東京で唯一の木造建築の映画館シネマネコ【青梅の人々の憩いの場所】
家で映画を観るのもいいけれど、たまには気分を変えて映画館に足を運んでみるのはいかがでしょうか?
ミニシアターなら、他の映画館では上映していない特別な作品に出会えます。
そこでTVマガでは東京都内の素敵なミニシアターを取材。ミニシアターならではの映画の楽しみ方を紹介します。
目次
「シネマネコ」とは?映画館の名前の由来
今回「ミニシアター探訪」vol.3でご紹介するミニシアターは、青梅にある「シネマネコ」です。
青梅はかつて繊維の街で、蚕を狙うネズミ対策としてネコが多く飼われていました。現在では「西ノ猫町」として、猫をテーマにしたイベントが行われていたり、地元ならではのネコグッズが販売されていたりします。
青梅の街の歴史を知ってもらいたいという意図もあり、映画館の名前は「シネマネコ」となりました。
青梅の街と映画のつながり
映画の街を復活させたい
かつての青梅には映画館が3館ありましたが、時代の流れとともに全ての映画館が廃館となりました。
「青梅の街に映画館が復活したら嬉しい」という地元の方の声をもとに、地元で飲食店を経営されている菊池さんが、映画館を復活させるプロジェクトをスタート。国の補助金や地元企業の協賛、クラウドファンディングを活用して資金調達をし、2021年にシネマネコが誕生しました。
久保板観さんの映画看板が彩った商店街
青梅の商店街には、映画看板の製作者として有名な久保板観さんの作品が多く残り、昭和レトロな雰囲気に包まれていました。
現在、商店街の看板は台風の影響で撤去されてしまいましたが、彼の作品は今でも人々の心の中に残っており「青梅=映画の街」というイメージが根付いています。
東京で唯一の木造建築映画館 × 最新の映画設備
リノベしたこだわりのシアタールーム
シネマネコは東京都で唯一の木造建築の映画館で、青梅織物工業協同組合の敷地にある旧都立繊維試験場をリノベーションしています。国登録有形文化財のため、建物の外観を変えることができず、内装のみを改装し映画館に作り変えています。
扉をあけた途端、木の香りが漂ってきます。高い天井を見上げると、梁が剥き出しになっておりとても開放感があり、ひと目で木造建築という事がわかります。歴史を感じられる空間でありながら、最新の上映設備が導入されているため、特別な映画体験ができます。
新潟のミニシアターから受け継いだ大切な椅子
シアタールームの椅子は、閉館した新潟のミニシアター「十日町シネマパラダイス」で使用していたものです。
シネマネコの企画立ち上げ時に、理想的な紫色の椅子があったのですが、新品では値段が高く諦めていたそう。しかしタイミング良く「十日町シネマパラダイス」の館長さんからぜひ椅子を使って欲しいという連絡があり、それが偶然にも理想の紫色の椅子だったそうです。
閉館してからもずっと大切に保管されていた椅子は、上映時間が長い作品でも体が痛くならないほど座り心地の良いフランスのキネット社製の椅子です。
シネマネコのカフェは憩いの場に
シネマネコにはカフェが併設されています。映画が終わった後に感想を話す場として、カフェを利用される方も多いそう。また、お茶をしながら次に何の映画を見るか約束する場所にもなっています。
カフェメニューも豊富で、「本日のキッシュ」や「昔ながらのナポリタン」、猫の形をした「フレンチトースト」、シネマネコの外観に合わせた爽やかなブルーの「シネマネコソーダ」などが人気です。
時期によっては上映中の映画に合わせた特別メニューも提供されており、映画館ならではの贅沢な時間を楽しむことができます。
また、カフェの本棚は地元の二人組ユニット「なつとみち」さんがディスプレイを担当しています。季節や上映中の映画によって本棚に並ぶ本も変わるため、いつ来ても新しい発見があります。
カフェの大きな窓から見える自然も醍醐味のひとつで、春には桜を眺められるそうです。
マスコットキャラクターのきんちゃん・ぎんちゃん
シネマネコには、マスコットキャラクターのきんちゃん・ぎんちゃんがいます。
シネマネコ支配人の菊池さんが飼っているネコの金閣ちゃん・銀閣ちゃんがモデルです。イラストは菊池さんと菊池さんの奥様が書いており、映画館オープン当初から活躍しています。
グッズは公式サイトから購入することも可能です。
【教えてくれた人】シネマネコ支配人・菊池康弘さん
様々なジャンルの作品を上映し、多くの人に楽しんで欲しい
「シネマネコでは、ジャンルにこだわらず多様な作品を上映しています。ひとつのジャンルに限定しないのは、より多くの人に楽しんでもらいたいという思いがあるからです。
また、館内では上映して欲しい映画をリクエストする投票用紙も用意してあります。全員の要望に応えることは難しいですが、多くの人に喜んでもらえる作品を上映しようと思っています。」
映画をみるだけでなく、居心地の良い空間として楽しんで欲しい
「シネマネコは、映画をみたり、カフェでお茶をしたり、交流をしたり、自分の時間をゆっくり楽しんだりすることができる場所です。単に映画を見る場所ではなく、居心地の良い空間として、多くの人々に愛される場所になればと願っています。
都内に住んでいる方にとっては少し遠い場所ですが、観光や遊びのついでに寄ってもらえたら嬉しいです。青梅は自然が豊かで、ハイキング・ラフティング・カヤック・トレイルランニングなどのアウトドア体験もおすすめです。」
シネマネコ支配人・菊池康弘さんおすすめ作品
小さい頃からジブリを見て育ったという菊池さんが、思い出の作品を2つ紹介してくれました。
猫の恩返し
「実は「猫の恩返し」は、シネマネコのこけら落としの作品です。シネマネコのオープン前に宮崎駿監督に手紙を出して「ネコのでてくるジブリ作品を上映させてください」とお願いしました。「猫の恩返しが良いのではないか?」と上映許可のお返事がをもらえて、嬉しかったです。」
風の谷のナウシカ
「ジブリ作品はどれも好きですが、その中でも特に「風の谷のナウシカ」が好きです。テレビでは何十回も見ていましたが、新型コロナウイルス拡大時にリバイバル上映があり、初めて映画館で鑑賞しました。劇場で作品を見たときの感動が忘れられません。」
シネマネコ情報
東京都青梅市西分町3丁目123 青梅織物工業協同組合敷地内
0428-28-0051
公式サイト
【アクセス】
JR青梅線 東青梅駅下車 徒歩7分
JR青梅線 青梅駅下車 徒歩15分
提携駐車場あり(1作品につき2時間分のサービス券)
【定休日】
火曜日
【チケット】
特別ネコ会員 1,000円(年会費2000円 ※入会日より1年間有効)
一般 1,900円
大学・専門生 1,500円
高校生 1,000円
小・中学生 800円
幼児 500円
シニア割引 1,300円
障がい者 1,000円
ファーストデイ 1,100円(毎月1日)
サービスデイ 1,200円(毎週水曜日)
ネコデイ 1,000円(毎月2・12・22の2がつく日)
取材・撮影:TVマガ編集部
※ページの情報は2024年4月26日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。