時代を超えて愛される名作映画に出会える「シネマヴェーラ渋谷」
家で映画を観るのもいいけれど、たまには気分を変えて映画館に足を運んでみるのはいかがでしょうか?ミニシアターなら、他の映画館では上映していない特別な作品に出会えます。
そこでTVマガでは都内近郊の素敵なミニシアターを取材。ミニシアターならではの映画の楽しみ方を紹介します。
目次
夢が形になったシネマヴェーラ渋谷の歴史
シネマヴェーラ渋谷の誕生は映画が好きな弁護士の夢から始まりました。それは著作権に詳しい弁護士である内藤篤さんで、ミニシアター・ユーロスペース代表との協力関係で『映画館を作りたい』という夢を現実させたのです!
法律の知識、映画館運営のノウハウ、エンターテイメント業界とのつながりという、それぞれの強みがマッチし、独自の魅力を持つ映画館ができ上がりました。今は経営から退いた内藤篤さんに変わり、代表と支配人を内藤由美子さんが務めています。
映画ファン必見!昔の名作と独自の空間が広がるシネマヴェーラ渋谷の魅力
シネマヴェーラ渋谷の最大の特徴は、シネマテイク感(大規模な監督・俳優特集や隠れた傑作を上映する)を味わえる点で、訪れる人々に特別な映画体験を提供しています。
また、豊富な映画アーカイブがあるのも魅力の一つです。古典名作はもちろんのこと、他ではなかなか見られない貴重な作品もたくさん。シネマヴェーラ渋谷を訪れれば、今まで味わったことのない映画の多様な世界を堪能することができます。
1920~50年代の名作映画が集うシネマヴェーラ渋谷
シネマヴェーラ渋谷では、全体の約2/3が洋画、約1/3が日本映画というバランスで上映が組まれています。このバランスは、幅広い年代や好みに応えるための工夫であり、訪れるたびに新たな映画体験ができるようになっています。
近年、日本映画の上映数は減少していますが、フィルムの劣化により上映できる作品が減っていることに加え、新しいプリントを焼く費用も高価になっていることが理由だそうです。珍しい日本映画を上映すること、年間を通じて日本映画を上映し続けるのは益々難しくなるだろうとのこと…。
一方で洋画の数は増加し続けており、年末年始や春休み、ゴールデンウィークなどの休暇期間には、監督特集など力の入った企画を開催。このように、シネマヴェーラ渋谷は、時代の流れとは一線を画し、洋画と日本映画のバランスを考えながら、お客様が楽しめる映画を提供しています。
古い年代の映画だけを上映しているこだわり
名画座であるシネマヴェーラ渋谷は、最新作を上映する一般的な映画館とは異なり、特に洋画では1920~50年代の作品を中心に上映しています。
古い時代の洋画の中ではフィルム・ノワールを上映する機会が多いとか(フィルム・ノワールとは「戦後に作られた虚無的・悲観的・退廃的な味わいを持つ犯罪映画」のこと)。
編集者が「ノワールが多い理由」を尋ねると、内藤さんは3つの理由を答えてくださいました。
<ノワール映画が多い理由>
1. 内藤さん自身が好き
2. 一般的に尺が短く(約60~70分)、スピード感と凝縮された濃い内容が魅力的
3. 白黒映画特有の陰影の美しさが表現されているから
ノワール映画が多い理由を知ると、他の映画館とは違う映画を楽しむことができそうだと感じとれます。他ではなかなか見られない独自の品揃えを維持し、映画愛好家にとって魅力的な場所になっているのがシネマヴェーラ渋谷です。
シネマヴェーラ渋谷は、名作映画を愛するすべての人々のため、そして、まだ映画の魅力に気づいていない方に映画の魅力を知ってもらうために、特別な映画体験ができる空間を提供しているのです。
人脈の力で実現する特別な舞台挨拶とトークショー
シネマヴェーラ渋谷は、映画関係者をゲストとして招いた特別な舞台挨拶やトークショーを開催しています。映画製作に携わった俳優やスタッフの方々の登壇も多く、映画制作の裏側や俳優たちの逸話を聞くことで、映画への理解と興味がさらに深まります。
また、若い映画人や評論家の方々のトークでは、作品について深く論じてもらえるよう、事前に作品を観ていただいているそうです。十分な時間を取って議論をすることで、観客も新たな視点を獲得することができるはずです。
シネマヴェーラ渋谷の伝統的映写機へのこだわり
シネマヴェーラ渋谷では、昔ながらのフィルム映写機へのこだわりを持ち続けています。35mmと16mmの映写機を完備してフィルム映画を上映しているのです。
しかし、映写機の製造が中止されて以来、これらの機械をメンテナンスできる技術者が減少しているため、維持管理が困難な状況が続くことが予想されます。それでもフィルム上映を続けることは、文化や伝統が途切れないための重要な取り組みを行っていることでもあるのです。
このように、フィルム映写機で上映している映画館は、観客にとって単なる娯楽を楽しむだけではなく、映画の歴史を感じることができる場でもあります。シネマヴェーラ渋谷は、時代が変わり続ける中で、伝統や映画文化の継承に努めています。これからも古い映画の魅力を守り続け、他では味わえない映画体験を提供し、多くの映画ファンに愛される映画館であり続けることでしょう。
【教えてくれた人】シネマヴェーラ渋谷 支配人内藤由美子さん
「古い映画を観て映画沼にハマってほしい!
動画配信サービスでも映画を楽しめるけど、スクリーンで見る映画には特別な魅力があります。暗闇に座って大きいスクリーンを見つめることで映画の世界に深く没入できますし、他の観客と一緒に笑ったり泣いたりして空間を共有することができるのも映画館の魅力です。
あと、学生は700円で映画を観ることができますので、ぜひいらしてください!」
と語ってくださった内藤さん。映画への愛、映画の良さをお客様に伝えたいという気持ちが伝わってきますね。
シネマヴェーラ渋谷 支配人内藤由美子さんおすすめの映画
「いつも明日はある There’s Always Tomorrow」
ナチスが台頭するドイツから逃れてハリウッドで活躍したダグラス・サーク監督の1956年作品。玩具会社社長が、かつての従業員で今は有名デザイナーになった女性と不倫関係になるメロドラマ。サークらしい繊細な演出で二人の微妙な感情が巧みに描かれ、秘められた熱情と官能が滲む傑作です。
本作品は年末年始の「デトレフ・ジールクからダグラス・サークへ」特集で上映。日本で上映されるのは約30年ぶりになります。
シネマヴェーラ渋谷 店舗情報
〒150-0044
東京都渋谷区円山町1‐5
KINOHAUS(キノハウス) 4F
【アクセス】
JR渋谷駅ハチ公口から徒歩10分
【料金】
1本立て上映(当日券のみ、前売券・オンラインチケットの販売はありません)
・ 一般:1300円
・シニア:1100円
・全国ミニシアター会員相互割引:1100円
・会員:900円
・学生:700円
・中学生以下:600円
*チケットは上映当日の朝10時30分より劇場窓口にて販売いたします
*お支払いは現金のみの取り扱いです
*上映開始後20分までご入場いただけます
*料金は作品・特集で変わることがあります
【割引】
障がい者割引: 1000円(ご本人様と、付き添いのお客様1名様まで)
【定休日】
元旦
【飲食について】
・ロビーでの飲食は可
・館内では水分補給が可
※ページの情報は2024年10月28日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。