障害をもつ人も一緒に映画が楽しめる!「シネマ・チュプキ・タバタ」【田端】
家で映画を観るのもいいけれど、たまには気分を変えて映画館に足を運んでみるのはいかがでしょうか?
ミニシアターなら、他の映画館では上映していない特別な作品に出会えます。
そこでTVマガでは素敵なミニシアターを取材。ミニシアターならではの映画の楽しみ方を紹介します。
目次
視覚障がい者の映画鑑賞をサポートするボランティアからスタート
「ミニシアター探訪」vol.8で紹介するのは、障がい者が安心して映画鑑賞を楽しめる「シネマ・チュプキ・タバタ」。
「チュプキ」とはアイヌ語で、月や木洩れ日などの「自然の光」を意味するそうです。
平塚千穂子さんが代表を務めるチュプキの運営母体は、2001年から視覚障がい者の映画鑑賞をサポートしてきた「バリアフリー映画鑑賞推進団体City Lights」というボランティア団体。活動から15年目の2016年9月、東京都北区田端に日本初のユニバーサルシアターをオープンしました。
平塚さんは「目の見えない人も映画を観たいと思っていた」ことを知り、サポート活動スタート。
言葉による映像の解説(音声ガイド)を独自でいち早く手がけ、上映する全作品に日本語字幕を付けて投影。
目の見えない人も、耳の聞こえない人も、車いすの人も、小さなお子様連れの人、どんな人も一緒に映画を楽しめるようにしています。
クラウドファンディングで映画館設立資金を調達
映画館に入ってすぐの左の壁にあるのが「チュプキの樹」という壁画。葉っぱには映画館設立のためにクラウドファンディングなどで支援してくれた人たちの名前が。
映画館設立には1500万円を超える莫大な資金が必要でしたが、たった3ヶ月で531名もの人々の賛同が得られ、約1880万円を調達。物件の契約金、防音工事費、音響・映写設備費。内装費など設立にかかる資金のすべてを募金でまかなうことができたそうです。
また、映画館にとっては重要な上映作品にまつわるクラウドファンディングも実施し、国内の映画館のほとんどが取り入れているデジタルデータによる映写の国際規格・DCP(デジタル・シネマ・パッケージ)導入資金も達成。
人気の社会や環境に問題意識を持った映画はもちろん、アニメなどのエンタメ作品もさらに充実。バラエティーに富んだラインナップが上映されています。
<館内の壁には舞台挨拶で訪れた、監督や出演者たちからのメッセージがずらりと並んでいます>
森の中をイメージした映画館
映画館のイメージは“森のなかにあるシアター”。屋内にいながら野外上映気分が味わえるような空間です。上映前に流す映像では、森の朝から夜までを表現。小鳥のさえずりや、カエルの鳴き声などが聴こえて癒やされます。
音で映画をイメージする視覚障がい者の方々のために、できるだけよい音環境を創りたいと音響監督の岩浪美和さんが音響設計を全て監修・コーディネート。劇場の前面、側面、後面そして天井にまでスピーカーを配置し、豊かな森にいるような360℃優しく包まれる音響を「フォレストサウンド」と命名したそうです。
映画館では常時日本語字幕付き上映を行い、全席に音声ガイドや本編の音の調整ができるイヤホンジャックを搭載。振動で音を体感できる抱っこスピーカーの用意、小さい子供連れの方のために完全防音の親子鑑賞室が設置されているほか、車椅子スペースも確保。
どんな人も安心して映画を楽しめるやさしい映画館ならではの気遣いがあふれています。
「シネマ・チュプキ・タバタ」代表・平塚千穂子さん
「シネマ・チュプキ・タバタは、障がい者と健常者が一緒に映画を楽しめる場所です。日常を離れてぜひ遊びにきてください」(平塚さん)
「シネマ・チュプキ・タバタ」代表・平塚千穂子さんおすすめの映画
家族以外は創作の現場を見たことがなかった、画家・西村一成さんの1年を記録したドキュメンタリー・ムービー。「シネマ・チュプキ・タバタ」での公開は10/1〜15まで(水曜休館・予約推奨)
「ご近所のギャラリーOGUMAGさんとコラボ企画で、10/3〜20まで、画家・西村一成さんの作品展も行っています。是非、生の西村さんの絵もご鑑賞ください。
10/5 には、ブラインドコミュニケーターの石井健介さんと雑談しながら絵を鑑賞する雑談型鑑賞会も行います。詳しくは、是非、ホームページや予約サイトをご覧ください」(平塚さん)
「シネマ・チュプキ・タバタ」情報
CINEMA Chupki TABATA(シネマ・チュプキ・タバタ)
東京都北区東田端2-8-4
03-6240-8480
水曜定休
JR山手線・京浜東北線 田端駅北口を出て、右方向徒歩5分
※田端駅北口有人改札にて地図を配布しています。
取材:TVマガ編集部
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※ページの情報は2024年9月30日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。