離婚調停が不成立となった場合の対処法まとめ

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離婚調停中だけど不成立になってしまったらどうしたらいいのだろう・・・?

この記事をお読みの方にはそのようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そもそも調停とは、調停委員に仲立ちをしてもらいながらの当事者同士の話し合いです。

ですので、どうしても合意ができなければ調停不成立となってしまいます。

話し合いがまとまらない場合だけでなく、相手方が話し合いに応じない場合、つまり調停の場に出席しない場合もまた、調停不成立となります。

調停を起こそうとお考えの場合、万が一不成立となった場合も想定しておくことは決して無駄ではなく、その時になって慌てて対処するよりも、確実にご自分の望む結果を引き寄せることができます。

今回は、離婚調停が不成立になった場合の対処方法についてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。

※この記事は2017年4月24日に加筆・修正しました。

1.どういった場合に離婚調停が不成立になるのか


調停という手続きは、一般にはなじみが薄いため、そもそも、離婚調停がどういう流れで不成立となるのかが分からないといった疑問をお持ちの方もおられるでしょう。

そこで、調停が不成立となる場合を列挙していきたいと思います。

(1)当事者が合意しない場合

調停とは、当事者の話し合いを積み重ねることによって落としどころを探っていく方法です。

したがって、いくら話し合いを重ねても、お互いの主張が平行線のままであり、これ以上、調停を続けても実りがないと調停委員会が判断した場合は、調停不成立となります。

なお、調停委員会とは、調停委員と裁判官で構成された委員会のことです。
つまり、調停委員の一人の判断ではなく合議で判断されるわけです。

(2)調停を取り下げる場合

調停委員会側でなく、当事者側からもアクションを起こすことはできます。
取下げ書を提出して、調停を取り下げることによって調停不成立となります。

なお、この場合は、申立人からしか取り下げはできません。
相手方は、調停の場に出席しないことによって、調停を進めたくないという意思を表明することができ、このことによって調停は不成立となるからです。

取り下げについて理由や相手方の同意は不要です。

2.離婚調停が不成立になったら裁判をするしかないのか


では、調停が不成立となった場合、次は裁判を起こすしかないのでしょうか。

実は、道は一つだけではなく複数あります。

  1. 再度、調停を起こす
  2. 協議離婚
  3. 審判離婚
  4. 裁判離婚

以上の4つが考えられます。

以下、それぞれについて解説していきます。

(1)再度、調停を起こす

制度上、調停は1回限りと定められているわけではありません。

一度、不成立となった調停に対して不服申立ての制度は用意されてはいないが、再度の新たな申立てを制限しているわけではないのです。
したがって、再度調停を申立てることが考えられます。

但し、不成立になったばかりのタイミングで、すぐに調停を申し立てても徒労に終わることが多いでしょう。

調停は、あくまで当事者の合意を目指す制度だからです。
したがって決裂したばかりで、すぐに合意に至ることは考えにくいでしょう。

この方法をとる場合は、相手方が離婚したいと気持ちの変化が起きているタイミングを見計らうことが大切であり、こちらとしても、譲歩できる点を再度練り直しておく必要もあるでしょう。

(2)協議離婚

離婚の方法で一番多い方法は、協議離婚です。
調停がうまくいかなくても、協議離婚で離婚することはできます。

裁判離婚は、費用も掛かるし証拠も必要となってくるため、そのようなものが要らない、または用意できない当事者にとっては、有効な方法です。

もっとも、協議とは話し合いということなので、調停離婚が不成立となった後に、協議で離婚に持ち込みたい場合は、タイミングと譲歩できる点を確認して臨むことが肝要です。

(3)審判離婚

審判離婚というのは、裁判官の判断によって離婚を行うことです。
もっとも、あまり採用されることはなく例外と考えてよいでしょう。

但し、離婚自体には双方が合意しているが、婚姻費用の分担や養育費について、隔たりがある場合などは、このことについては審判で決定されることがあります。

(4)裁判離婚

再度の調停や協議離婚は、合意しなければ、徒労に終わってしまうし、審判離婚も裁判官のイニシアチブにゆだねられているので、当事者の思い通りにはいかないことが多いです。

こうなってくると、次は裁判離婚を検討すべきでしょう。

裁判離婚とは、訴訟による離婚です。
裁判での離婚は、話し合いによる離婚と違い、法に定められた理由がなければ離婚は認められないし、裁判の手続きにのっとって進めていく必要があります。

また重要なことですが、有責配偶者からの離婚訴訟は、原則として認められません。
したがって、裁判離婚を行う場合は、専門家である弁護士の助力が必要となるでしょう。

現在は、弁護士会や行政機関が法律相談を行っているので、そういったところに足を運んでみて相談をすることもできます。

また、法テラスという制度も整っており、費用の貸与制度もあるので裁判外の方法で決着したほうがいいのか、弁護士の助力を得て裁判で離婚したほうがいいのかじっくりと検討を行うことをお勧めします。

3.離婚調停が不成立となった場合の離婚訴訟の方法


ここでは、離婚訴訟の進め方についてご説明いたします。

(1)調停を済ませておく

離婚の裁判の一つの特徴として、調停前置主義が挙げられます。

これは、離婚の場合は、いきなり裁判を起こすことはできず、必ず調停を行わなければならないというものです。

したがって、訴訟を提起する際は、調停を行った裁判所に「調停不成立証明書」発行してもらい、その証明とする必要があります。

(2)裁判所に訴訟を提起する

①管轄の裁判所を調べる

裁判所には管轄があります。
簡単に言うと、裁判所によって担当する事件が違うのです。

離婚を取り扱う裁判所は家庭裁判所になります。
その中で、次のいずれかの裁判所に訴訟を提起します。

  • 夫と妻どちらかの住所地を管轄する家庭裁判所
  • 離婚調停を行った家庭裁判所

②必要な書類を用意し提出する

必要な書類は以下のとおりとなります。

  • 訴状2通
  • 夫婦関係調整事件不成立調書
  • 夫婦の戸籍謄本

③費用の準備

裁判を行う場合は、費用がかかってくるのでこれを準備しておかなくてはなりません。

印紙代

これは、裁判所に納める手数料にあたります。
相手方に対する請求金額に応じて印紙代も決められます。

離婚請求だけあれば、印紙代は13000円です。
慰謝料請求も行う場合は、請求金額に応じて印紙代も加算されます。

日当

裁判の場合、法廷に証人等を呼んだ場合は、その人に対する日当・交通費が必要となります。

弁護士報酬

代理人となって裁判を行ってくれる弁護士に対する報酬です。
主な内訳は、着手金と成功報酬となります。

弁護士報酬については、一律の設定ではなく、各々の弁護士が独自に価格設定を行うことができます。

したがって、いくらかかるか知りたい位場合は、依頼を考えている弁護士事務所に問いあわせるのが確実でしょう。

なお、着手金の相場は、30万から40万円といわれています。

④訴訟のながれ

訴訟の流れは以下の通りです。

訴えの提起

第1回目の口頭弁論期日

具体的には、双方が準備書面により言い分を主張し争点を明らかにします。
その中で、証拠の提出も行い立証がなされていきます。

第1回目以降は、ひと月に1回のペースで進められていきます。
審理が尽くされたら判決となります。

判決

離婚請求を容認、または離婚請求を棄却いずれかの判決が下されます。

判決の確定

控訴期間である2週間の間に控訴しなかった場合、判決が確定します。

⑤証拠をそろえる

離婚請求は、証拠がなければ認められません。

したがって、法律に定められた離婚原因に該当する事実が存在するということを、客観的に立証していくことが必要となっていきます。

主な証拠としては次のものが挙げられます。

  • 不貞行為があったと推認されるメモや手紙、メール、SNSのメッセージ、日記、ホテルの領収証
  • 精神的暴力や身体的暴力を受けたことを証明する医師の診断書
  • 被告のDVを推認させる物的証拠となる破損させたものやそれらの写真
  • 調査会社の報告書

⑥判決が確定したら

離婚を認める判決が確定した役場に届を出さなければなりません。
判決を出した裁判所が、戸籍上の離婚手続きも進めてくれるわけではないのです。

なお、この届出は、原告が、判決での離婚成立後10日以内に行わなければなりません。

離婚調停が不成立に関する場合まとめ

以上、離婚調停が不調となった場合に、裁判離婚を選択するときに押さえておくべきポイントについて述べてきました。

実は、離婚を考えているだけの段階であっても、最終的な方法である裁判離婚までの知識を身につけておいてこそ、離婚までのロードマップが描けることになるのです。

参考にしていただけたら幸いです。

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