
株式会社猿 代表の山本です。
まず最初にお伝えしておきます。
マーケティングの力で会社を大きくしたいなら、
今すぐマーケティング(ただのリサーチやプロモーション)はやめて下さい!
なぜなら、プロモーションだけでは継続的かつ安定した効果は出ないからです。
マーケティングの真価をお求めならリサーチやプロモーションをする前に、マーケティングシステムの構築をして下さい。
なぜこのような話をするかと言うと・・・
そもそも弊社はいわゆる広告代理店でクライアント様のマーケティングのサポートをしているのですが、
いわゆる、
狭義のマーケティング=単なる集客
ではなく、
広義のマーケティング=商品・サービスが売れるシステムを作ること
をサービスとしています。
そのサービスを提供していてつくづく感じるのは、
プロモーションだけでは売上・利益は最大化されない
ということ。
全ての企業が、マーケティングというものを再定義し、広義のマーケティングを行わなければなりません。
しかし、マーケティング・システムが構築できない企業が多いのが現実。
そこで、少しでも多くの企業が適切なマーケティングを実施して売上・利益を最大化してもらえるようにと思いこのブログを書きました。
(そしてあわよくばうちに依頼して欲しいと思ってます笑)
弊社がサービスとして提供するのは、社外の第三者として改善に取り組みマーケティングシステムを構築するものです。
本文でも紹介しますが、実際に私のクライアントさんでマーケティングシステムを構築したことで、年間12億円以上売上アップに繋がった会社さんもあります(詳しくは「8、弊社がマーケティングの組織を構築して年間12億円以上売上アップさせた事例」の項目をご参照ください)。
また、
今回の内容は社内のメンバーでもその通りに行動してもらえれば、あなたの会社のマーケティング事業部を成長させられる内容
だと自負しています(ひいては会社を大きく成長させる)。
マーケティングの仕組みを見直して売上・利益を最大化させたい!
とお考えの方は是非最後までお読みください。
本ブログは主に以下の方に参考になれば、と思って書いています。
- 全マーケター
- 中小企業の経営者
- 営業組織のマネージャー
- 広告代理店
など、マーケティングシステムを構築できる立場にある方々
なお、今回はマーケティングに関するツール(BI、Chatbot、MA、DMP、Web接客ツールなど)には敢えてあまり触れてません。
それはこれらのツールはもちろん有効であるものの、その前に、
マーケティングにおいて大事なのは人!人!人!
人を中心とした組織がきちんと構築できているか?
が何より重要だと考えるからです。
もちろんMAやBIは便利ですが(うちも使ってます)、その前提としてはどのような組織で活用されるかです。
ですので人の話に集中させていただきました。
ざっくり自己紹介させていただくと、以下の具志堅用高像と2ショットで写っているのが私です。
マーケティングシステム構築サポートや、記事LP制作運用代行を主たる事業とする当社を含めて、3つの会社を経営しています。社員は全部で30名ほどで、よくある「30人の壁」で苦労しています・・・
詳しくは私のプロフィールとして以下の記事を参考にしてみてください。
では、気を取り直して本文へ!
目次
- 1、本ブログの構成
- 2、なぜ今回のブログを書いたのか?
- 3、なぜマーケティングシステムの構築が大事なのか?
- 4、そもそもマーケティングとは?
- 5、真のマーケティングは小手先の手法をいくら磨いても継続的な成果は出ない!
- 6、よくある組織のトラブルと誤った対策
- 7、放っておくと組織がトラブルだらけになる理由
- 8、弊社がマーケティングの組織を構築して年間12億円以上売上アップさせた事例
- 9、マーケティングシステム構築で売上・利益をアップさせる全体像
- 10、目的・目標値設定(もともとあることも)
- 11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析)
- 12、ブランド認知から受注、リピートまでのプロセスの全体像を明確化する
- 13、目的・目標値の見直し
- 14、再設定した目的・目標値をプロセスごとに分解してKPIを設定する
- 15、関わっている全メンバーにプロセスごとのKPIを共有する(これで改善されるケース多)
- 16、原因分析
- 17、改善策立案
- 18、決裁権者を含めてキーマン(=管理者)を見極める
- 19、組織と役職を再構築する。各役職の権限と責任を明確化する
- 20、マネージメントメンバーを育てる
- 21、メンバー間の縦の繋がり、横の繋がりを円滑にする
- 22、プロセスごとの業務の平準化を行う
- 23、マーケティングノウハウを共有・注入する
- 24、できる限り各プロセスのKPIと連動する評価制度を作る
- 25、自主的にボトルネックを発見して解消するチームを作る
- 26、改善のプロセスを回す
- 27、個人が組織でその能力を最大化させる方法
- 28、上司や同僚への報連相を徹底する
- 29、社内政治力を磨く
- 29−4、伝え方を考える
- 30、会議力を磨く
- 最後に
1、本ブログの構成
まず最初にお伝えします!
マーケティング組織の構築はマーケターだけが頑張ってもうまくいきません。
もちろん経営層だけが頑張っても同じです。
全社員が社内のコミュニケーションをスムーズにするためのスキルを身に付けておくこともマストです。
ですので、本書の構成は以下の通りになっております。
- 経営層とマーケター向けの内容→項目3〜26
- 主にマーケター向けの内容→項目27〜30
2、なぜ今回のブログを書いたのか?
ぶっちゃけます。
以下の7つです。
2−1、読み手にワクワクしてもらうため
今回色々リサーチしましたが、マーケティングの組織論に書かれた本はあまりありません。
例えば元USJで現株式会社刀 代表取締役CEOの森岡 毅さん(個人的にも大好きです)の「マーケティングとは『組織革命』である。(日経BP)」などがありますが、決して多いわけではありません。
(もしあったら是非教えてください!)
人は見たことがない価値に触れるとワクワクします(もちろん興味のある分野であることが大前提ですが)。
そして、株式会社猿のPURPOSE(企業としての存在意義)は「ワクワクを生み出すアイデアを駆使して日本をもっと輝かせる」です。
今回の記事を読んでいただくことで、主にマーケターさんにワクワクしてもらいたいのです。
そして先ほどの森岡さんも仰っていますが、日本企業のマーケティング力が高まれば日本はもっと元気になります。
弊社も、僕個人としても微力ながらその貢献がしたいのです!
2−2、全マーケターを応援したい!
僕は、全マーケターに今いる組織を大きく変えられる可能性があると思ってます。
マーケターの使命は自分一人が成果を上げることではありません。組織の力で会社をドライブさせることです。
でも、
「どうやってドライブさせたらいいか分からない・・・」
「どうやって組織を変えたらいいか分からない・・・」
そんな方も多いのではないでしょうか。
そうお思いの方の背中を押すお役に立てたらと思っております!
全マーケターさんにお読みいただきたいです!
2−3、マーケティングシステムの構築なら株式会社猿、さらにはマーケティングなら株式会社猿というブランディングをするため
次は、「マーケティングなら株式会社猿」というブランディングのためです。
ブランディングができると何が良いのでしょうか。
まずはコンペになっても選んでもらいやすくなります。
また、ブランディングできると利益率がアップします。
以下のような式をご存知でしょうか(※)。
・商品=製品+ブランド
・価格=原価+利益
つまり、ブランドが強くなれば利益も増える、すなわち利益率がアップするのです。
※マーケティングプロフェッショナルの視点(音部大輔/日経BP社)より
2−4、リクルーティングのため
ブランディングをして、「猿に入社すればマーケティングについて精通できる」と思ってもらい、優秀な人材をリクルーティングすることも目的の一つです。
2−5、案件獲得のため
これは当然ながら案件獲得です。
以下の記事LPのnoteでも案件が殺到したし、「会いたい」「一緒に仕事したい」と言ってくれる方がめちゃくちゃ増えました。
note×Twitter×記事LPでBtoBマーケはできる!2ヶ月で1000リードを単価153円で集めた全プロセスを大暴露
2−6、弊社内でのノウハウを整理するため
有効なノウハウでも社内で属人的に散らばっていることがあります。
今回の記事では、社内のノウハウを収集して整理して言語化しました。
ノウハウを整理したことで、新入社員の成長が早くなると確信しています。
2−7、ひいては他社の方にも協力してもらってマーケティングシステム構築のノウハウを言語化したい
今回、ブログを一生懸命書きましたが、内容としてはまだまだブラッシュアップの余地ありだと思ってます。
そしてブラッシュアップしていくためには、弊社の社内にあるノウハウだけでは不十分だと思ってます。
公開することで色々な方のご意見を伺い、さらにノウハウをブラッシュアップさせて多くの企業で活用してもらい、日本企業の発展に繋がればとも考えています。
3、なぜマーケティングシステムの構築が大事なのか?
まず、なぜマーケティングシステムの構築が大事なのでしょうか。
今さら「マーケティングシステムの構築が重要」と言われてもピンとこないかもしれませんが、以下のようなメリットがあります。
- 人のトラブルが減る
- 社員の業務効率が上がる
- マーケティングの精度が上がる
- 受注率が上がる
- 売上・利益が大きくアップする
そして図にすると以下のような好循環が回ります(名著「ビジョナリーカンパニー2」の弾み車の原理ですね)。
売上・利益が継続的に伸びれば、すなわち「マーケティング部署が自走すれば=マーケティング・システムが構築できれば」攻めた経営が可能になります。
経営者によっては「経営=マーケティング」とまで言う方もいるのです(ネスレ日本 代表取締役社長兼CEO 高岡 浩三氏など)。
とすれば、組織においてマーケティングの部署が中心でなければならないし、マーケティングの部署に営業や人事が組み込まれるか、別部署だとしても顕密に連携していなければならないのです。
会社の核にマーケティングシステムを構築することが
経営者の主たる目的であると私は考えています。
しかし、このようなマーケティングシステムを構築できている会社はあまりに少ない。
そこで猿としてはマーケティングシステムを創るサービスを提供しています。
ただ単に集客だけではなくシステム作りまでサポートするのは、猿は必ずクライアントの売上・利益に貢献したいと考えているからです。
そうすることでクライアントにわくわくを生み出し、ひいてはクライアントのお客さんわくわくさせ、日本の発展に貢献しています。
4、そもそもマーケティングとは?
マーケティングと聞いてどのような言葉を思い浮かべますか?
マーケティングとはデータ分析や集客・プロモーションのみを行うことだと思っている方が多いです。
それはあくまで狭義の定義だと考えてます。
私は、
「適切な商品・サービスと適切な顧客を結びつけること」
と考えます。
そうすると、マーケティング部などのマーケティング組織の業務は以下の通りです。
あなたの会社のマーケティングの部署はこれら全ての業務を行っていますか?
- 経営目標のうち、特に売上・利益に関する部分を目標として設定する(経営目標がまだなければ逆に提案することも)
- データ分析
- データを踏まえて商品・サービスを開発
- データを踏まえて商品・サービスが売れない原因を分析
- データを踏まえて改善策の立案
- 集客(プロモーション)
- 営業
- 上記のスキルを磨く
- スキルを体系化されたノウハウにする
- 体系化されたノウハウをメンバーに浸透させる
- メンバー間・部門間のコミュニケーションをスムーズにする
マーケティングシステムとは、適切な商品・サービスと適切な顧客を結びつけるシステムなのです。
つまり、マーケティング事業部は、適切な商品・サービスと適切な顧客を結びつけることを目的とした業務全般を行う組織でなければなりません。
もし、マーケティング事業部が商品・サービス開発部や営業部と分かれているのであれば、以下の図の通り同じ部署にまとめて顕密な連携が図れる状態にしなければなりません。
5、真のマーケティングは小手先の手法をいくら磨いても継続的な成果は出ない!
そして真のマーケティングは小手先の手法をいくら磨いても継続的な結果は出ません。
また、たとえ一人のマーケターが頑張ったとしても(そして仮に圧倒的に優秀だったとしても)、それだけでは継続的な売上の最大化は困難です。
先ほどもお伝えしたように、マーケティングとは「適切なモノ・サービスと適切な顧客を結びつけること」です。
業務も以下の通り多岐に渡ります。
- モノ・サービス開発のための顧客リサーチ
- リサーチ結果を踏まえてユーザーニーズに適した商品・サービスを開発する
- モノ・サービスの認知率を上げる
- モノ・サービスを購入してくれる可能性がある人を集める
- 見込み客をきちんと受注に結びつけるための営業マンの育成
- 受注率をアップさせること
以上のモノ・サービスと顧客が結びつくまでのプロセス全体を踏まえて、各プロセスに適切なKPIを設定して分析をしていきます。
そのため、ボトルネックは常に多岐に渡ります。
また、存在するボトルネックを漏れなく見つけて、優先順位をつけて解消していく必要があります。
さらに、経営者のビジョン、各企業の置かれた市場構造を踏まえて、最適なシステムを構築しなければなりません。
そのためには「人事のノウハウ」も必要となります。
以上のような仕組みがマーケティング・システムです。
企業の売上を継続的に最大化させるにはマーケティングシステムを構築する必要があるのです。
6、よくある組織のトラブルと誤った対策
よくあるトラブルは以下の通りです。
- とりあえず上司から「売上・利益を上げろ」と言われるだけで具体的な数値目標がない
- そのため具体的にやるべきことも不明確。ただ上司から抽象的に「結果を出せ」と言われる
- 目標達成できない理由ばかり主張する社員が多い
- 社員の上司に対する陰口が蔓延している
- 意思決定権者が不明確で、物事が一向に進まない
- 不合理でなぜあるのかよく分からない決まりがある
- クライアントではなく上司を満足させるために仕事をしている
- 部下が上司の指示に従わない
- 部下がいっこうに成長しない
- 雰囲気は良いが結果は出ない部署がある
- 自分の提案を上司が聞く耳を持ってくれない
- 自分の提案を会社が理解してくれない
- 組織に重大な問題が発生しても、重要な情報が上司に上がらない(社員が会社のことを考えず保身に走ってしまっている)
これらについて担当者に、
何で◯◯という状況になっているんだ!早く改善しろ!
と経営層が言うだけでは、一向に問題は解決しません。
7、放っておくと組織がトラブルだらけになる理由
以上のようにほおっておくと組織がトラブルだらけになる理由は詰まるところコミュニケーション不全です。
より具体的には、
- スムーズなコミュニケーションをするための組織ができていない
- 個々のメンバーが適切なコミュニケーションの方法を理解できてない
のいずれか。もしくは両方が原因です。
とすれば、
- スムーズなコミュニケーションのためのシステムが構築されている
- 個々のメンバーが適切な社内コミュニケーションの方法を熟知している
という条件を満たせば組織は適切にワークします。
さらに、
スムーズなコミュニケーションのためのシステムが構築されている
とは、以下の3つの条件を満たすことです。
- 全メンバーの役割(権限)と責任が決まっており、周知されている
- 必要な情報が全メンバーに周知されている
- 自らボトルネックを見つけ、解消する仕組みが備わっている
では具体的にどうすればいいのか?
本ブログで解説していきます。
8、弊社がマーケティングの組織を構築して年間12億円以上売上アップさせた事例
より詳しくは次の項目から紹介していきますが、以上の条件を満たすマーケティング組織を構築したことで、とある士業系の事務所(全国にスタッフ800名以上を抱える)の営業案件の受注率が、23%→30%となりました。
売上は、
売上=問合せ数×受注率×客単価
で表すことができます。
仮に問合せ数が変わらない前提でも(実際は増えてますが)、売上に換算すると、1億円以上のインパクトがありました(2019年3月の問い合わせ数に増加受任率7%を掛けて、さらに客単価を掛けると1億円以上です)。
つまり、年間12億円以上の売上アップのインパクトがあります。
(なお、現在はマーケティング事業部の組織改善に加えて、後続部隊の改善に取り組んでいます)
では具体的にどのように改善したか、次の項目から解説していきます。
9、マーケティングシステム構築で売上・利益をアップさせる全体像
組織構築で受注率を上げる全体像は以下の通りです。
- 10、目的・目標値設定(もともとあることも)
- 11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析)
- 12、ブランド認知から受注、リピートまでのプロセスの全体像を明確化する
- 13、目的・目標値の見直し
- 14、再設定した目的・目標値をプロセスごとに分解してKPIを設定する
- 15、関わっている全メンバーに数字を共有する(これで改善されるケース多)
- 16、原因分析
- 17、改善策立案
- 18、決裁権者を含めてキーマン(=管理者等)を見極める
- 19、組織と役職を再構築する。各役職の権限と責任を明確化する
- 20、マネージメントメンバーを育てる
- 21、メンバー間の横の繋がり、縦の繋がりをシームレスにする→メンテナンス
- 22、プロセスごとの業務の平準化を行う
- 23、マーケティングノウハウを共有・注入する
- 24、戦略的評価制度を作る
- 25、自主的にボトルネックを発見して解消する部署を作る
- 26、改善のプロセスを回す
大枠の流れとしては、
- 最終的な目的・目標値を決定(例えば月間売上10億円など)
- 数値分析
- プロセスを明確化
- プロセスごとにKPIを設定
- KPI未達の原因分析
- 改善施策
- KPIの達成と人事評価制度を結び付ける
- 実行
となります。
10、目的・目標値設定(もともとあることも)
目的と目標という言葉は同じような意味で使われることもありますが、ここでは別々の意味で使います。
目的とは進むべき方向性のことです。
例えば以下の通りです。
- 売上の最大化
- 利益の最大化
さらに目標値はより具体的に達成すべき数値のことです。
例えば、
- 月間売上10億円
- 月間利益1億円
- 受注率30%
などです。
そして、仮にデジタルマーケティングの施策で記事LPの施策で問い合わせを集めて受注し売上に繋げる場合、以下のあたりがKPI・目標値となります。
・CV(コンバージョン)数・・・リード獲得数や問い合わせ獲得数
・記事LP遷移率・・・LPのPV/記事LPのPV=記事LPからLPにどれだけ送客できたか
・LPのCVR・・・LPに訪問した方のうち、CV(問い合わせ等)のアクションを取る方の割合
・CPA(問い合わせ単価)・・・1件の問い合わせを獲得するためにかかった費用
・面談数
・面談率
・受注率
・受注数
・売上
・利益
また、展示会でリードを獲得したり、セミナー→商談という流れで受注に繋げる場合には以下のあたりです。
・展示会でのリード獲得数
・商談数
・セミナー参加数
・商談率(セミナーに参加した方のうち、商談に繋がる方の割合)
まず、目的と目標値を明確にします。
もっとも、多くの場合ここは会社単位、もしくはマーケティング事業部単位で定まっていることが多いです。
ただもしも、
- 目標値が高すぎる
- 目標値が低すぎる
- そもそも目的・目標値が定まっていない
という場合には、目的目標値の再設定(ないし設定)が必要となります。
なお、恒常的に達成できていない場合、①に当たる可能性があります。
逆に目標値を既に達成している場合、②に当たる可能性があります。
ケースバイケースで再設定していきます。
なお、具体的な再設定のプロセスは次の、
- 11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析)
- 12、目的・目標値の見直し
の項目でご説明しますが、目標値の落とし所としては、「達成できる目標」ではなく「経営者の達成したい目標」との兼ね合いで決めます。
また、目標すらない場合には、売上とコストを把握・分析して適切な数値を算出していきます。
(具体的なプロセスは「11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析)」にて)
一方、目的・目標値が(一見)適切に定まっている場合でも、
- 本当に適切なのか
- 市場環境を踏まえるとどのような戦略が適切なのか
を判断するため、「11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析)」はきちんと実施しましょう。
11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析)
次は現状分析を行います。
現状分析を行う目的としては、
- 適切な目的・目標値を設定するため
- 適切な業務プロセス分解をするため
- ボトルネックを発見するため
- 目的・目標値を高確率で達成する戦略を構築するため
です。
そして現状分析は、
- 組織の対内的なもの
- 組織の対外的なもの
に分かれます。
さらに組織の対内的なものについては、
- 過去のデータ分析(推移を見る)
- 直近・現在のデータ分析
以下、
- 11−1、組織の対内的な過去のデータ分析
- 11−2、直近・現在のデータ分析
- 11−3、対外的な分析(5C分析)
それぞれについて詳しく解説していきます。
11−1、組織の対内的な過去のデータ分析
対内的な現状分析としては、社内のデータです。
過去のマーケティングデータを収集し分析します。
具体的には以下の通りです。
- どんな媒体にどんな内容の広告を出したか
- 結果としてCPAはいくらだったか
- 問い合わせに対する受注率は何%だったか
- 受注率の媒体ごとの違いは?
- 営業マンごとの受注率の違いは?
などなどを細分化して分析します。
基本的には、細分化して分析していくことで原因が判明します。
もっとも、そもそも以上のようなデータがきちんと整理されているとベストですが、そうなっていない会社は多いです。そのような場合は可能な範囲で改めて収集し直す必要があります。
11−2、直近・現在のデータ分析
次に直近の現状分析をします。
その上で、リアルタイムでKPIを可視化できるグラフを作成します。
メンバーに数字を共有するのです。
悪い結果が出てからではなく、タイムリーに現状を現場が把握できるものを作るのです。
その目的は、現場に数字意識をもたせることです(これで数字が改善できるケースも多いです)。
さらに、業務の効率的な処理を目的とする場合には、以下を数値化して、
- タスクと作業量のバランス
- 1日/1時間あたりどれくらいの作業量をやるべきなのか
の認識をさせることで効率的な業務処理の意識が芽生えます。
なお、現状の数値共有について詳しくは、「15、関わっている全メンバーに数字を共有する(これで改善されるケース多)」をご参照下さい。
11−3、対外的な分析(5C分析)
次は対外的な分析を行います。
マーケティングを成功させるためには、戦況分析を行って市場構造をよく理解し、市場を味方につけることが大事です。
方法としては5C分析で行います。
5C分析は代表的な戦況分析の一つであり、自社をとりまく市場構造などの現状を把握し、戦略を明確にするために着目するべき5つの要素を示したものです。
5つの要素とは、
Company(自社の理解)
Consumer(消費者の理解)
Competitor(競合他社の理解)
Customer(流通など中間顧客の理解)
Community(ビジネスをとりまく地域社会の理解)
です。
例えば受注率を上げるためには、競合(Competitor)がどういった営業をしているのか調査することも重要です。
競合に覆面調査することで、競合が自社を悪く言った場合のカウンタートークを用意したり、競合のトークから学びを得たりしましょう。
なお、5C分析について詳しくは以下の記事をご参照ください。
戦況分析の基本、5C分析を徹底解説
ちなみに、以下で参考までに5C分析の具体例を紹介していきます。
では、実際に身近な企業を例にして5C分析をやってみましょう。
下の表は、ハンバーガーで有名なモスフードサービスについて、5C分析を行ったものです。
実際に社内の方が分析した場合はもっと精緻なものになると思いますが、分析の視点として参考にしてみてください。
5C分析のテンプレートのダウンロード
上記のテンプレートをご用意しました。5C分析を行う際にご利用ください。
5C分析テンプレートの雛形は以下のテキストをクリックして下さい。
猿_5C分析テンプレート
12、ブランド認知から受注、リピートまでのプロセスの全体像を明確化する
次は、消費者と接点を持ってから(認知)、受注(契約)までの流れを明確にします。
プロセスを分解することで正確な原因分析と改善案が明確になります。
前述の「11、現状分析(これまでのデータの分析と市場の分析))」の項目の時点でプロセスの全体像を明確にすべく意識しておくとよいでしょう。
なお、事例として以下にいくつかのパターンを紹介しておきます。
12−1、BtoBのSaaS型サービス
まず、BtoBのSaaS型サービスのプロセスの全体像です。
- ブランド認知
- リード獲得
- リードナーチャリング(インサイドセールスやメール施策など)
- 今すぐ客化
- アポ獲得
- 商談
- 受注
- リピート
12−2、士業などの来所型ビジネス
次に士業などの来所型ビジネスです。
- ブランド認知
- 無料相談問い合わせ
- コールセンター面談設定(アポ獲得)
- 士業面談
- 受注
12−3、会員型ビジネス
次に会員型ビジネスです。
例えばNetflixやHuluなどの動画配信サービスがこれに当たります。
食べログやクックパッドのように、月額300円支払うことでより有益なサービスを受けられるのも会員型ビジネスです。
- ブランド認知
- サイト遷移
- 無料会員登録
- 1回目の利用
- 2回目の利用
- 3回以上利用
- 有料化
- リピーター(優良顧客化)
12−4、ECサイト
次はECサイトです。
プロセス全体像において、オフライン施策の割合が少ないのがECサイトの特徴です。
- ブランド認知
- サイト回遊
- リード獲得
- リードナーチャリング
- カート
- 決済
- アップセル
- リピーター(優良顧客化)
なお、プロセス化したら以下のような図にすると効果的です。
なお、出典元の記事自体も素晴らしい記事でしたので、リードナーチャリングのプロセスを改善したい方は是非お読み下さい。
出典:月間受注の6割を生み出す【ABM×セミナー】によるナーチャリングフロー設計
13、目的・目標値の見直し
次に現状分析を踏まえて目的・目標値の再設定をしましょう。
目的・目標値の条件としては以下の通りです。
- 大前提として実現可能性があること・・・論理的に目標値を達成できる説明ができること(戦略を立てられること)
- でもワクワクするもの(野心的)であること・・・つまり手が届くギリギリを目指す
- 数字が明確に定まっていること・・・数字がきちんと定まっていない目標値は定めるべきではない
これらを踏まえて目的・目標値の再設定をしましょう。
なお、再設定には厳密には以下の3つのケースが考えられます。
- 13−1、目的・目標値自体の見直しが必要なケース
- 13−2、目的・目標値を追う戦略の見直しのケース
- 13−3、何らかの理由で課題な目標値の修正が難しいケース
以下、それぞれについて詳しく解説していきます。
13−1、目的・目標値自体の見直しが必要なケース
見直しが必要なケースとしてはまず、
客観的に明らかに達成不可能な場合
があります。
この場合、経営層に助言して目標値を下げる必要があります。「11、現状分析(過去のデータと市場の分析)」で得たデータを踏まえて合理的に、
- 現在の目標値の達成が難しいこと
- 仮に現在の目的・目標値の達成をする際に必要となるリソース(ヒト、モノ、カネ)
- 現リソースを前提とした際に妥当な目標値
を伝えて目標値の再設定を提案しましょう。
なお、再設定したとしても目標値が現場の従業員には高く見える可能性があります。
そのような際、スタッフは戦意喪失している可能性があるので、スタッフのケアが必要となります。
その際のポイントとしては以下の通りです。
- できるだけ現場の管理者(キーパーソン)に話を聞いてあげる
- 話を聞く。とにかく聞く(ひたすら聞く)
- 「仕事に関する悩み。どう改善したいか」を徹底して聞く
- 誰も悪者にしない。味方ですよ感を出す。
- 原因は「意思の疎通ができていないこと」として溝をうめる
- 上司にたよりすぎず、現場が主体的に考えて動けるようにすることがゴール
なお、大変なのは現場側が考えてPDCA回さなくてはいけない場合です。
いけてない、場当たり的な上司も多いです(これまでの私どものマーケティングシステム構築業務の経験上)。
そこで上手く回っていないケースが6割ほどです。このような場合、内部のメンバーだけで改善することが難しかったりします。既に関係性があるからです。
そのような場合、第三者が入るから良くなる場合もあります(ですので、弊社のサービス「マーケティングシステム構築」が好評いただいております)。
直接の関係だと、「言えない」「聞いてない」が生じますが、第三者的な立場だからこそ、スタッフの思っていることを引き出すことができるのです。
私どものサービス「マーケティング・システム構築サポート」も第三者として現場介入するからこそ重宝いただいてます。
現場に入って感じることは、「上司と部下に溝がある場合が多い」ということです。
そこがスムーズにやり取りできるようにすることがマーケティングシステム構築の一丁目一番地です。
私どもは双方の意見を聞いて正しい方向にうまく一致団結できるようにお手伝いしています。
13−2、目的・目標値を追う戦略の見直しが必要なケース
次に、
- 目的・目標値は適切だが当初の戦略を見直す必要がある
ケースです。
この場合は、より一層スタッフのケアが重要となります。
以降の項目の戦略を見直すと同時に、
- 社員教育
- 管理職育成
- 業務フロー改善
をして目的・目標値を達成します。
具体的には次の「15、関わっている全メンバーに数字を共有する(これで改善されるケース多)」以降の項目で紹介してきます。
13−3、何らかの理由で目標値の修正が難しいケース
最後は、何らかの理由で目標値の修正が難しいケースです。
主には経営者の意向が強い場合です。
当初の目標値達成が難しいことは重々伝えておきましょう。
その上で、「現状分析を踏まえて、現場で考える達成可能な目標値」を設定します。
現場間だけでも設定し直すのは、達成可能ではない目標値を目指しても意味がないからです。
スタッフのために現実的な目標値を掲げましょう(あくまで現場レベルのみで)。
そして、この場合は「13−1、目的・目標値自体の見直しが必要なケース」に比較してよりスタッフのケアが重要になります。
以下の流れを徹底しましょう。
- できるだけ現場の管理者(キーパーソン)に話を聞いてあげる
- 話を聞く。とにかく聞く(ひたすら聞く)
- 「仕事に関する悩み。どう改善したいか」を徹底して聞く
- 誰も悪者にしない。味方ですよ感を出す。
- 原因は「意思の疎通ができていないこと」として溝をうめる
- 上司にたよりすぎず、現場が主体的に考えて動けるようにすることがゴール
なお、このプロセスも内部のメンバーが行うより第三者が実施する方が効果が高いです。
14、再設定した目的・目標値をプロセスごとに分解してKPIを設定する
次は「12、ブランド認知から受注、リピートまでのプロセスの全体像を明確化する」で明確化したプロセスをベースに、「13、目的・目標値の見直し」で決めた数字を達成できるようなKPIをプロセスごとに設定しましょう。
14−1、プロセスとKPI設定事例
例えば、士業分野のビジネスで客単価100万円のもので売上1億円を狙うケースを想定しましょう。
マーケティング予算では2000万円まで使って良いとします。
まず、受注件数としては100件必要なことは明確です。
仮に現場の面談受注率が70%だとして、ここの目標値を80%にします。
その上で各プロセスのKPIを設定します。
例えば②無料相談問い合わせしてくれる方は1250件必要なので、サイト訪問者は41,667名必要で、CVRは3%が目標値です。
- ブランド認知→広告費2000万円/CPC480円→訪問者41,667人
- 無料相談問い合わせ→サイト訪問者41,667人×CVR3.3%→1375件
- コールセンター面談設定(アポ獲得)→1375件×コールセンタートーク率91%
- 士業面談→625件×面談受注率80%
- 受注→500件
表にすると以下の通りです。
もし、各プロセスのKPIの数字が過去の実績から無理筋なのであれば、再度「13、目的・目標値の見直し」の段階を経て数字を見直す必要があります。
14−2、そもそも①プロセスと②改善策と③改善アクションの関係は?
改善の目的は主に、プロセスから次のプロセスへの遷移率を上げることにあります。
遷移率を上げるための施策を改善策とします。
いくつか例を紹介していきましょう。
14−2−1、BtoBのプロセス事例
まず、先ほども紹介した以下のBtoBのプロセスを前提にします。
- ブランド認知
- リード獲得
- リードナーチャリング(インサイドセールスやメール施策など)
- 今すぐ客化
- アポ獲得
- 商談
- 受注
- リピート
例えばナーチャリングの部分では、④今すぐ客を増やすための改善策としては例えば、
- メルマガ施策(ステップメール施策)
- インサイドセールス
などの施策が考えられます。これらが改善策です。
さらに、メルマガ施策においては、
- ステップメールについて、A→B→Cに順番がいいのか、A→C→Bの順番がいいのかメルマガを試す
- メルマガのCTRをアップさせるためにフォームへのリンクを青字のアンダーラインのテキストにする(さらに緑のボタンパターンとA/Bテストする)
- 開封率を高めるためタイトルをA/Bテストする
などがあります。
これらが具体的な改善アクションです。
さらに、リード獲得のKPIの改善策として、サイト・LPのCVRを上げるというものがあります。
その際に、A/Bテストなども有効です。A/Bテストの方法としては、以下のようなツールがオススメです。
オプティマイズリー×ギャプライズ
14−2−2、士業が面談で受注する事例
次は士業が面談で案件を受注して売上に繋げる事例です。
- ブランド認知
- 無料相談問い合わせ
- コールセンター面談設定(アポ獲得)
- 士業面談
- 受注
このプロセスにおいて、④士業面談の受注率を改善するとします。現状分析の結果、士業A、B、Cがおり、それぞれ受注率が以下の通りだったとします(前提として営業受注率は個々のメンバーごとに測定しましょう)。
- 士業A:80%
- 士業B:60%
- 士業C:40%
この場合の改善策としては、まず士業Cの受注率を向上させるとなります。
そして具体的な改善アクションとしては以下の通りです。
- 指導する→意識を変える
- 士業Aのトーク内容をベースにマニュアルを作成し、士業Cに落とし込む
- それでも受注率が上がらなければ士業Cを受注対応メンバーから外す
などがあります。
プロセスと改善策と改善アクションの関係は以下の通りです。
14−3、大事なことは「目標値・KPIは必ず計測可能な状態にしておかなければならない」ということ
大事なこととしては、目標値・KPIは必ず計測可能な状態にしておかなければなりません。
先ほどの事例で言うならば、
- 営業受注率・・・全営業マンごとに数値計測
- メルマガ・・・開封率、クリック率、問い合わせ率を数値計測
などの数値が計測できる状態にしておかなければなりません。
「マーケティング予算を10%増やしたら会社の売上はいくらになるか?」
マーケターはこの問いに即答できなければならない。
— 山本尚宏@㍿猿 (@naohiroyamamoto) June 15, 2019
14−4、最終的には、「マーケティング予算をどのくらい増やし、どの改善策をするとどのくらい売上・利益が増えるか」経営層にすぐに説明できる状態でなければならない
KPIを設定すると共に、マーケティング予算をどのくらい増やしたらいくら売上・利益が増えるかを経営層に説明できる状態にしなければなりません。
15、関わっている全メンバーにプロセスごとのKPIを共有する(これで改善されるケース多)
次は、
- 「14、再設定した目的・目標値をプロセスごとに落とし込む」
でまとめた内容を現場のメンバーに周知します。
15−1、数値共有だけで目的・目標値が達成されるケースも多い
これまでの経験上ですが、数値が共有されるだけで解決されるケースも多いです。
(適切なKPIの周知徹底が不十分な場合)
なぜなら、目標が明示されることで業務を行うようになるので、自然と改善の意識が働くからです。
なお、また「24、できる限り各プロセスのKPIと連動する評価制度を作る」でも説明しますが、KPIと評価制度を連動させられるとより良いでしょう。
なお、目的・目標値が達成されない原因が共有の不徹底である場合、
- 現場が数値把握していない
↓ - 意識が低い
↓ - 達成意識が低い
というのが現場の心理です。
それを見える化して、意識をさせることが意識改革の一丁目一番地です。
15−2、併行して現場スタッフのさらなる意識改革
併行して、
- 上司と部下の意思疎通ができておらず数字が共有できていないケースが多いので、第三者として間に入ってコニュニケーションを円滑にする(円滑にする第三者はもちろん同じ会社の者でもよいが、第三者の方がやりやすかったりします)
- マニュアル作成し社員教育
- 管理職育成→マネージメントとは何たるかを教える
- コミュニケーションを通じて目的・目標値をより意識させる
ということを通じて意識改革していきます。
15−3、数値共有の方法
数値共有の方法としては様々なものが考えられますが、よく使われるのはGoogleが提供するDataStudioやSpreadSheetです。
- そのURLを全メンバーに共有できるようにしたり、
- 社内に大きなモニターを用意してその画面でデータを周知する
のもよいでしょう。
最近ではtableauのようなBIツールも増えているので導入するのもありでしょう。
16、原因分析
次に①現状と目標値の乖離や②分解したプロセスを踏まえて原因分析します。
最初に結論からお伝えしますと、組織の問題は詰まるところ十中八九ヒトの問題です。
もっとも、ヒトの問題はより細かく分類すると、
- 16−1、構造の問題
- 16−2、表面的化までしているヒトの問題
に分かれます。
以下ではそれぞれの問題について、原因を記載していきます。
16−1、構造の問題
構造の問題はやり方の問題なので、比較的改善しやすいです。
よくある原因としては例えば以下の通りです。
- 業務フローの見直しによって数値改善できないか
- 工数削減できないか(利益目標に対してコストを下げれないか)→コスト削減×売上げアップによって利益最大化=業務最適化
16−2、表面化までしているヒトの問題
次は、表面化までしているヒトの問題です。
- 縦の繋がりの意思疎通がスムーズにできているか→指揮命令系統ができているか
- 横の繋がりの意思疎通がスムーズにできているか
- マネージメントメンバーの資質は十分か
- 上司からの指揮伝達の内容は適切か→部下が行動に移せるか
- 上司と部下がそれぞれ目指す目標に齟齬はないか?
- 上司と部下の間で事実認識の齟齬はないか?
16−3、原因は複数あることが多い!その際は優先順位を付けて対処する
組織の問題点は基本的に複数あります。
その際は「選択と集中」で優先順位を付けて改善していきましょう。
優先順位の付け方は次の「17、改善策立案」の項目をご参照下さい。
17、改善策立案
次は改善策を立案します。
「16、原因分析」を前提に、各プロセスの遷移率をアップできないかを考えます。
目的はもちろん各プロセスのKPIの改善です。より具体的には、先ほど紹介した以下の表における「次のプロセスへの遷移率」の値を各プロセス間ごとにアップさせていきます。
つまり、
- 改善策
- 改善アクション
を考えていくことになるのです。
考えるにあたっての着眼点としては以下の通りです。
- 細かい業務フローを変更できないか
- 新たな施策を導入できないか
- 人員配置
- 管理者育成
- スタッフ教育
詳しくは以下の項目でお伝えしていきます。
- 17−1、改善策のアイデアの出し方
- 17−2、改善策・改善アクションの優先順位の付け方
- 17−3、
- 17−4、「改善案・改善アクションを実施するといくら費用がかかり、どのくらい売上・利益が増えるか」経営層にすぐに説明できる状態にすべき
- 17−5、改善事例
まず前提として、先ほどもお話したように、①プロセス、②改善策、③改善アクションの関係は以下の通りです。
こちらを前提に以下の話を進めていきます。
17−1、改善策・改善アクションのアイデアの出し方
- 改善策
- 改善アクション
のアイデアの出し方は以下の通りです。
・そのプロセスの改善に関わる現場の社員も集めて関係者を集めて会議する
・全メンバーに一つ以上は改善策・改善アクションのアイデアを出してもらうようにする
・他のメンバーのアイデアを否定しない
17−2、出たアイデアの中で取り組むべき改善策・改善アクションの優先順位の付け方
先ほどのプロセスで様々なアイデアが出たことでしょう。
全てを同時に進められたら良いですが。ヒト・モノ・カネが限られているのが経営の常ですから、全て同時に進められないことも多いでしょう。
その際には施策を選択と集中して資産(ヒト・モノ・カネ)を集中させましょう。
考え方としては以下の通りです。
- 改善効果が高いか
- コストが安いか
この2つを指標とします。つまり、コストが安くて効果が高い施策を優先しましょう。
例えばECサイトの改善事例を考えてみましょう。
- ブランド認知
- サイト回遊
- リード獲得
- リードナーチャリング
- カート
- 決済
- アップセル
- リピーター(優良顧客化)
例えば、①ブランド認知(サイト訪問者数)を増やすための手法として、
・検索広告(Google、Yahoo!)
・SNS広告(Facebook広告、インスタ広告、Twitter広告)
・SEOなど
があったりします。
この中からコストが安く収まり効果が高いものを選択します。
また、④リードナーチャリングして⑤カートに繋げる方法としては、
- メルマガ
- MA(マーケティングオートメーションツール)→リードにスコアリングすることで、営業人員の選択と集中ができるため改善に繋がる
- チャットボット
- 電話
- セミナー
- リターゲティング広告
などがあります。この中から、費用対効果が高い施策を選択しましょう。
また、②サイト回遊率を上げるのであればA/Bテストして様々な改善アクションを実施することが有効です。A/Bテストをするなら先ほども紹介したような以下のようなツールが有効です。
株式会社アッション
17−3、誰がいつまでに改善アクションを実施するかを明確にする
改善アクションが決まったら、
- 誰が
- いつまでにアクションするか
- いつ結果を報告するか
を明確にしましょう。
17−4、「改善案・改善アクションを実施するといくら費用がかかり、どのくらい売上・利益が増えるか」経営層にすぐに説明できる状態にすべき
改善案・改善アクションを明確にしたら、その施策を実施することで、
- かかる費用
- 売上・利益アップ見込み
を説明できる状態にしなければなりません。
ひいては、先ほども説明したようにマーケティング予算をどのくらい増やしたらいくら売上・利益が増えるかを経営層に説明できる状態にしなければなりません。
「マーケティング予算を10%増やしたら会社の売上はいくらになるか?」
マーケターはこの問いに即答できなければならない。
— 山本尚宏@㍿猿 (@naohiroyamamoto) June 15, 2019
17−5、改善事例
なお、これまでの実績としては、とある士業の事務所にて以下のプロセス改善をすることで最終的な受注率が向上しました。
業務フローの改善が改善策です。
17−5−1、以前の業務フロー
- ブランド認知
- リード獲得
- 士業がTEL
- 面談設定
- 受注
17−5−2、改善後の業務フロー
- ブランド認知
- リード獲得
- 士業以外のスタッフがすぐにTEL
- 一定の条件を満たすリードを弁護士に繋ぐ
- 面談設定
- 受注
これまでは士業が忙しくしていたため、②と③で1日以上のタイムラグが空いてしまっていました。
そのため、通電率(リードへ電話が繋がる率)が低かったのです。
そこに原因があると判断した私どもは、上記のように業務プロセスを変更しました。
つまり、忙しい士業が電話するのではなく、より柔軟な対応が可能な現場スタッフ(パラリーガル)がリード獲得後すぐに電話する流れにしたのです。
結果、最終的な受注率が大幅に向上し、売上見込みが大幅に増大しました。
18、決裁権者を含めてキーマン(=管理者)を見極める
次に決裁者(キーマン)を見極めて働きかけます。
18−1、キーマンの見極め方
キーマンとは抽象的には、
「その人がより適切な動きをすればビジネスがドライブする者」
です。
キーマンは基本的にはマネージメントメンバーです。
つまりマーケティング事業部の部長であるケースが多いです。
その他、キーマンになり得るのは以下の者です。
- 決定権者(=部長である場合が多い)
- 決定権者に強い意見を言える影響力ある人物
- 提案を潰す可能性がある人物
以上の4つのタイプの人物について、できれば全員をキーマンと捉えてアプローチしましょう。
アプローチしていく目的としては、キーマンが耳を傾けてくれるよう信頼を獲得することです。
18−2、もしキーマンを育成できないとどうなるか?
育成できないと、採用ができても業務が回りません。
マーケティングシステムの構築はほぼ不可能になると言っても過言ではありません。
育成が難しいと判断すれば、他のメンバーを部長に据えるなど考えなければなりません。
18−3、キーマンが明確になったらひたすら話を聞く
何度も繰り返しになりますが、キーマンの話をひたすら聞いて信頼を獲得しましょう。
具体的には以下の通りです。
- できるだけ現場の管理者(キーパーソン)に話を聞いてあげる
- 話を聞く。とにかく聞く(ひたすら聞く)
- 「仕事に関する悩み。どう改善したいか」を徹底して聞く
- 誰も悪者にしない。味方ですよ感を出す。
- 部下が思い通りに動かない原因は「意思の疎通ができていないこと」として溝をうめる
18−4、キーマンを理解する
話を徹底的に聞くことでキーマンを理解しましょう。
具体的には以下のポイントです。
- キーマンは仕事が好きか?
- キーマンが仕事において喜びを感じるポイントは?
- キーマンは会社と自分のどちらを優先する人物か?
- キーマンはお金が好きか?
- キーマンのマネージメントスキルは?
- キーマンは部下を大事にするか?
- キーマンの会社や上司に対する忠誠心は?
- キーマンが怒りを感じるポイントは?
- キーマンの家族構成は?
- キーマンの趣味は?
19、組織と役職を再構築する。各役職の権限と責任を明確化する
次は各役職の権限と責任を明確にしましょう。
例えば、とある会社の部署で以下のような構造になっているとします。
その際の権限の例としては以下の通りです。
そして権限と責任は表裏一体なので、例えば中長期計画を立案した部長はその達成にも責任を負います。
以下、一つの部署の権限と責任の所在の事例です。
20、マネージメントメンバーを育てる
マーケティングシステム構築の最終的な目標は、
「自走できる組織を創ること」
です。
具体的にはコンサルタントが居なくても管理・実行・検証のPDCAを回せるマネージャーを育てることです(併せてボトルネックを発見して解消するチームを作ること)。
具体的には以下の通りです。
- 生産性高く成熟したスタッフを教育し、管理できるようにする
- 量(スピード)×質(クオリティ)をどちらもレベルアップさせる。
→量:作業は時間を意識して生産性を上げる
→質:これらを常に管理させるような人材に育てる
なお、よくあるのがマネージャーが雑務に追われマネジメントできていないケースです(心理的障壁で管理ができていない場合も)。
なお、この場合には、第三者が業務を整理してあげることが重要です。
具体的には、マネージャーではなくてもできる仕事はどんどん部下に渡していくことです。
21、メンバー間の縦の繋がり、横の繋がりを円滑にする
仕組みを作ると同時に、対人関係をスムーズにしていきます。
目標としては、
- 直接会話しやすいように
- 個人の本質的欲求と組織としての目的の方向性を一致させる
- 自分が率先してあれこれ考えて立ち上がって旗を降りやすい環境を整える
ことです。
具体的には、部署の上層部(部長とマネージャ間、マネージャー同士)から、第三者(上層部と部下以外の者。同じ部署の者でも他部署の者でもよい)が間に立って、それぞれの主張をヒアリングします(第三者と現場のメンバーの1対1で)。
その際にヒアリング・伝達する内容は以下の通りです。
- 部長から部下(マネージャー、その他の社員)らへの要望
- 部下から上司(部長、マネージャー)らへの要望
- 各要望を相手方にソフトに伝える
- ①〜③を繰り返し関係をスムーズにする。ゆくゆくはメンバーが(第三者を介さずとも)直接やりとりできる状態にまで持っていく
- かつ、上司も部下も同じ目標を持てるようにする
22、プロセスごとの業務の平準化を行う
次はプロセスごとの業務の平準化を行いましょう。
つまり、
「マニュアル作り」
です。
商談のプロセスであれば、受注率の高い営業マンの業務プロセスを言語化し、マニュアル化して他のメンバーに共有します。
具体的なプロセスは以下の通りです。
- 営業マンごとの受注率をリサーチ
- 受注率の高い営業マンのトークを録音・ヒアリング
- 一方で受注率の低い営業マンのトークを録音・ヒアリング
- 抽象的な具体的なポイントまで、受注率の高い営業マンが優れているポイントをリストアップ
- ④を中心にマニュアル作成
- マニュアルを全営業マンに浸透させる
なお、営業のスキルは属人的で、マニュアル化して全員の受注率を上げることは難しいのでは?とお考えの方も多いのではないでしょうか。
そんなことはありません!
以下、日経新聞の記事の引用です。
セールスでよくある錯覚は、「セールスとは属人的なテクニックであり、標準化にはなじまない」というものです。しかしこれは全くの間違いであり、正しく標準化を進めれば、一人ひとりのセールスパーソンの生産性が高まるだけではなく、バラつきが減り、また人材の即戦力化も速くできるようになります。標準化する典型的な対象は、セールスパーソンの
・コンピテンシー
・営業プロセス
・そして思考の型です。
出典:『日本経済新聞:キーエンス「一生食える」営業力の秘訣 グロービス経営大学院・嶋田毅教授が読み解く』
上記記事でも下記のように記載されている通り、パフォーマンスの高い営業マンの行動を分析することで平準化が可能となります。
「行動を参考にし、最適なプロセスを模索していきます。そしてプロセスごとにアウトプットやKPIを設定します。これを行うことで一人ひとりの行動までが可視化され、問題解決や育成等(相手の反応にあわせた効果的なセールストークの練習など)に役立てることができるようになります。(出典『日本経済新聞:キーエンス「一生食える」営業力の秘訣 グロービス経営大学院・嶋田毅教授が読み解く』)」
23、マーケティングノウハウを共有・注入する
「22、プロセスごとの業務の平準化を行う」で社内のノウハウをマニュアル化したら同じ業務を行うメンバーに落とし込みます。
ちなみに、弊社がマーケティングシステムを構築させていただく際には、弊社のマーケティングノウハウを注入します。
私どもは、
- 記事LP
- リスティング広告(GY)
- SNS広告
- LPの作り方
- コンテンツマーケティング
について業界トップクラスのノウハウを持っています。
その内容と、マーケティングの基本的な考え方などについて分かりやすく伝えます。
例えば以下の記事からダウンロードできる資料の内容をより分かりやすく伝え、かつワークを交えて「実際にできるようになる」レベルまでに現場のメンバーを育て上げます。
Twitterで1956いいね&196RT。さらにnoteで504いいね獲得した記事LPのノウハウの完全版がホワイトペーパーで無料ダウンロード
そして重要なのは、施策(リスティング、SEO)ごとの費用対効果の計測です。
以下のような施策について、
- リスティング広告(GY)
- SEO
- SNS広告
- その他オンライン広告
- 展示会
- セミナー
以下の数値をきちんと計測できる状態にしておきます。
- 問い合わせ件数
- CPA
- 受注件数
- 受注単価
- 受注率
- 受注総額
なお、これらはExcel等で表にまとめておくと便利です。
具体的には以下の通りです。
24、できる限り各プロセスのKPIと連動する評価制度を作る
組織として成長するためには評価制度の構築も必要です。
まず、これは森岡毅さんが著書『マーケティングとは「組織革命」である。』で仰っていることですが、
人間の本質は自己保存
です。
つまり、自分の置かれた状況が変化することを嫌うのです。
現状維持を好みます。
評価制度を設計するにあたっては、この人間の本質を逆手に取りましょう。
具体的には、現状維持の仕事をすると待遇が悪くなるような制度設計をするのです。
なお、評価は3ヶ月〜半年のスパンで行うと良いでしょう。
1ヶ月では短いですし、1年では長いです。
なお、このプロセスも最初は第三者を入れた方がスムーズに進みます。
組織は内部的な改善が難しいものだからです。
なお、評価制度設計はそれ一つで本が書けてしまうほど深いものです。
ここでは一つ事例を紹介することに留めておきます。
一例として評価制度設計のプロセスとしては以下の通りです。
- 24−1、1on1MTGで個人目標を設定する
- 24−2、個人の目標は業務プロセスごとのKPIと連動させる
- 24−3、期間経過後の目標達成度を確認する
- 24−4、部署内で評価ランクを作る
- 24−5、上位者2割は給与アップ、中位者6割は現状維持、下位者2割は給与ダウンとする
では、それぞれのプロセスについて詳しく紹介していきます。
24−1、1on1MTGで目標を設定する
1on1は部長と部署に所属する社員で実施します(部長はその上の上司と行います)。
その際に目標を決めます。目標のポイントは以下の通りです。以下の条件を満たす目標を立てましょう。
- ギリギリ達成可能であること
- 成果が客観的に判断可能であること→つまり具体的行動に起こせる目標であること
- できる限り数値化すること→「売上をアップさせる」ではダメで「売上を20%アップさせる」
など数値化できる目標設定をしましょう。
なお、次のプロセスにも関わってきますが、この時の各メンバーの目標達成の困難さが同レベルになる必要があります。
部長はその点を踏まえて個々のメンバーの1on1をするようにしましょう。
24−2、個人の目標は業務プロセスごとのKPIと連動させる
先ほどもお話しましたが、個人の目標は業務プロセスごとのKPIと連動させると効果的です。
例えば、先ほども紹介した以下のような業務プロセスにおいて、受注率80%を達成したらそのKPIの責任者が評価される制度にするなどです。
- ブランド認知→広告費2000万円/CPC480円→訪問者41,667人
- 無料相談問い合わせ→サイト訪問者41,667人×CVR3%→1250件
- コールセンター面談設定(アポ獲得)→1250件×面談設定率50%
- 士業面談→625件×面談受注率80%
- 受注→500件
24−3、期間経過後の目標達成度を確認する
期間経過後、これも1on1で確認します。
部下側が自身の達成度について納得感を得られるようにしましょう。
また、同時に振り返りをしましょう。
- よかった部分は何故よかったのかの要因分析
- 悪かった部分は何故悪かったかの原因分析
をしてメンバーの成長につなげましょう。
24−4、部署内で評価ランキングを作る
10段階で、部署内の評価ランキングを作りましょう。
これは相対評価なので、全員が5などはダメです。
例えばその部署に10人所属していれば、1位〜10位までの序列をきちんと決めましょう。
24−5、上位者2割は給与アップ、中位者6割は現状維持、下位者2割は給与ダウンとする
その上で評価を給与に反映させます。
これは徹底しましょう。
なお、下位者2割について給与を下げたら辞めてしまうのでは?と思われる方もいるでしょう。
はい、人によっては辞めてしまいます。
でもそれで良いのです。
給与が下がったら奮起して頑張るという者でないと生き残れないというエコシステムを作るのです。
このエコシステムが回ることでどんどん組織がよくなっていきます。
25、自主的にボトルネックを発見して解消するチームを作る
次は、組織の自浄作用を機能させるようにします。
具体的には、自主的にボトルネックを発見して解消するチームを設置しましょう。
もし、その部署が10名未満であれば部長が全てのKPIとKGIを管理可能かと思います。
部署の設置は不要でしょう。
もっとも、10名を超える規模であればチームを設置したらKPIを徹底的に管理します。
理想としては、リアルタイム、少なくとも日次で行いましょう。
「15、関わっている全メンバーにプロセスごとの数字を共有する(これで改善されるケース多)」で話したように、その数字が全メンバーに周知されるようにしましょう。
方法としては先ほどもお伝えしたように、Googleが提供するDataStudioやSpreadSheetです。
先ほどもご紹介しましたが、最近ではtableauのようなBIツールも増えているので導入するのもありです。
tableau
26、改善のプロセスを回す
ここまでの準備ができたらあとはひたすら行動→検証→改善していきましょう。
(以下、3~26の繰り返し)
大枠は以下の通りです。システム構築で組織に深く介入することで、より質の高いマーケティングデータを収集できるので、結果としてプロモーション効果が高まります。
- プロモーション
- マーケティング組織に深く介入
- マーケティングシステムの改善
- 重要なマーケティングデータの収集・分析
- プロモーション戦略・戦術の見直し・最適化
以上がマーケティング組織の構築方法です。
以下、個人が身につけるべきスキルの話に移っていきます。
27、個人が組織でその能力を最大化させる方法
この項目からは、組織レベルの話ではなく個人レベルの話をしていきます。
個人が組織内でその能力を最大化させるには、以下の条件を満たす必要があります。
- 「28、上司への報連相を徹底する」
- 「29、社内政治力を磨く」
- 「30、会議力を磨く」
それぞれについて解説していきます。
「提案したのに上司が分かってくれない」
「頑張って提案したのに会社が理解してくれない」
「提案しても上司が受け入れてくれず、逆に意見を押し付けてくる」
もし上記のうちいずれか一つでも当てはまる方であれば是非以降の項目をお読み下さい。
28、上司や同僚への報連相を徹底する
まずは一つ目の報連相を徹底することです。
正直、これは基本中の基本です。
でも、できていない方が多いのも事実です。
そして忘れてはいけないのは、報連相の徹底は上司だけではなく同僚や部下へもです。
もし、不十分だと思われるのであれば以下の内容を徹底すると良いでしょう。
具体的には、
- 毎日、日報を提出する
- その他でも、部署の目的・目標達成に大きく影響を与える可能性があることはすぐに連絡・報告する
- 迷ったことがあったら相談する
→ただ、「(ただ抽象的に)どうしたらいいでしょうか?」という相談の仕方はなしです。まずは自分の頭で解決策なり、具体的なアクションの方法を考えましょう。
ですので、相談の仕方としては以下の通りです。
「本件の目的は◯◯かと思います。その目的達成にあたっての課題は△△です。課題を解決するためには□□というアクションがよいのではないかと考えますがいかがでしょうか?」という相談の仕方をしましょう
などです。
そして後ほどお伝えしますが、上記「目的」は組織の目的と合致していることがマストです。
なお、あまり頻繁に報連相したら、
「上司から煙たがられるのでは?」
と思ってませんか。
「単純接触の原理」はご存知でしょうか。
人はある対象との接触回数が多いほど、好感度が高まる
という人間の本質のことを言います。
これは上司との関係でも当てはまります。
接触回数が少ないより、多い方が好かれる確率が高まるのです。
29、社内政治力を磨く
「社内政治」というと、ネガティブなイメージがある方も多いのではないでしょうか。
元々国会議員秘書をやっていたからではありませんが、事業をグロースハックさせるにあたり、全メンバーが「社内政治」のスキルを身に付けておくことはマストだと思ってます。
今回ご紹介する内容は、私がサラリーマン時代〜国会議員秘書時代で培ったものです。
なお、大好きな森岡毅さんが著書『マーケティングとは「組織革命」である。』にてフレームワークを使ってかなり分かりやすく説明してくださってます。
今回は、森岡さんの内容を参考にしつつも、私オリジナルの考え方を紹介していきます(もし、より知識を身に付けたいという場合には書籍『マーケティングとは「組織革命」である。』も読まれると良いでしょう)。
プロセスとしては以下の通りです。
- 29−1、目的の確認
- 29−2、リサーチ
- 29−3、提案内容を考える
- 29−4、伝え方を考える
- 29−5、伝える
では、詳しく説明していきます。
29−1、目的の確認
まずは提案する目的を確認しましょう。
よくある目的としては、
- 上司にOKをもらい提案を通す
- 会社の成長に繋がる
- 自分の車内での評価が上がる
などでしょうか。
29−2、リサーチ
以下の内容をリサーチします。
- 会社の経営理念、ビジョン
- 会社のルール・文化
- 提案内容に関してキーマンとなる人は誰か→キーマンには3種類考えられます。決定権者、決定権者に強い意見を言える影響力ある人物、提案を潰す可能性がある人物
- キーマンの心理、業務に関して大事にしていること(会社なのか、自分のお金なのか、自分の出世か、上司の評価か)
- 直接提案する相手がキーマン以外の人物であれば、その者の心理と業務に関して大事にしていること(会社なのか、自分のお金なのか、自分の出世か、上司の評価か)
29−3、提案内容を考える
大前提として目的を伝えることが大切です。
その目的が、
- 会社の目的と合致、
- もしくは会社の課題を解決するもの
でなければなりません。
そして会社の目的とは、
- 経営理念、ビジョンの実現
- 売上・利益を増やすこと
です。
かつ、
- キーマン
- キーマン以外で直接提案する相手となる上司
に対するメリットも用意する必要があります。
なお、会社に目的がない場合には、あなた自身が社会的大義名分ある目的を立案しても良いでしょう。
29−4、伝え方を考える
まず、何より大切なことですが、
「人間は好きか嫌いかで判断することが圧倒的に多い」
のです。
合理性があり、メリットが大きい内容でも、嫌いな相手から提案されたら上司は素直に受け入れないでしょう。
ゆえに、「28、上司への報連相を徹底する」で解説したように、こまめに報連相をしてできる限り上司の信頼を勝ち取り、好かれておくと良いです。
あとは、まずは提案の分かりやすさが大事です。
分かりやすさとは、
- 伝える内容の分かりやすさ
- 会社にとってメリットがあることの分かりやすさ
- 上司にとってメリットがあることの分かりやすさ(※)
※私がその昔「コンテンツマーケティング」という言葉が流行る前にコンテンツマーケティングを導入してもらう際には、シミュレーションを作成しました。
具体的には、
- 毎月どのくらいのコストがかかるか
- いつ、どのくらいのトラフィックがあるか
- いつ、いくらくらいの売上が立つか
を表にして、提案を進める費用対効果の良さを分かりやすく伝えたのです。クライアントさんに提案したのは以下のようなイメージです。
29−5、伝える
最後に伝え方です。
①相手の視点を徹底して意識
まず、提案時に意識すべきことは「聞くこと」を重視するということです。
なぜなら、人は話を聞いてもらえると相手を信頼する傾向があります。信頼してもらうことでこちらの提案が受け入れられやすくなります。
②会社の目的に合致することを伝える
会社の目的に合致することを伝えましょう。
会社の目的とは、
- 会社の経営理念、ビジョンを実現すること
- 会社の売上・利益アップ
などです。
③上司のメリットになることも伝える
また、上司のメリットになることもきちんと伝えましょう。
ちなみに私は、雇ってもらってた際に社内で提案を通す際には、
- 会社にとって売上・利益に繋がります
というビジョンに加えて、
- あなた(意思決定権者)にとってもメリットです(社内評価が高まるとか)
ということが伝わる提案内容にしていました。
後者を意識するか否かで提案の通る確率が変わります。
特に上司が「会社の利益より自分の利益を優先するタイプ」だと有効です。
④なぜその提案が良いのか実現可能性を伝える
数値データをベースにロジックを積み上げて伝えましょう。
⑤提案を進める懸念点を伝える
きちんと考えていることを伝えるには、提案のリスク・デメリット(つまり懸念点)を洗い出して伝えることが重要です。
⑥懸念点を回避する方法を伝える
当然ながら懸念点を伝えるだけではNGです。回避する方法も併せて伝えましょう。
30、会議力を磨く
会議は会社の成長に非常に重要です。
それは言わずもがなでしょう。
しかし、ただ会議を開催すればいいわけではありません。
あらゆるレイヤーのメンバーから(社長だけでなく部長や平社員からも)積極的な意見が出て活発な議論ができる会議にしなければなりません。
でも多くの会社ではそうなっていないと思います。
ではどうしたら良いのでしょうか?
先ほどもお伝えしたように、人間の本質は「自己保存」です。
であれば発言しないと自己保存できないような仕組みにすれば良いのです。
例えば、「会議での発言がないと評価が下がる」という人事評価制度にすると良いでしょう。
そういうマーケティングシステムを構築することで議論の活性化するマーケティングチームを作っていきましょう。
参考:USJ再建の森岡毅が語る、出世する人が必ず持っているスキルとは
一方で会議の効率化も重要です。
- 無駄な会議をなくす
- 会議の時間を短くする
ことで会社としても個人としても業務効率は圧倒的に高まります。
そもそも会議の目的は「人を動かすこと」です。
ですので、ただの数値共有のための会議は無意味です。
また、議事録は、
- 目的(その会議が開かれた理由)
- 結論
- 結論に至る議論のプロセス
- 具体的なアクション(誰が、いつまでに、何をするか)
が明示されているものでなければなりません。
特に①と④はマストで、④はアクションが完了したかはきちんと管理すべきです。
逆を言うと、目的が会議前に周知されていなければなりません。
また、時間を設定しておくことも大事です。私の知り合いの上場企業の経営者は30分以上打ち合わせをしません。
最後に
今回はマーケティングシステムの構築について解説してきました。
一人でも多くのマーケターに読んでもらえたらと思い全力で書きました!!
この記事が少しでも日本の発展に繋がれば嬉しいです!!