リバースモーゲージってどんなシステム?
老後もなるべく豊かに生活したいけど貯金が少なくて心配……。
高齢者の中には土地や建物があっても年金や貯金などの現金が少なく、資産を引き継ぐ人もいないため、建物は老朽化しひっそりと暮らしている人もいます。
「住み慣れた場所を離れたくない」という思いで不動産を持ち続けていった結果、維持管理にかかる費用が年々かさんで更に生活を苦しめることとなった事例も多く見られます。
「土地や建物があってもお金がない」という問題の打開策として、リバースモ-ゲージというシステムがあります。
メリットも多いですがリスクもきちんと理解するために分かりやすく見ていきましょう。
1、リバースモーゲージとは
リバースモーゲージとは、所有する土地や建物を担保にして金融機関からお金を借りる融資制度です。
いわゆる住宅ローンは、購入する不動産を担保に、一括して購入資金を借りて月々で返済していきますが、リバースモーゲージは、不動産を担保にしたローンをいいます。
月々にお金を借りて(一括で借りる場合もあります)、最後に不動産を売却するなどして借金を返済するため、「リバース(逆)のモ-ゲージ」という名前になっています。
もともとは地方自治体などにより、高齢者の生活資金の融資という目的で始められた制度です。
しかし、近年は民間の金融機関が参入し、マイフォームのリフォーム、子供や孫の教育資金、レジャーや旅行費などの様々な使途にも対応できる商品が登場しています。
生活費のみならず、老後の生活全般を豊かにする新たな不動産の有効活用方法として注目されています。
2、リバースモーゲージのメリット3選
リバースモーゲージのメリットは主に以下の3つがあります。
- 自宅に住み続けられる
- 融資条件や使途が比較的自由である
- 一括返済が可能で、返済原資は選択できる
(1)リバースモーゲージのメリット①自宅に住み続けられる
通常は、子供が成人となり家を出ていったあとの自宅を売り、買い替えたり賃貸に引っ越したりするケースが多いでしょう。
しかし、高齢者にとっては、住み慣れた家や場所を離れることに抵抗を感じることがあります。
リバースモーゲージは、自宅を担保にするものの、継続して住むことができ、生活環境を変える必要がないことが最大のメリットだといえるでしょう。
(2)リバースモーゲージのメリット②融資条件や使途が比較的自由である
ローンを借りる場合はご自身の年齢や収入が考慮されるものでありますが、リバースモーゲージの場合は不動産が担保になります。
そのため、年金収入がほとんど無い場合や、かなりの高齢者であっても融資が可能となる場合があります。
また通常のローンは、その用途がかなり厳密に決められ、それ以外で使ってしまうと場合によっては融資契約が解除されることもあります。
しかし、リバースモーゲージの場合は原則自由という金融機関が多いことが特徴的です。
(3)リバースモーゲージのメリット③一括返済が可能で、返済原資は選択できる
金融機関によっては月々の返済もありますが、基本的には死亡時に一括で返済が可能です。
また、返済原資としては生命保険等などの別の資金で返済することも可能なため、必ずしも不動産を手放さなければならないわけでなく、返済時の状況で選ぶことができます。
3、リバースモーゲージのデメリット3選
リバースモーゲージにはメリットがある一方で、デメリットも存在します。
本章では、以下の3つをご紹介します。
- 推定相続人との同意が必要
- 担保価値の下落リスクがあり融資条件が厳しい
- 長生きするほど返済額が多くなる
(1)リバースモーゲージのデメリット①推定相続人との同意が必要
死後に不動産を売却して返済することが多いので、その不動産を相続する可能性がある親族などの同意がなければなりません。
同意が得られないことが理由となり、実施を諦めるケースというのも多いようです。
(2)リバースモーゲージのデメリット②担保価値の下落リスクがあり融資条件が厳しい
担保となる不動産の価値は定期的に見直されますが、下落した場合には月々の融資額が引き下げられたり、一括返済を求められる場合があります。
また、こういった下落リスクに対応するため、不動産価値を厳しく評価する傾向にあり、融資限度額が不動産価値の半分というケースもあります。
(3)リバースモーゲージのデメリット③長生きするほど返済額が多くなる
長生きすればするほど借りる金額が多くなり、返済額が多くなります。
場合によっては、融資枠を使い切ってしまうことも起こりえます。長く生きれば金利も変動し、金利が上昇すると返済額も多くなってしまう可能性もあるでしょう。
4、リバースモーゲージの3大リスク
リバースモーゲージは以下の3つのリスクがあるため、注意が必要です。
- 金利上昇リスク
- 担保評価下落リスク
- 長生きリスク
(1)金利上昇リスク
リバースモーゲージは、主に変動金利型・一定期間の固定金利型になっています。そのため、契約期間中に金利が大幅に上昇した場合、毎月の返済額が増加したり、借入可能額が減少したりする可能性があります。
契約期間の途中で融資可能金額の上限に達してしまうと、想定していたよりも融資を受けられる金額が少なくなってしまいます。
(2)担保評価下落リスク
担保評価の下落は、融資額が下がるだけでなく、返済にも大きな影響を与えるリスクです。
リバースモーゲージの融資額は、契約時の担保評価額に応じて決まります。しかし、担保となる不動産の評価は一定期間で見直されます。
不動産価値が大幅に下がった場合、融資金額が下げられたり融資を止められたりするリスクがあります。
また、融資限度額が下げられ、借入残高が限度額を上回った場合は、差額を返済する必要があるため注意が必要です。
(3)長生きリスク
リバースモーゲージのメリットの1つが自宅に住み続けられることですが、想定より長生きし、存命中に融資限度額に達した場合は、元金と利息を一括で返済しなければなりません。
もし、一括返済ができない場合、自宅を売却して一括返済する必要があります。
金融機関によっては、契約期間(最終返済期限)が設けられている場合もあるので、注意が必要です。
また、自宅の売却価格を借入金残高が上回る場合、自宅を失うだけでなく、借金が残る場合もあります。高齢の契約者にとって一括債務返済は負担が大きく、難しい問題です。
このように、本来長生きをすることは喜ばしいことですが、リバースモーゲージではリスクの1つといえるでしょう。
まとめ
以上のように、様々なデメリットがあるリバースモーゲージですが、現在は多くの金融機関が取り扱うようになり、不動産有効活用術の1つとして知られるようになりました。
リバースモーゲージは、魅力的な一面がある一方で、デメリットも存在します。
実際に、リバースモーゲージを取り入れるか判断する際には、メリット・デメリットをおさえることは非常に重要です。