夫が既婚者の女性と不倫(W不倫・ダブル不倫)していた場合に慰謝料を請求する方法

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夫が不倫をしているのを知って相手の女性に慰謝料を請求しようと思ったら、実はその女性も既婚者であったということも近年では少なくありません。

この場合でも、不倫相手の女性に慰謝料を請求したいと考える方もいらっしゃる事でしょう。

しかし、W不倫と一般的な不倫は賠償請求方法が違う場合があります。

そこで今回は、W不倫の場合に焦点を当てて慰謝料請求する方法についてご説明していきます。

ご参考にしていただければ幸いです。

※この記事は2017年4月24日に加筆・修正しました。

1.W不倫(ダブル不倫)とは?

W不倫(ダブル不倫)とは、お互いに配偶者がいる状況で不倫をしたことです。

2.W不倫(ダブル不倫)の場合に慰謝料を請求する際の注意点及び上手に慰謝料請求する方法

(1)注意点

W不倫の場合に慰謝料を請求する際には、場合によっては双方が痛み分けの関係になることが考えられます。

両者の賠償額が同じ場合は、両者夫婦間での交換しただけということになり両者プラスマイナスゼロの扱いになる場合があります。

つまり、例として夫が配偶者がいる女性と不倫をした場合、不倫をした夫の妻から不倫相手の女性に対して金銭を請求することができます。

不倫をした夫も同じく金銭を支払う必要があります。

妻個人でみると慰謝料を獲得できますが、夫婦としてみた場合にお互いプラスもマイナスもない状態になる可能性があります。

以下の5つの項目を全て当てはまる場合、金銭を請求したとしても金銭的なメリットがありません。

そのため、慰謝料請求する目的が金銭の獲得にあるような場合には、慰謝料請求は行わない方が良いでしょう。

  • お互いの夫婦双方が離婚をしない
  • W不倫の当事者以外の者が不倫関係の事実を知っている
  • 慰謝料請求しようとしている配偶者より不倫相手の方に重大な帰責性がない
  • 慰謝料請求しようとしている夫婦の方が不倫相手の夫婦より婚姻期間が圧倒的に長いという事情がない
  • 不倫相手夫婦の婚姻関係が不倫の時点で既に破綻したという事情がない

これに対して、例えば一方が自らの立場を利用して他方に執拗に関係を迫ったという事情がある場合には、一方が請求できる慰謝料の額が他方が請求できる慰謝料の額よりも高額になることはあります。

このようにW不倫の場合には、一般的な不倫(未婚者)に対して行う慰謝料請求の場合よりも話が複雑になってくることから、状況を慎重に見極めながら行っていくことが必要です。

(2)上手に慰謝料請求する方法

では、W不倫の場合に慰謝料請求しようとした場合に、(1)で述べた注意点を回避しつつ、上手く慰謝料請求できる方法はないでしょうか。

W不倫の場合に慰謝料請求しようとした場合に慰謝料請求しない方が良い場合が出てくるのは、(1)で述べたように、不倫相手に慰謝料請求をして慰謝料を得られたとしても、不倫をした相手方の配偶者から金銭を請求されるからです。

ですので、一般的な不倫に対してW不倫は両者の配偶者の二人が精神的苦痛を被っていることが最大の特徴です。

3.W不倫(ダブル不倫)の場合の慰謝料の相場とは


基本的に、慰謝料の金額は決まっているわけではないですが、おおよその相場としては200万円ほどです。

実際の金額は「4.W不倫の慰謝料の計算方法は?」に挙げたものを含めて様々な事情により決まりますが、多くの場合は100万円~500万円程度です。

  • 「相手の収入」
  • 「結婚期間」
  • 「不倫の内容の悪質性等」

4.W不倫(ダブル不倫)の慰謝料の計算方法は?


前述の通り、慰謝料は決まっているわけではなく、その計算方法を明示するのは困難です。

しかし、下記のような事情がある場合には、慰謝料の金額が高くなる傾向があるのでご参考にしてみてください。

  • 不倫関係が長期間の場合(基本的に、3年間を超えている場合)
  • 不倫が原因で夫婦が別居に至った場合
  • 不倫相手と同棲しているような場合
  • 不倫相手が妊娠・出産したような場合
  • 不倫を知ったことによってうつ病などになった場合

5.慰謝料請求する際に集めておきたい証拠


慰謝料請求したとしても、相手が支払いを拒否する可能性があります。

そのような場合に支払ってもらうには、証拠が必要となります。
具体的には以下の通りです。

(1)相手と肉体関係を持ったことを示す証拠

まずは、肉体関係を持ったことを証明する証拠が必要となります。

基本的に、行為自体は隔離された空間で行われます。
ですので、こっそり盗撮をしない限りは証拠として手に入れることは非常に難しいです。

この場合は、遠まわしの方法で「肉体関係の証拠」を手に入れる必要があります。
例として、下記のような証拠が必要です。

  • 夫と不倫相手がラブホテルに出入りしている写真や動画です(なお、ビジネスホテルの場合だと、仕事で使用したなどと言われてしまうことがあります)。
  • 特別な理由が存在しないにもかかわらず、夫と不倫相手が二人きりで旅行に行き同室で就寝した証拠(宿泊場所の領収書など)
  • 不倫相手との文章や画像をやり取りしている画面の画像(メールやLINE)
  • 不倫相手が不倫の事実を認めたことを書面化したものです

(2)相手方にて夫(もしくは妻)が既婚者であることを知っていたことを示す証拠

次に、既婚者だと知っていたことの証拠が必要です。
下記の証拠が必要です。

  • 夫婦の結婚式に不倫相手も出席していた事実
  • 夫と不倫相手が勤務先の上司と部下の関係にあること(通常、同じ会社で働いていれば既婚者と知らなかったはずがない)
  • 不倫相手とのメールやLINEのやり取りの中で「奥さんにばれたら大変なことになるね」などと表示されている画面の画像

6.自ら慰謝料請求する方法


弁護士に依頼しなくても自分で慰謝料請求することが可能です。

(1)慰謝料請求の具体的方法

基本的な方法として内容証明を送る請求方法があります。

他にも、メールでも請求ができます。
メールで請求する場合はやり取りをキャプチャー画像にしておくと証拠として紛争の際に役立ちます。

(2)内容証明郵便に記載すべき事柄

法的には内容証明郵便は普通の書面での請求と同じです。
ただ、郵便局が書面の内容を証明してくれるので、証拠として使えます。

さらに、相手に対して精神的に圧力を与えることができます。
内容証明郵便は、縦と横の文字数などが決まっています。

1枚520字以内です。

そして、上記字数制限の範囲内で下記を記載します。

  • 不倫の事実
  • 不倫慰謝料を請求する旨
  • 請求金額等の内容

内容証明は証拠としても用いられるので、不利な内容を書いてしまうと逆に不利な立場になってしまうことがあります。

ですので、弁護士に文章の内容や送付を代行してもらうことをお勧めします。

7.弁護士に依頼するメリットとデメリット

(1)メリット

「2.W不倫の場合に慰謝料を請求する際の注意点」でも述べたように、一般的な不倫とは違いW不倫は慰謝料請求の方法が異なります。

ですので、専門家の弁護士を雇った方が相手との交渉が行いやすいです。

(2)デメリット

デメリットとして、弁護士に依頼する時には費用が必要になります。
相場は下記の通りです。

①相談料

弁護士と契約する前に、必要になる相談費用です。

弁護士に現状を説明して、この先の手続きでどうすれば自分に有利な結果を獲得できるかを相談したりする際に必要な金銭です。

基本的な費用は30分5000円です。
ですが、近頃は「1時間まで相談無料」のところも増えてきました。

もし、費用を少しでも抑えたいという方は無料相談をしている事務所を探すのが良いでしょう。

②着手金

弁護士に依頼をした際に必要になる金銭です。
請求金額の5%程度が相場です。

③成功報酬

実際に慰謝料を獲得できた場合にかかる成功報酬のことです。

基本的に、成功した時に獲得した金額の約20%です。
ただし、安価な所であれば約10%の事務所もあります。

まとめ

今回は、W不倫に関しての慰謝料請求についてご説明致しました。
ご参考にしていただければ幸いです。

また、弊社では離婚問題に強い弁護士をご紹介しておりますので、是非ご活用ください。

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