不動産投資に興味がある方であれば、一度は「REIT(リート)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、REITの仕組み、実物不動産投資と比較したメリット・デメリットなどについてきちんと把握してない方も少なくないではないでしょうか。不動産投資と同様に、REITについても失敗しないためには十分な知識を身につけておくことが重要です。
今回は、毎月資産運用に興味ある方が数万人訪問するメディアである不動産投資の教科書が、
- そもそも「REIT(リート)」とは?REITの仕組みについて
- 実物不動産投資と比較したREITのメリットとデメリット
- REITを始まる前に知っておきたいことは?
- REITを始めるにあたってのおすすめの証券会社3選
などについて書いていきますので、ご参考になれば幸いです。
この記事をお読みの方はぜひ「資産運用とは?|金融商品の種類、メリットデメリット徹底解説」も併せてご参照ください。
目次
1、そもそも「REIT(リート)」とは?REITの仕組みについて
(1)そもそも「REIT(リート)」とは?
そもそも「REIT(リート)」とは、もともとアメリカ生まれの仕組みで、「Real Estate Investment Trust」の略で「REIT」と呼ばれています。
なお、日本では「Japan」の「J」を取り、「J-REIT」とも呼ばれています。
REITとは、不動産投資信託(不動産投資ファンド)のことです。
投資家から集めた資金で、マンション、オフィスビルや商業施設など様々な不動産を購入し、購入した不動産の賃貸収入や売買益を投資家に配当する仕組みになっています。購入する不動産はオフィス用物件からマンション、商業施設、ホテルなど多岐に渡ります。
(2)REITの仕組みは?
続いて、REITの仕組みについてみてみましょう。
REITの仕組みとしては、「不動産投資法人」と呼ばれる株式会社が、自社の株式を「投資証券」として発行して、投資家から集めた資金で購入した投資不動産から得た以下の収益を投資家にするものとなります。
- 売買益
- 家賃収入
多くの不動産投資法人が上場しています。
REITは、意思決定する「役員会」と役員の選任できる「投資主総会」が設置されていますが、運用などの実質的な業務を行うことが法律によって禁止されているため、 以下の通りそれぞれの会社に業務が分担されて委託されています。
- ①資産運用は「運用会社」
- ②資産保管は「資産保管会社」
- ③一般事務は「事務受託会社」
①運用会社
運用会社の役割としては、以下の戦略を立案することになります。
- 投資不動産の選定
- 物件の賃貸条件
- 不動産の価値を維持するための修繕計画
- 資金調達
②資産保管会社
資産保管会社の役割としては、保有している不動産の資産の管理を行います。一般的には信託銀行が資産保管会社となります。
③事務受託会社
事務受託会社の役割としては、会社に関する以下のそれぞれの業務を行うことです。
- 会計
- 納税
- 投資法人債
2、実物不動産投資と比較したREITのメリットとデメリット
同じく不動産投資をしても、実物不動産投資にするか、REITにするかと悩まれている方も少なくないではないでしょうか。
ご判断の参考となるよう、以下にて実物不動産投資と比較したREITのメリットとデメリットについて書いていきます。
(1)実物不動産投資と比較したREITのメリット
まず、実物不動産投資と比較したREITのメリットについてみてみましょう。
大きく以下のようなメリットが挙げられます。
- ①少ない金額から購入できる
- ②複数の不動産への分散投資によりリスクを軽減できる
- ③流動性が高い
では、それぞれについてみてみましょう。
①少ない金額から購入できる
REITは投資証券商品となっているため、商品にもよりますが、10万円前後という少額から投資することができます。
一方、実物不動産の場合、一つの物件を1人で購入することになりますので、安くても数百万円はかかります。借り入れなどが必要になることも多いでしょう。
②複数の不動産への分散投資によりリスクを軽減できる
REITは少額から購入ができるので、同時に複数の物件を少しずつ投資してリスク分散することができます。
一方、実物不動産を複数購入することはなかなか難しいと言えるでしょう。
③流動性が高い
REITは日々変動価格をリアルタイムで知ることができ、購入や売却注文はいつでも自由に行うことができます。数千万のREITでもすぐ売却ができ、売却3営業日後に売却代金を手にすることができます。
一方、実物不動産を売却するには大体3ヶ月前後かかると言われています。すぐに換金したくてもなかなかできないというリスクがあります。
(2)実物不動産投資と比較したREITのデメリット
続いて、実物不動産投資と比較したREITのデメリットについてみてみましょう。
具体的には以下のようなデメリットがあります。
- ①実物所有ができない
- ②REITが倒産するリスク
- ③上場廃止のリスク
では、それぞれについてみてみましょう。
①実物所有ができない
同じく不動産投資でも、REITは「金融資産」であり、その不動産を所有することができないです。
一方、実物不動産投資は購入資金を支払えば、その不動産実物を所有することができます。つまり、不動産投資の場合には状況に応じてその物件に住むことができるのに対して、REITの場合はそれが難しくなります。
②REITが倒産するリスク
REITは一般の法人と同じように、倒産するリスクも考えられます。万が一倒産してしまうと購入した株式が紙切れ同然になってしまう可能性も考えられます。
一方、実物不動産は例え管理会社が倒産しても、次の管理会社を探せばいいので、不動産自体の価値には大きく影響しないでしょう。
③上場廃止のリスク
REITは証券取引所で取引する必要があり、万が一証券取引所が定める上場基準に抵触し上場廃止となった場合、取引が困難になってしまうリスクがあります。このような場合にもせっかく購入した株式が紙切れ同然になってしまう可能性があります。
一方、実物不動産は個人間との取引がメインになるので、そのような心配はないでしょう。
3、REITを始める前に知っておきたいことは?銘柄を選ぶ4つのポイント
初心者の方は数多い銘柄からどのように銘柄を選んだらいいのかと悩まれている方も少なくないではないでしょうか。
REITを始める前に、どの銘柄を購入するなど失敗しないために事前に情報収集することがとても大切です。
証券会社のランキングを参考にするのもいいですが、失敗しないためには自分できちんと調べるようにしましょう。
具体的に銘柄を選ぶ際の4つのポイントを挙げてみましたので、参考にしてみてください。
- (1)ネットオペレーティングインカム(NOI)利回りの数字を見る
- (2)目論見書を確認する
- (3)資産運用報告を確認する
- (4)価格を把握する
では、それぞれについてみてみましょう。
(1)ネットオペレーティングインカム(NOI)利回りの数字を見る
銘柄を選ぶにあたっては、まずネットオペレーティングインカム(NOI)利回りを確認しましょう。
ネットオペレーティングインカム(NOI)利回りとは、配当金から手数料などの諸経費を差し引いた実質利回りのことを言います。
REITのNOI利回りは「5.5%」が一つの目安と言われています。最近では日銀の超低金利政策により分配金の利回りも低下しましたが、5.5%以上を確保しているREITが望ましいと言えるでしょう。
(2)目論見書を確認する
目論見書は、REITが証券取引所に新規で上場する時や公募増資などの時に作成されます。投資法人の
- 仕組み
- 運用方針
- 運用体制
- 投資リスク
- 手数料
- 申込み方法
- 換金方法
などの情報が記載しています。
なお、目論見書は細かい数字が羅列されていて、どこを見ればいいのかと分からない方も少なくないではないでしょうか。
以下にて目論見書で確認すべきポイントを書いていきますので、参考にしてみてください。
- ①スポンサー企業
- ②物件タイプごとの注目ポイント
では、それぞれについてみてみましょう。
①スポンサー企業
REITは、スポンサーとパイプライン契約を結び、随意契約でいい投資物件を適正価格で購入ができ、高い利回りを出すことができます。つまり、信頼できるスポンサーがいることによって、REITを成長させる可能性が高いと言えるでしょう。こちらも一つ大きな判断基準と言えます。
信頼できるスポンサーかは、以下のポイントを参考にして判断しましょう。
- 規模
- 信頼性
②運用型ごとの注目ポイント
REITにも実物不動産投資と同じように、様々な運用型があります。以下にて運用型ごとに注目ポイントを書いていきますので、参考にしてみてください。
ー住宅運用型ー
住宅運用型はやはり物件の立地が重要です。賃貸需要が高い東京23区の物件の保有割合が7割以上あると望ましいです。また、築年数が10年以内で、ファミリータイプよりもワンルームタイプの方が多い方がいいでしょう。
ーオフィス運用型ー
オフィス運用型も物件の立地が重要です。オフィス賃貸需要が高い
- 千代田区
- 品川区
- 中央区
- 港区
- 渋谷区
- 新宿区
の都心6区に物件が多く持っているとREIT自身の価値も高いと言えるでしょう。
オフィスの場合、築年数20年前後でも問題ありません。中には有名なビルが入っているかどうかも確認するようにしましょう。
ー商業運用型ー
商業運用型は、地域密着性の大型商業施設や三大都市圏にある郊外型の店舗であれば大丈夫でしょう。また、賃料形態も、歩合より固定の方が望ましいでしょう。
ーホテル運用型ー
ホテル運用型の場合、需要が伸びているビジネスタイプの数が多いとよいでしょう。また、観光客が多い東京や京都などのエリアにあるのが望ましいといえます。
ー物流施設運用型ー
物流施設は郊外より首都圏にある方が価値が高くなります。また、規模としても「3万㎡超え」など出来れば広い方がいいです。 加えて、テナントとしては日本通運、佐川急便など大手の流通会社が入っていると安定でしょう。
なお、目論見書とほぼ同じ内容の「有価証券報告書」を金融庁のホームページの「EDINET」や証券取引所でも閲覧することができます。
(3)資産運用報告を確認する
資産運用報告は、決算ごとにREITを保有している投資家に対して、運用の状況などを知らせるために作成され、投資家に送付されています。 資産運用報告には、
- 保有物件
- 投資法人の運用状況等の推移
- 分配金などの実績
- 借入状況
- 主要な保有資産(見るべきポイントは、①物件の稼働率、②保有する物件数、③保有している物件の築年数)
- 今後の運用方針
- 保有物件の写真
など多くの情報が記載されています。
資産運用報告は、REITを保有している投資家に対して配布していますが、証券取引所に上場している場合、誰でも証券取引所で閲覧することができます。また、不動産投資法人のホームページからダウンロードすることも可能です。不動産投資法人のホームページでは、決算短信や投資する不動産に関する最新の情報などを掲載されることが多く、最新の情報を確認するにあたっても、有効と言えるでしょう。
(4)現時点での価格を把握する
投資するにあたってはもちろん、ご興味があるREITの現時点での価格を知っておきましょう。現在の価格を見た上で、割安なのか(これから上がる可能性が高いのか)、割高なのか(これから下がる可能性が高いのか)を判断しましょう。
REITの価格を把握するには、大きく以下のような方法があります。
- 証券会社のホームページ
- REITのホームページ
- 証券取引所のホームページ
など。
4、REITを始めるには?おすすめ証券会社3選
購入したいREITが決まれば、証券会社に口座を開設して、売買することになります。
REITの売買を行う際に、証券会社に「株式売買手数料」を支払う必要があります。
なお、REITはどの証券会社でも取引ができますので、売買手数料が安い証券会社を選ばれるとよいでしょう。
以下にてオススメの3つの証券会社をピックアップしましたので、参考にしてみてください。
(1)SBI証券
(2)楽天証券
https://www.rakuten-sec.co.jp/
(3)カブドットコム証券
まとめ
今回はREITについて紹介してきましたがいかがでしたでしょうか?ご参考になれば幸いです。