マーケティング・フレームワークを実践する上で、まずやっておきたいのが戦況分析です。

なぜ、戦況分析が必要なのでしょうか。また、戦況分析はどのような視点で行えばよいのでしょうか。

ここでは、戦況分析の考え方として、最も一般的な5C分析について解説します。

1.5C分析とは

マーケティングを成功させるためには、戦況分析を行って市場構造をよく理解し、市場を味方につけることが大事です。

5C分析は代表的な戦況分析の一つであり、自社をとりまく市場構造などの現状を把握し、戦略を明確にするために着目するべき5つの要素を示したものです。

5つの要素とは、

  • Company(自社の理解)
  • Consumer(消費者の理解)
  • Competitor(競合他社の理解)
  • Customer(流通など中間顧客の理解)
  • Community(ビジネスをとりまく地域社会の理解)

です。このうち最初の3つがよく知られている3C分析の要素になっています。

3つの要素に基づく3C分析はよく知られていますが、5C分析はこれに2つの要素を付け加えたものです。最近では、5C分析が主流になりつつあるようです。

2.5C分析はなぜ重要なのか

5C分析や3C分析は、戦況分析の代表的な視点ですが、なぜ戦況分析は必要なのでしょうか。

戦況分析をしっかりと行えば、少ない資源や労力、損失で最大の効果をあげることが可能になるためです。

戦況分析が重要であるということは、世界最古の兵法書である孫子の兵法にも書かれています。2500年前に書かれたにもかかわらず、現在でも経営戦略として用いられることもある、非常に著名なものです。

しかし兵法では「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」と述べており、情報を活用し敵味方の実情分析を行うことによって、戦わずして、もしくは損失を最小限にして最大の効果(勝つ)をあげることを最重視しています。

有名な歴史上の戦いにおいてもこれに従った例は多く、戦況分析をいかにしっかりと行うことが成功か失敗かを分ける鍵になる、ということは昔の戦においても現在のビジネスにおいても、古今東西変わらないのです。

マーケティングにおいても、市場構造に逆らった無理な戦略はうまくいかないことが多く、また経営資源やエネルギーも余計に使うことになりがちです。

市場構造を味方につけられれば、効率的かつ成功する可能性が高い戦略を立てることが出来るのです。良いマーケティング戦略が作れるかどうかは戦況分析のやり方にかかっており、戦況分析の代表的な視点である5C分析は、必ず行っておきたい過程です。

3.5C分析の5要素

それでは、5C分析の5つの要素について、解説していきましょう。

(1)Company(自社の理解)

まずは、自社についての現状をしっかりと理解することが大事です。以下の3つの視点から分析してみましょう。

①自社の全体戦略を理解すること

会社が目指す方向性や会社のイメージ、会社の文化などを理解しておきましょう。会社の流れと異なる戦略は、それだけが異質なものとなってしまい、社内外の理解が得にくく、混乱を招きやすくなります。

余計な軋轢を避けるためにも、なるべく会社方針に沿った戦略を目指すようにしましょう。

②自社が使える経営資源を把握すること

戦略は立てられても、実現可能性が低ければ意味がありません。どんな会社でも使える経営資源には限りがあります。実現可能性の高い戦略を立てるためには、自社で使えるものがどれぐらいあるのか把握することが大事です。

使用可能な人員や人材、予算、設備、データなどその項目は実に多岐にわたります。マーケティング戦略を構築する上で、経営資源の把握にはかなりの時間を費やします。

③自社の能力や性格としての特徴(強み・弱み)を把握すること

過去の経験の蓄積などによって、どのようなスキルを持っているか、また経験の過程で浮かび上がってきた自社の強みや弱みなどを把握します。得意分野と苦手分野を知っておくことで、無理せず自社に合った戦略を立てることが出来ます。

このように、まず自社について理解することは、マーケティング戦略の成功に向けた重要な第一歩です。自社のことは知っていると思っていても、客観的な視点で改めて分析してみると、知らなかったことや認識していなかったこともたくさんあるはずです。己を知るところから始めましょう。

(2)Consumer(消費者の理解)

優れたマーケターかそうでないかを分けるのは、いかに消費者を理解しているかによると言ってもよいでしょう。マーケティングで最も重要なのは消費者理解です。消費者理解には、量的理解と質的理解の2つがあります。

量的理解とは、数値データを用いて広く全体像を理解することであり、年齢や性別、家族構成などの属性といった人口統計データや世帯浸透率、認知率などが挙げられます。

一方、質的理解とは、質的調査などを通して消費者の深層心理に迫ることです。

消費者ニーズを理解するだけでなく、どのような価値観を持っているのか、どのような悩みを抱えているのかなど、人として総合的に理解することが出来れば理想的です。消費者自身が認識していない隠された真実(消費者インサイト)をつき、消費者に訴えかけて心を大きく動かすことが消費者理解のできる優れたマーケターなのです。

(3)Competitor(競合他社の理解)

競合他社の理解は、イメージがつきやすいかもしれませんが、ここで言う競合他社は単に同業者のことを指すだけではありません。

もっと広い意味での競合を理解しておく必要があります。例えば、ファミレスを例に考えてみましょう。ライバルである同業者のファミレスだけでなく、ファーストフード店や外食のチェーン店、テイクアウト専門の弁当屋やコンビニ、スーパー、喫茶店なども広い意味での競合です。

消費者にどういう価値を提供しているのかを理解していれば、何が競合になるのかはおのずとわかってくるはずです。広義での競合を理解し分析するようにしましょう。

(4)Customer(流通など中間顧客の理解)

流通などにおける自社と消費者の間に入る存在のことを指します。考え方によっては、Collaborators(協力者)とするものもあるようですが、ここでは協力して市場価値を作り上げているパートナー(味方)でもあり、市場価値のパイを奪い合うライバル(競合)であるという両面が考えられることから、Customerという言い方をしています。

この分析は、Company(自社の理解)とほぼ同じであり、全体戦略や強み・弱みなどを理解しておくことがポイントです。ただし、目指す方向性や文化、イメージなどは自社とは異なっているであろうことは想定しておく必要があります。また、一社一社だけでなく、業界の特徴や暗黙のルールなども把握しておくようにしましょう。

(5)Community(ビジネスを取り巻く地域社会の理解)

社会がビジネスに与える様々な外部要因の分析も欠かせません。これも考え方によってContext(背景)とするものもあるようですが、本質的な意味にそれほど大きな違いはないでしょう。

外部要因はたくさんありますが、主なものとしては法規制や世論、税率や景気、為替レートなどが考えられます。どれも自社のビジネスに大きな影響を与えるものですが、ほとんどの外部要因は自社ではコントロールすることは出来ません。

そこで、大きな影響を与える要素を洗い出し、その動向や変化の兆候を見逃さないようきちんとモニターしておくことや変化が起きた場合を想定して自社がするべきことに対して予め準備しておくことが重要になります。

4.5C分析の具体例

では、実際に身近な企業を例にして5C分析をやってみましょう。

下の表は、ハンバーガーで有名なモスフードサービスについて、5C分析を行ったものです。

実際に社内の方が分析した場合はもっと精緻なものになると思いますが、分析の視点として参考にしてみてください。

5.5C分析のテンプレートのダウンロード

上記のテンプレートをご用意しました。5C分析を行う際にご利用ください。

5C分析テンプレートの雛形はこちらからどうぞ。

猿_5C分析テンプレート

まとめ

マーケティングフレームワークの中でも、まず行うべきなのが戦況分析ですが、その代表的な分析方法である5C分析は視点が整理されており、アプローチとしてはわかりやすいのではないでしょうか。

それぞれの5つの視点の目的や背景をしっかりと理解して市場構造に関する十分な分析を行い、市場構造を味方につけて、より成功に近づくマーケティング戦略の立案に結びつけてください。