#キャリア 2021/04/20

働く女性と家事育児 座談会レポ~前編~「キラキラママになれない自分がしんどかった」

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2021年4月7日(水) 、“読者と編集者が一緒に作る”女性WEBメディアPRIMEの初回イベント「女性と家事育児」座談会が開催されました。

テーマは、『完璧なママ』しんどくないですか?~経験者のママに抜け出したきっかけを聞きました!~

(zoom/clubhouseにて配信)イベントの詳細はこちら

<中編><後編>はこちら

 

【パネラー】

・みくりや佐代子氏(ライター・エッセイスト・単身赴任の夫を持つ2児の母)

・とみ氏(PRIME読者・1年前に仕事復帰した小中学生3人のママ)

・ミイ(PRIME編集部メンバー・小学生2人を1歳から預けてフルタイムで働くワーママ)

司会:みわ(PRIME編集部メンバー・ママ歴半年の未婚シングルマザー)

それぞれ異なるバックグラウンドや思考を持つ女性たちが『完璧なママ』になろうと頑張り、挫折し、それを乗り越えて前向きになるまでを語りました。

「羨ましく思っている自分を認めたくない!」というしんどさ

ーーそれではまず、1つ目のテーマである「母親のしんどさを語る」について、みくりやさんからお願いします。

みくりや:母親のしんどさというと、最初に対子どもとのコミュニケーションと考える方が多いかもしれませんが、うちの子どもはどちらかというと大人しくて、育てやすいと言われるタイプでした。なので、しんどさは子どもに対するものより、周りに対するものがすごく大きかったです。出産した年はmixiからFacebookに発信の仕方が変わった時期で、東京に就職してバリバリ働く友達が一番楽しむ時期でもあり、みんながきらきら輝いて見えました。やれコンペで勝った、やれ海外旅行だ、そういう投稿を見ていると、会社と保育園と自宅の往復だけをしている自分と比べてしまって。女性としてきれいでありたいという意欲がすごく減っていて、化粧も眉を書くだけのノーファンデでとりあえず電車に乗る、トイレで髪をとく、みたいな…。人と比べて、どんどん劣等感に沈んでしまうというしんどさがすごくありました。

ーーSNSを見ると、きらきらした投稿が多いですもんね。例えば子どものハーフバースデーの写真とか、かわいい離乳食とか。私自身もそういうのが全然できなくて、「できていない私」は子どもに対して愛情が足りないんじゃないか、と感じてしまったり……。

みくりや:それ、すごいありました。自分ができないことしている人を羨ましく思うのを認めたくなくて。段々嫉妬や悪口に変わっていくのもしんどいんですよね。

ーーみくりやさんはそういう気持ちと、どのように向き合っていますか?

みくりや:笑い話にしちゃうと楽になるんですよね。今こうやって皆さんとお話することによって、また一つ楽になっています。

自分に対する自分自身のキャラ付けを、この何年かで変えました。3年くらい前までは「自分はバリバリのワーキングママ」だと、自分にキャラ付けしていた気がします。今はもう無理に自分のキャラクターを決めつけることはせず、その場に応じて柔軟に変化しながら生きられるようになりました。

ーー変えるのに、勇気が要りませんでしたか?

みくりや:変えるために勇気を振り絞ったというよりは、変わらざるをえなかったという感じでしょうか。精神的に疲れたとき、私ってバリキャリじゃないのかも、ナンバーワン営業マンじゃないのかもって、一度落ちちゃいましたね。でも、そこからそれまでの仕事を辞めて文章を書く仕事になって、年収は下がったけど、自分を愛せるようになりました。

理想の母親像の呪縛って、いつまで続くんだろう

ーーミイさんにとっては、母親のツラさ、どんなことでしょうか。

ミイ:私は何に苦しんだかというと、3歳児神話とか、日本にステレオタイプとして残っている理想の母親像。その理想と自分の働き方や生き方の狭間ですごく苦しんできました。

前職は長時間労働で、女性は結婚したら辞める社風でした。ワーママへの理解も乏しくて、妊娠したときに辞めるように匂わされました。13年前の話です。どうにか産休をもらって、復職したときには従業員2000人のなかのワーママのパイオニアに近かったんです。正直職場の理解は得られず、総合職の営業職だったのですが、キャリアは妊娠したことで完全遮断。苦しみましたね。本当は今も昔も夫婦で決めればいいことだと思うんですけど、「家事育児は女の仕事」というのが職場に於いては随所に残っていて、理想の母親像がキャリアの邪魔になる時代でした。

そして、何よりも自分の中にもそれが根付いているのが私の戦いでした。

スラムダンクの作者である井上さんの「リアル」という作品があるんですけど、それに出てくるお父さんのこんな台詞があって。

「息子の成長を見逃してまでがむしゃらに働いたあの仕事は、僕でなくてはならなかったんだろうか?」

これが13年間ずっと、私の傍にあります。それが私の葛藤、戦いでした。

ーー会社からいわゆるマタハラ、パワハラを受け、モヤモヤしながら仕事を続けている人は多いんじゃないかと思います。

ミイ:マタハラとかママハラとか、自分の会社からの評価が低かっただけじゃない?って思って、言い出せない人もいると思うんですよ。私はもう堂々と「時代のせいだ」と開き直っちゃってるんですけど。ハラスメントにあったことは自分の傷でもあり、それを恥ずかしく感じてしまう人もいると思うんですよね。

ーー悲しいことに、今はその発信を”自意識過剰”と受け取る人もいる世の中かもしれません。

ミイ:私は今回の座談会では参加者の人となりを知っているので堂々と話せたけど、心を許せない相手や上司の前だと、「こんなことに傷ついた」と言い出せない人もいるだろうなと思います。

みくりや:大事な発信ですよね。

ーーPRIMEでも、今後もそういう声を発信していきたいですね。

ミイ:もう一つ、母親のツラさというよりは「私の人生ってこうなんだなあ」と思った話なんですが。私はK‐POPが好きで、今は子どもと家族の予定を優先しつつも、予定が許せば海外公演に行くなど”推し活”の時間を確保できるようになってきたんですね。でも、推しが目の前にいて「今私の人生最高潮!!」という時に限って、子どもを置いてきているってことが絶対に頭をよぎっちゃうんですよ。「母親たるもの子どもとずっと一緒にいるべき」という私の理想の母親像の呪縛っていつまで続くんだろう、って。

呪縛と言いましたが、嫌ではないんですよ。私は全然、子ども優先でいいと思っているので。だけど一方で、たまには100%自分を愛する時間がほしい。でもできない。できる環境があってもできないんです。100%自分だけになりきれない現実を目の当たりにして、戸惑いや葛藤があります。

 

義母に仕事を辞めさせられ、会社に戻ってみると主婦のキャリアは通用しなかった

ーーでは3人目、とみさんの感じた「母親のしんどさ」はどうでしょうか。

とみ:元来仕事が大好きだったので、休日に働いたりすることも全く厭わないタイプなんですけど、子どもも同時に大好きだったんですね。子どもは3人ほしいって決めていました。ただ初産が30歳過ぎていたので、計画的に産もう、と。そういう感じだったので、30代は出産が一番優先でした。そして3人目を出産して、これから仕事もがんばろうと誓っていた時に、義母から「仕事を辞めてほしい」って言われたんです。

私の仕事への気持ちを話し合いたくて、家のなかだと逃げ場がないので何度も外で話そうと食事の場を設けたりもしたんですけど、とにかく交わされ続けてしまって。で、私も諦めてしまったんですね。

でもいざ辞めてみたら、毎日が本当にしんどかったですね。働きに出ていない以上、家事と育児は完璧にやらなければ夫にもお義母さんにも申し訳ない。そう思うんですけど、家にいると面白いほど時間があっという間なんです。職場にいるよりも。あっという間に午前が過ぎて、夕方で、夜中なんですよね。30代で産んでいるもので、身体に不調を感じることも多くて。暮らしていて楽しいって感じることがなくて、辛かったです。

子どもたちが大きくなってきて教育費もかかるので、今から3~4年前に仕事復帰を決めました。でも、そこで2つの勘違いに気づいたんです。
まず、私は仕事に対して危機感がなかったんですよね。一旦辞めてしまうと再就職は難しい、みたいな定理があると思うのですが、私は違う考えで。100社から求められる必要はない。自分が行くのは1社なんだから、1社くらいは就職口があるでしょうって、都合よく考えていて。よく言えば楽観的だったんですよね。
そして、もう1つの勘違い。「主婦をしている自分も、ある意味キャリアだ」と思っていたんですね。毎日会社に行っていると見えない消費者の動きは、自分が主婦をしている間に身に着けた自信があって。だから、自分が消費者だったり、医者に行く患者の側だったり、そういう時間をたくさん過ごしてきたことは仕事でめちゃくちゃ役に立つと確信していたんですね。でも、違いましたね。全然違った。

最初に就職した復帰先は、ごりごりに朝から晩まで会社にいる男性たちばかり。そうすると、主婦の意見なんか全く関係ない。ぽっと出の自分なんかが何を言っても全く通る会社ではなかったので、無力さを突き付けられました。

義母がきっかけで仕事辞めさせられ、会社に戻れば戻ったで主婦のキャリアは通用しない。そういうしんどさがありました。

 

*中編、「前向きに抜け出すに至るまでにきっかけとなったこと、ヒントにしたこと」へ続きます!

 

【ライター】碧月はる

 

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