#エディターコラム 2021/10/15

韓国・中国のエンタメ市場から見るメンズメイク需要と真の価値【メンズメイク特集】

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2021年10月11日、DCコミックスは、クラーク・ケントの息子が新スーパーマンとして活躍するシリーズの最新号で、主人公ジョン・ケントが男性記者と恋愛関係になると発表した。スーパーマンは両性愛者だったのである。

多くの人が、ここからアメコミの世界で多様性を受け入れる作品が増えている背景を軸に、全セクシャリティ肯定と脱アジアヘイト・人種差別のメッセージを受け取ることができただろう。

ダイバーシティがセクシャリティにも言及されるようになった近年において、とてもポジティブで新しい時代の風を感じる出来事となった。

エンタメ市場から見るメンズメイク需要と真の価値(1)中国

一方で、翌10月12日のニュースでは、先達て9月頃から中国が国策で進めていたエンターテインメントの規制(中国政府が芸能界に厳格な規制を発表し、アイドル育成番組や女性っぽい男性タレントも禁止の方向へ)の中に、新たに新しく男性メイクNGなどが盛り込まれたことなどが報道された。

 

 

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中国の男性化粧品市場規模は、約2,836億円。(※出典:2021年中国男性化妆品市场规模及发展趋势分析(图)-中商情报网)

その背景には、韓国アイドルやサバイバルオーディション番組の人気、TikTokなどの動画配信の普及などが挙げられ、中国で「顔が美しい方が様々な機会や収入に恵まれる」といった価値観が形成されていることがあるらしい。

つまり、現在の中国男性の美意識は、経済トレンドに紐づいた「顔面偏差値」=「見た目の美しさを求める」ものだ。の証拠に、ニベア花王が行った日本・中国・アメリカ・ヨーロッパの20~59歳の男性を対象にした「ビジネスと男性スキンア」に関する調査でも、中国の男性が最も意識が高いということが示されている。(※出典:世界5か国・ビジネスと男性スキンケアに関する意識調査)

 

エンタメ市場から見るメンズメイク需要と真の価値(2)韓国

一方で、中国に影響を与えたという今世界でも人気を集めている韓国アイドルのメイクはどうか。

韓国アイドルつまりK-POPの世界における男性のメイクは、本人たちのビジュアルを整えるためというより「作品としての表現力」に特化していると言えるのではないだろうか。

K-POPアイドルの活動は「コンセプトカムバック」といって、新曲ごとに曲の世界観を作って活動するのが基本だ。

新曲(アルバム)をリリースすると、2~3週間にわたりその新曲を引っ提げて、音楽番組出演やサイン会などに勤しむ。

その期間は、決まったコンセプト(フレッシュな学園コンセプト、力強く男性的なワイルドコンセプト、シックなスーツ等)の世界観そのままで活動してくれるため、ファンはその時限りの世界観にどっぷり浸かって推し活を楽しむことができるのだ。メイクはその世界観を体現するために大きな力を発揮する非常に大切なアイテムと言えるからだ。

↑同グループでも、新曲ごとにガラッと雰囲気やビジュアルを変える。ファンは一度きりのビジュアルを尊ぶように楽しむ。

さらに、韓国のポップカルチャーにおけるイケメン文化は、男性的価値というより、女性がビジュアルを楽しめるように演出されたものなので、今回の中国エンタメ規制のニュースを知り、韓国からの影響が100%ではないにしろ、もとの価値が違うかたちで中国に広がってしまったようで若干残念に感じた。

↑衣装・ヘアメイク含めて曲の世界観を徹底的に再現するK-POPの世界 

 

ちなみにタイの場合は、「色白=お金持ち」の意識から男性美容が進んでいるのだそうで、

私はタイがとても好きなのだが、確かに色白はモテると聞いたことがあった。しかし、それが「金の象徴」として見られていた可能性があったとは…吃驚である。

 

男性メイクが流行するきっかけが同じであっても、その価値をどう捉えるか国によって異なるのは大変興味深い。

近年、日本でもメンズメイク市場が盛り上がりを見せている。日本はその価値をどう作っていくのか。

 

<ライタープロフィール> タピオカあさみ
30代/K-POPファン歴16年/歌とダンスのエンタメが大好きで月イチでK-POPの海外公演に行くことが生きがい/仕事も子育ても自分の好きなことも全部諦めずに楽しい毎日を送ることが目標のワーキングマザー

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