ストーカー被害に遭っている方が知っておきたいストーカー規制法に関する5つのこと

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近年、ストーカーによる犯罪が増えています。

これをお読みの方の中にも、実際にストーカー被害に遭われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は「ストーカー規制法」に関してご説明させていただきます。

この記事は201776日に加筆・修正しました。

1.こんな行為がストーカー規制法に違反する!

(1)ストーカー規制法とは?

ストーカーを規制する法律です。
いわゆる「桶川ストーカー殺人事件」をきっかけとして、平成12年に成立した、ストーカー行為等を処罰するなど必要な規制と被害者に対する援助等を定めたものです。

(2)規制の対象とは

ストーカー規制法の規制対象は、

  1. つきまとい等
  2. ストーカー行為

の二つになります。

次の項目でそれぞれ説明していきます。

2.「つきまとい等」とは?


つきまとい等とは、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で(要するに、恋愛感情等の好意を有していることが必要。ただ単に金を無心するためにつきまとう、といったような場合は規制対象外となる)その特定の者又はその家族などに対して行う以下の8つの行為です。

(1)つきまとい・待ち伏せ・押しかけ

つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校等の付近において見張りをし、又は住居等に押し掛けることです。

(2)監視していると告げる行為

その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くことです。
例えば、帰宅時に「お帰りなさい」と、電話やメール等で連絡することは、この場合に該当する。

(3)面会・交際の要求

面会、交際その他の義務のないことを行うことを要求することです。
例えば、元交際していた相手の拒否を無視して関係を戻すことを迫ることは、この場合に該当する。

(4)乱暴な言動

著しく粗野又は乱暴な言動をすることです。
例えば、「死ね」と酷い言葉を浴びせたり、家の前で車の警笛を鳴らしたりがこの場合に該当する。

(5)無言電話、連続した電話、ファクシミリ、電子メール

電話をかけて何も告げず、又は拒まれたにもかかわらず、連続して、電話をかけ、 ファクシミリ装置(FAX)を用いて送信し、若しくは電子メールを送信することです。

例えば、無言電話や相手の拒否を無視して連続の電話やファックス、電子メールを送ったりする場合に該当する。

なお、電子メールの送信は、平成25年の法改正で追加された規制対象です。
ただし、最近流行の「LINE」などのSNSでのメッセージ送信は、現在、規制対象とされていません。

そのため、SNS(TwitterやFacebookなど)で大量に連絡してきた、だけでは規制法の対象ではありません。

とはいえ、メッセージ中に「監視していると告げる行為」に該当すると思われる文言がある場合等、他の規制行為に該当する場合もあるので、SNSストーカーについても早い段階で警察や弁護士に相談するとよいでしょう。

(6)汚物などを送る行為

汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くことです。
例えば、排泄物など、人に嫌悪感を与えるものを自宅等に送り付けることが、この場合に該当します。

(7)名誉を傷つける

その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くことです。
例えば、その人を誹謗中傷するような内容の手紙を送りつけることが、この場合に該当します。

(8)性的しゅう恥心の侵害

その性的羞恥心を害する事項を告げ若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的しゅう恥心を害する文書、図画その他の物を送付し若しくはその知り得る状態に置くことです。

例えば、ポルノ写真を送りつけたり、卑猥な言葉を浴びせかけることが、この場合に該当します。

3.ストーカー行為について


一人に対して、上記「つきまとい等」をいく度もすることが、「ストーカー行為」であるため規制されています。

上記「つきまとい等」の(1)~(3)までの行為は、身体の安全、住居等の平穏若しくは名誉が害され、又は行動の自由が著しく害される不安を覚えさせるような方法により行われた場合に限られています。

4.被害者が警察に対処を求める方法は?


早い段階で警察署に相談するのが肝要です。

かつて警察は、「民事不介入」の原則から、男女間のトラブルについて、あまり積極的に関与していなかったが、桶川ストーカー事件等を契機に、ストーカー事案について、真摯に取り組んでくれるようになっています。

とはいえ、単なる痴情のもつれなのか、法で規制すべきストーカー事案なのか、そのボーダーは曖昧です。

そのため、より真剣に取り組んでもらうために、ストーカーからのメールを保存したり、つきまといの状況を細かにメモしておくなどして相談時の資料を調えておくといいでしょう。

また、ストーカー事案に対しては、警察以外にも裁判所の手続で「面談強要禁止の仮処分」(面会強要をしないように命じる民事保全法上の手続)をしてもらうという手もあります。

このような裁判所の手続が行われている場合には、警察もより真剣に取り組んでくれるはずです。
裁判所の手続については、弁護士に相談するとよいでしょう。

5.ストーカー規制法に違反による処罰とは

(1)禁止命令違反による処罰

被害者から警告の申出がされた場合で、「つきまとい等」がされていて、更にいく度と「つきまとい等」されることが認められれば、まず、警察署長等の名前により、「その行為はやめなさい」という警告がされ、その警告を無視してまた「つきまとい等」をした時は、公安委員会から「その行為はやめなさい」と禁止命令を出します。

公安委員会を無視して「ストーカー行為」をした時は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科されることになります。

(2)刑事告訴した場合の処罰とは

ストーカー行為の被害時に、警告の申出以外に、直ちに相手を告訴して処罰を求めることが可能です。

この場合、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されることになります。
なお、告訴は一度取下げると同じ内容で再び告訴出来ないので注意が必要です。

まとめ

ストーカー被害は早めの相談が大切です。
今回の内容が1人でも多くの方がストーカー被害を回避してもらうことに繋がれば幸いです。

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