるわけではないですが、レインズ上ではかなりの割合の売買候補物件を確認できます。
ちなみに、2021年度にレインズへ新規登録された売却物件数は1,264,268件でした。
出典:公益財団法人 不動産流通推進センター「指定流通機構の活用状況について」
2、レインズから得られるメリット
レインズは、個人の場合は不動産業者を介してのみの利用に限られることがおわかりいただけたかと思います。
ここでは、不動産売買を考えている方が、レインズを利用したときに得られるメリットについて解説します。
(1)不動産を売りたい場合のメリット
①早期売却が実現できる
レインズに登録されている物件情報は、レインズ内で情報共有されることになります。
そのため、レインズに会員登録している全ての不動産業者から買い手を探してもらうことが可能です。
多くの不動産業者がいるため、早期売却が期待できるでしょう。
②適正な売却価格を設定できる
個別の不動産業者から買い手を探す場合、安く価格設定をされてしまったり、価格設定が適正かどうか判断しにくかったりという悩みが出てくることもあるでしょう。
レインズでは、実際の取引事例から最近の市場動向を把握することが可能です。
したがって、個々の物件の適正な売却価格を設定できます。
(2)不動産を買いたい場合のメリット
①最新情報を知ったり物件検索を利用できる
レインズに登録されている不動産業者1社に仲介を依頼すれば、不動産業者を通じてレインズに登録されている物件の最新情報や物件検索を利用することができます。
②適正な市場価格の物件を購入できる
個別に不動産業者から物件を購入しようとすると、市場価格がわからずに高額な物件を購入してしまうケースも多々あるでしょう。
レインズを利用すれば、最近の市場動向を把握できます。
そのため、適正な市場価格で物件を購入できるでしょう。
3、個人がレインズの不動産情報を見ることはできる?
すでに述べましたが、レインズは会員登録している不動産会社のみが利用できるものです。
不動産業者でない個人では、閲覧・検索ができません。
とはいえ、不動産会社の担当者を通じないと閲覧・検索できないというのは、非常に不便ですよね。
「不動産情報の公開が随分偏っているのでは?」と思われるのではないでしょうか。
ご安心ください。現在は、レインズと同様の情報が一般に公開されているのです。
(1)レインズは実質一般公開されている
レインズ自体が、レインズ内の情報を一般公開しているわけではありません。
しかし、レインズの物件情報は「不動産ジャパン」というサイトで公開されています。
不動産ジャパンは、ほぼ全国の不動産流通業者(仲介業者)が今まで個別に運営していた物件情報を、一元的に検索できるサイトです。。
不動産ジャパン
(2)実際に成立した取引価格がわかるサイトもある
「不動産ジャパン」のほかにも、レインズに登録している不動産会社で実際に行われた不動産取引の価格情報が検索できるサイトがあります。
レインズマーケットインフォメーション
「レインズマーケットインフォメーション」は、実際に成立した不動産取引についての情報です。
いわゆる物件の市場価格の「相場」を知るのに役立つでしょう。
不動産の売買に関心があるけれど不動産業者を訪ねる程ではない、という段階でも不動産価格の相場を気軽に調べることができるので、ぜひ利用してみてください。
4、さらに詳しい不動産売却価格を知るには?
「3、個人がレインズの情報を見ることはできる?」で紹介したように、レインズの物件情報を公開しているサイトでも不動産売却価格を確認できます。
しかし、不動産売却価格をより詳細に知るためには、「査定サイト」を利用するのがオススメです。
不動産価格査定サイトは、
①複数の不動産業者に対して売却査定を一括で依頼できるサイト
②不動産業者が直接運営するサイト
の2種類に分けることができます。
いずれもインターネットやスマートフォンから、物件の情報を入力するだけで簡単に査定することが可能です。
それぞれ査定できる業者が異なっているため、複数のサイトを利用することでより正確な情報を把握でき、比較検討することで有利な査定結果を選ぶことができます。
不動産投資の教科書がオススメするのは、一括査定サイトと、一括査定サイトに登録していない有力業者のサイトを両方利用する方法です。
まずは主要な一括査定サイトを2つご紹介します。
すまいValue
「すまいValue」は、東急リバブルや住友不動産販売、野村の仲介など、登録会社が大手不動産会社に限定された一括見積サイトです。
大手不動産会社の意見も聞きたい場合に利用すると、一括で大手6社へ見積依頼できます。
HOME 4 U
「HOME4U」は、NTTグループが運営している一括査定サイトです。
登録不動産業者の審査が厳しく、営業攻勢を掛けてくるような業者を排除しています。
初めての方にもオススメできるサイトです。
次に、一括査定サイトに登録していない有力業者のサイトをご紹介します。
SRE不動産(旧ソニー不動産)
SRE不動産は、ソニーグループの不動産会社です。
一つの物件について、売り手と買い手の双方を担当することを禁止し、片手仲介を原則としています。
100%売り手の要望にそった、納得度の高い売却活動ができる「売却エージェント制」を採用しています。
さらに、Yahoo!不動産と提携するなど、売却したい物件の情報により多くの購入検討者がアクセスすることができるというメリットも。
SRE不動産がこだわる売却エージェント制と情報公開制度で、透明性のある売却活動が可能です。
売り手の安心感や、成約価格に対する納得度は高いでしょう。
なお、SRE不動産は、エージェント制でサービスエリアが限られています(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、京都府、奈良県)。
首都圏・近畿圏というエリアに該当するなら、ぜひおすすめしたいサイトです。
例えば、
- 大手6社に一括して査定依頼できる「すまいValue」
- 一括査定サイトに登録せず独自ネットワークを持つ「SRE不動産」
など、両方のサイトを利用することで、多くのデータに基づく複数の査定結果を比較できるようになり、詳しい不動産売却価格を知ることができるでしょう。
まとめ 不動産についての情報収集に活用できる!
いかがでしょうか。
今回は、不動産物件情報のネットワークシステム「レインズ」について解説しました。
レインズは登録している不動産業者しか閲覧できませんが、現在はレインズと同様の情報が別のサイトを通じて一般公開されています。
不動産売買にあたっては、このようなサイトを利用したうえで、取引価格相場など情報収集をすることが大切です。
実際に不動産業者を訪ねなくても物件情報を閲覧・検索することができるので、非常に画期的なサービスです。
不動産売買をしたい方は、これらのサイトを利用して効率的に有利に不動産売買を進めましょう。