新海誠監督との親交も!映画への熱い想いが詰まったミニシアター「下北沢トリウッド」
家で映画を観るのもいいけれど、たまには気分を変えて映画館に足を運んでみるのはいかがでしょうか?ミニシアターなら、他の映画館では上映していない特別な作品に出会えます。
そこでTVマガでは都内近郊の素敵なミニシアターを取材。ミニシアターならではの映画の楽しみ方を紹介します。
目次
映画作家と観客を繋ぐトリウッドの挑戦とその歩み
下北沢トリウッドは、映画への情熱と若い才能を育てる場所を作りたいという大槻貴宏さん(代表)の強い思いから始まりました。大槻貴宏さんは、海外留学で映画プロデュースを学び、帰国後は専門学校で講師を務めた映画プロデューサーです。
当時、アメリカでは、若い映画作家が制作した短編作品が、長編のメジャー作品の前に上映されることがあったそうです。この文化に触発され、日本でも短編映画を上映できる専門の場所を作りたいと考えたのです。
1990年代、若い映画作家たちにとって、金銭面や技術面から短編映画の制作が主流でした。しかし、当時の日本には短編映画を上映できる場所が少なかったのです。この状況を変えるべく、大槻貴宏さんは短編専門の映画館を作ることを決意し、「下北沢 トリウッド」が誕生しました。
短編専門の映画館として誕生したトリウッドは、「映画のライブハウス」というコンセプトのもと、若い映画作家たちが自身の作品を上映し、観客を集め、そこからキャリアを築いていく場所となることを目指しています。音楽のライブハウスがミュージシャンとファンを繋ぐように、トリウッドは映画作家と観客を繋ぐ架け橋となることを大切にしているのです。
関根勤さんが命名⁉「トリウッド」のネーミングエピソード
「トリウッド」という独特な名前は、人気タレントの関根勤さんが「インドの映画のことをボリウッドっていうから、東京だとしたらトリウッドだね」と発言したのが始まりです。
この何気ないセリフが大槻貴宏さんの心に響き、早速関根勤さんの事務所に確認を取り、正式に「トリウッド」という名前が決定したそうです!
新しい文化を育む街、下北沢がトリウッドの拠点となった理由
下北沢には、
- 入れ替えが激しいけど新しいものを受け入れる土壌がある
- 何者かよくわからない人たちも受け入れられる場所
- ライブハウスが多かったり芝居小屋が多かったり、何かになろうとしている人たちが集まる場所
という特徴があります。
これらの要素は、トリウッドが掲げる「映画のライブハウス」というコンセプトと見事に調和しています。新しい才能を育て、短編作品を受け入れ、そして映画を通じてコミュニティを形成するという理想を実現するのに、下北沢は最適の地だったのです。
映画ファン必見!下北沢トリウッドの知られざる魅力とは?
下北沢トリウッドの開館当初は短編映画専門の映画館でしたが、現在では長編作品も上映しており、短編と長編の垣根がないのが大きな特徴となっています。
この変化には明確な理由があるわけではありませんが、「技術の進歩により、若い映画作家や学生でも長編作品を制作できるようになった」「他の場所でも短編映画を上映・発表する機会が増えた」のように時代の流れが影響しているようです!
「おもしろい!」と思った作品が上映されている
トリウッドの上映作品の選定基準は非常にシンプルです。大槻貴宏さんや山本達也さん(専門学校東京ビジュアルアーツ 非常勤講師兼下北沢トリウッドスタッフ)が「おもしろい!」と感じた作品が上映されます。この直感的な選定方法が、トリウッドならではの多様で魅力的なラインナップに繋がっています。
最近の傾向としては、「明るく楽しい作品やアニメが多い」とのことです。これは、観客のニーズや時代の変化に合わせて自然と形成されたラインナップと言えるでしょう。
興味深いのは、大規模なシネコン(1つの施設に複数のスクリーンがある大きな映画館)で上映されるような作品でも、トリウッドで上映する意義や文脈を慎重に検討した上で上映することがあるという点です。
お客様の感動を第一に考えて、作品の芸術性や社会的意義を重視するトリウッドの熱い思いが伝わってきます。
黄色い座席⁉トリウッドの座席に込められた特別な理由
トリウッドの内装で最も目を引くのが、鮮やかな黄色の座席です。この色使いには、お客様への配慮が込められています。
座席が黄色い理由は、気分が落ち込むような作品を見た後でも、赤いイスではなく黄色いイスを見ることで、少しホッとできるのではないかと考えたからです。
通常の映画館でよく見られる赤い座席と比べ、黄色い座席は心理的なリフレッシュ効果があると考えられています。
新海誠さんの初期作品が上映されていた⁉
下北沢トリウッドには、日本を代表するアニメーション監督、新海誠のキャリアの出発点となる驚くべきエピソードがあります。『君の名は。』や『天気の子』で知られる新海誠監督ですが、その初期作品である『彼女と彼女の猫』が、この小さな映画館で上映されていたのです。
『彼女と彼女の猫』(約5分のモノクロアニメーション作品)は、新海誠監督が日本ファルコムに勤めながら制作した作品。大槻さんがイベントでこの作品を目にし、感銘を受けたことでトリウッドでの上映が実現したのだとか。
その後、新海誠監督の本格的なデビュー作となる『ほしのこえ』も、2002年にトリウッドで上映されました。この作品は新海誠監督が初めてカラーで制作した25分のアニメーションで、パイロット版では自ら声優を務め、公開版ではプロの声優を起用しています。『ほしのこえ』の上映が、新海誠監督にとって映画界での本格的なデビューのきっかけとなりました。
さらに、新海監督とトリウッドのご縁は現在も続いているそうで、新作が公開される際や、公開前に特別上映が行われるなど、深い交流が維持されています。この継続的な関係は、トリウッドが単なる上映場所ではなく、映画作家たちにとって特別な存在であることを物語っています。
【教えてくれた人】下北沢トリウッド 山本達也さん
「ぜひ見に来てください!」とお話してくださった、下北沢トリウッド スタッフ山本さん。専門学校東京ビジュアルアーツ 非常勤講師としてご活躍されているのだとか!
また、「ゴーグル」「ぐちゃぐちゃ」など、たくさんの作品をプロデュースされているので、ぜひご覧ください。
下北沢トリウッド 山本達也さんおすすめの映画3作品
ドロステのはてで僕ら
「ドロステのはてで僕ら」は、下北沢トリウッドと京都の人気劇団ヨーロッパ企画がタッグを組んで制作した、2020年公開のSFコメディー作品です。2分先の未来が映るテレビに振り回される主人公たちの姿を、独特のユーモアで描き出しています。
擬似ワンカットで撮影されている本作は、両者のファンはもちろん、誰でも楽しめるような内容になっています。
リバー、流れないでよ
「リバー、流れないでよ」は、下北沢トリウッドと京都の人気劇団ヨーロッパ企画が再びタッグを組んで制作した、2023年公開の最新作です。前作「ドロステのはてで僕ら」に続く、時間をテーマにしたユニークなコメディ作品です。
本作では、主人公が2分ごとにタイムループしてしまうという斬新な設定のもと、ドタバタ劇が繰り広げられます。
本作品もAmazonプライムで見放題配信中なので、いつでも視聴することができます。
街の上で
「街の上」は、今泉力哉監督が手掛けた2021年公開の作品で、下北沢を舞台に繰り広げられる日常の断片を描いた独特な映画です。
ちなみに、下北沢トリウッドも作中に登場しているそうです!
本作の特徴は、明確なあらすじがあるようでないような、独特の物語構造にあります。
日常の何気ない会話が積み重なり、そこから浮かび上がる人々の姿が作品全体を形作っています。
下北沢トリウッド 店舗情報
〒155-0032
東京都世田谷区代沢5-32-5シェルボ下北沢 20B
【アクセス】
下北沢駅から徒歩5分
【料金】
作品により異なる
【割引】
サービスデー(1日、11日、22日):1200円
【定休日】
毎週火曜日
【飲食について】
館内でのお食事は不可
※ページの情報は2024年10月25日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。