過払い金がなくなる?過払い金返還請求の時効と時効を止める方法

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テレビCMや広告で「過払い金請求には時効があります!」と一度は目にされた方は多いかと思います。

この記事をお読みの方の中には、過払い金に時効があることをご存知で、自分の過払い金が時効になっているかもしれないと不安になっているかと思います。

せっかく過払い金があっても、時効によって請求できなくなってはもったいないですし、避けたいところでしょう。

そこで今回は、具体的に過払い金返還請求する権利が時効消滅してしまう場合と時効を止める方法についてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。

過払い金についてもう少し詳しく知りたい場合は「過払い金とは?過払い金にまつわる問題についてイチから教えます!」で詳しく解説しています。

※この記事は2017年3月29日に加筆・修正しました

1.いつまでに過払い金返還請求しなければならない?過払い金の時効について

過払い金が発生していても、請求しないでいるとその過払い金は時効によって消滅することになります。
では、過払い金が時効消滅する期間はどのくらいでしょうか。

過払い金の時効は「10年」です。
10年を過ぎてしまうと時効により消滅してしまいます。

「10年」で消滅となっていますが、いつからカウントされるのかは「取引態様」によって違います。

2.過払い金の消滅時効はいつからカウントされる?

過払い金の消滅時効がいつからカウントされるかは、下記の2つの場合によって異なります。

(1)取引が分断していない場合

取引が分断していない場合、すなわち最初に借り入れをしてから途中で一度も完済することなく継続して返し続けてきた場合には、最後に返した日から10年間は過払い金を請求することができます。

例えば、平成18年12月31日が最終返済日であれば、平成28年12月31日までは過払い金の請求が可能です。

(2)取引が分断している場合

①具体例及び2つの考え方

例えば、平成10年1月1日に借り入れをし、平成16年12月31日完済した(取引①)後、再度、平成18年1月1日に借り入れをし、平成26年12月31日に完済した(取引②)とします。

この場合、消滅時効がいつからカウントされるかは、以下の2通りが考えられます。
すなわち、

  • 取引①と取引②を一連一体の取引と考える
  • 取引①と取引②を個別の取引と考える

一連一体の取引と考えれば、取引②の完済日である平成26年12月31日からカウントして10年、すなわち平成36年12月31日に時効が完成することになります。

他方、個別の取引と考えれば、取引①は平成16年12月31日から10年、すなわち平成26年12月31日に時効が完成することになります。

他方、取引②は平成26年12月31日から10年、すなわち平成36年12月31日に時効が完成することになります。

上記の結果だと、取引①で発生した過払い金は時効により消滅してしまうで請求ができなくなります。

②2つの考え方のどちらが妥当?

請求する側としては一連一体の取引とする考え方をとった方が回収できる金額が多くなりますが、上記2つの考え方のうち、裁判所はいずれの考え方をとっているのでしょうか。

上記の点に関して裁判所は、

  • 各取引の内容、条件、経緯
  • 前後の取引の間隔の長さ

などを考慮しているので、場合により判断が異なります。

3.過払い金の消滅時効を止める方法は?

以上の説明を踏まえ、もう少しで過払い金の時効が消滅しそうだといった場合に、どうすれば良いのでしょうか。
過払い金請求の時効を止める方法は以下の3つが考えられます。

(1)訴訟提起

まず、時効が完成する前に過払い金返還訴訟をすれば、提起した時点で時効は止まります。

ただし、過払い金の額を把握していなかったり、把握していても訴訟提起までに時間がかかってしまう場合にはこの方法は妥当でなく、以下の2つのいずれかの方法をとるのが良いでしょう。

(2)催告と訴訟提起

時効が完成する前に「催告」をすると、時効の進行が止まることになります。
ただ、催告から半年以内に訴訟提起をしないと時効が止まる効果は認められません。

「催告」とは、債務の履行を求めることで、ここでは過払い金の返還請求をすることを意味します。

そして、この催告は、一般的には内容証明郵便(郵便局が通知した内容を証明してくれる郵便のこと)で行います。

ただし、この催告は、催告をしただけでは時効は止まらず、催告から半年以内に訴訟提起をして初めて時効が止まるので、この点には注意して頂きたいと思います。

(3)受任通知送付と催告

弁護士などに過払い金請求を依頼した場合、弁護士は賃金業者に対して受任通知を発送します。

この受任通知の多くには、その中で「本通知書は催告を兼ねる」などといった文言を記載して、受任通知が(2)で説明した催告を兼ねています。

そのため、弁護士に依頼した場合には、受任通知の送付により時効が止まります。
ただし、半年以内に訴訟提起をしないと時効停止の効果は認められないので注意が必要です。

また、弊社では債務整理や過払い金請求に強い弁護士をご紹介しておりますので、是非ご活用ください。

4.まとめ

過払い金請求の時効に関してご説明致しました。
今回の弊社記事を参考にして、早急に過払い金の請求をして頂ければ幸いです。

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