• 不動産投資
  • 2022/3/2 (更新日:)

不動産投資「家賃交渉」で収入を増やしたい!有利になる資料とは?

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不動産の家賃はどのように決まるのでしょうか?

景気や物価の動向によって変動するほか、家賃交渉をする際に、相場水準を提示しながらそれと比べて安い、あるいは高いと議論して進めていくこともあります。

実際の家賃と相場家賃との差額が小さい場合には、お互い妥協できるラインで話し合いにより解決ができるのですが、折り合いがつかない場合には調停や裁判に発展することがあります。

調停や裁判の場にいってもなかなか話がまとまらない大きな原因の1つとして、相場というものの捉え方が双方違っている点が考えられます。

そこで今回は、不動産の家賃の種類や算出方法、また大家から見た家賃交渉の留意点や役立つ資料について、不動産投資に関する情報を発信している当メディア「不動産投資の教科書」が解説します。

(田井能久・不動産鑑定士、ロングステイアドバイザー、タイ・バリュエーション・サービシーズ代表取締役)

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初心者が知っておくべき不動産投資のバイブル
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不動産投資のバイブル
  • 不動産投資に興味があるけど何から始めていいか分からない…
  • 営業マンのいうことを鵜呑みにして失敗したくない…
  • しっかりと基礎から学び、できる限りリスクを避けたい…
  • 今は不動産投資の始めどきなのか?
  • 安定収益を得るための不動産投資物件の選び方
  • 不動産投資の失敗例から学ぼう


1、不動産の家賃の種類


(1)新規賃料

新規賃料とは、合理的な市場を前提として、新たな賃貸借等(賃借権若しくは地上権又は地役権に基づき、不動産を使用し、又は収益することをいう。)の契約において成立するであろう経済価値を表示する適正な賃料を言います。

分かりやすくいえば、だれでも自由に賃貸借契約をできる状態で、新規に契約する場合に成約すると見込まれる賃料です。

ネットやチラシなどで募集されている賃料と類似していますが、この募集している賃料よりも一般的に1割から2割を割引いて賃貸借契約が成立することが通常と考えた場合、募集賃料の1割から2割引いたものが新規賃料の相場といえます。

また住居ではあまり事例はないですが、店舗や事務所だとフリーレントという形で数カ月家賃が無料になるほか、敷金や保証金の減額などの割引があります。

このような実質的な賃料の値下げがあれば、やはり相場は募集賃料以下で形成されていることに注意しましょう。

(2)継続賃料

継続賃料とは、不動産の賃貸借等の継続に係る特定の当事者間において、成立するであろう経済価値を適正に表示する賃料をいいます。

簡単にいうと、すでに契約している賃料を改定する時に成約すると見込まれる賃料です。

例えば3年前に月額10万円で契約した賃料が、今年更新するにあたって成立するであろう妥当な賃料といえます。

賃料交渉で考慮されるべき賃料はあくまで後者の「継続賃料」であり、「新規賃料」と比較するものではありません。

ここでは合意している賃料があくまでもベースとなり、ベースの賃料から上げるべきか下げるべきかを考える形になります。

以上のように、賃料交渉でいう賃料は新規賃料で考える相場とはまったく違うものであることを覚えておきましょう。

2、不動産の家賃の算出方法

不動産の家賃は、新規賃料と継続賃料でそれぞれ異なる算出方法があります。

本章では、不動産の家賃の算出方法について個別に説明します。

(1)新規賃料

①賃貸事例比較法

近隣の類似した用途の賃貸事例をベースとして、対象となる不動産の特徴に応じて補正を行い算出する方法です。

②積算法

対象不動産の基礎価格に、その不動産に期待される利回りをかけ、必要経費を足して算出する方法です。

③収益分析法

一般の企業経営に基づく総収益を分析して、対象不動産が一定期間に生み出すであろうと期待される純収益に必要経費を加算する方法です。

(2)継続賃料

①賃貸事例比較法

新規賃料で紹介した方法と同様ですが、継続中の賃貸事例をベースとする点が新規賃料の場合と異なります。

②差額配分法

適正な新規賃料と現行の契約賃料との間に生じている差額部分を、賃貸人と賃借人に配分し算出する方法です。

③利回り法

元本である「価格」と、「賃料」の相関関係を表す「利回り」をベースに賃料を算出し、必要経費を加算する方法です。

④スライド法

過去に合意した賃料をベースとして、それ以降に生じた経済指標の変動を改定する賃料に反映させる方法です。

3、不動産の家賃を上げるための注意点


(1)継続賃料では「直近合意時点がいつなのか」を把握する

次のケースで考えてみましょう。

10年前の契約当初から割安の家賃で貸していて、周りの家賃は上昇しています。昨年の更新時も同額で更新したが、今年に入ってやはり家賃を上げたくなった、といったケースです。

継続賃料はあくまでも直近合意時点からの変動要因で決定します。

このケースでは、昨年同額で更新した時点で、「1年前に両者は家賃について納得して契約した」と考えられます。

あくまでもこの1年前に合意をしたことを基準に、今年までの1年間の経済状況等を考慮してなにが変わったか検討され、家賃を上げるべきか下げるべきか判断されるのです。

従って、一般的に継続賃料を一気に相場に近づけることはかなり困難で、仮に新規賃料の相場の半分であっても、一度の改定で2割から3割アップすれば良い方でしょう。

「直近合意時点はいつなのか」という点は、継続賃料交渉で非常に大事なポイントになります。

(2)不動産会社や管理会社に相談する

物件が所在する地域の不動産会社に家賃相場をヒアリングしたり、管理会社に意見を聞いてみると、相場に対しての客観的な意見を聞くことができます。

(3)敷金・礼金も含めて検討する

家賃が適正な価格でも、敷金や礼金などの一時金が高いために空き室が埋まらないこともあります。敷金・礼金を含め総合的に考えることが必要です。

(4)収支計算をする

賃貸経営では、家賃などの「収入」とローン・税金などの「費用」があることを踏まえ、収支を計算しマイナスにならない家賃設定をすることも重要です。

4、家賃を上げる交渉で有利になる資料

前章で、継続賃料を相場に近づけるのは難しいということを説明しました。しかし、家賃を相場に近付けることは決して不可能ではありません

家賃を上げるために、少しでも有利に交渉するには以下の資料を用意すると良いでしょう。

(1)固定資産税や管理費など費用増加がわかるもの

固定資産税や管理費などのコストが増大し、大家の手取りが減っていることが明確に分かれば、少なくともその分の賃料のアップが認められる可能性はあります。

(2)賃借人に寄与する設備投資をしたことが分かるもの

Wifi設備を付けたことや、防犯カメラを増設したことなど、賃借人にとってメリットになる投資をした場合には、それに関連する資料を取っておきましょう。

(3)賃借人の使用や利用によって生じたコストが分かるもの

契約解除までいかなくても、賃借人のゴミ出しが悪かったり、きれいに使ってくれずに通常以上に清掃費がかかったりした場合も、証拠資料等があると良いでしょう。

(4)過去の相場の推移が分かるもの

現在の相場との比較よりも、相場が上がっているか下がっているかの推移が分かる資料を作成してみましょう。

まとめ

家賃交渉は難しいものであるため、ついつい敬遠しがちですが、一旦相場から乖離してしまった家賃を引き戻すには大変な手間を要します。

 

契約を改定するときにはきちんと今の相場と向き合い、いわゆる相場との違いをチェックし続ける必要性があります。

また、交渉時に有利になる資料があることを念頭に置き、準備しておきましょう。

 

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