若手監督を応援する取り組みも…国内で一番歴史のある渋谷のミニシアター「ユーロスペース」
家で映画を観るのもいいけれど、たまには気分を変えて映画館に足を運んでみるのはいかがでしょうか?
ミニシアターなら、他の映画館では上映していない特別な作品に出会えます。
そこでTVマガでは都内の素敵なミニシアターを取材。ミニシアターならではの映画の楽しみ方を紹介します。
目次
草分け的存在「岩波ホール」が閉館…ユーロスペースが国内一番歴史のあるミニシアターに
今回「ミニシアター探訪」vol.2でご紹介するミニシアターは2つのスクリーンとライブホールを併設する渋谷「ユーロスペース」です。
ミニシアターブームのさなか、1982年に渋谷の桜丘にオープン。
2005年からスクリーンをより大きく、音響もより良いものにと円山町に移転しました。桜丘の頃は賃貸でしたが、「自分たちの映画館を作りたい」との想いから円山町にビルを建てて運営しているそうです。
上映作品は大きな映画館では上映されないものの、いずれもクオリティが高い作品ばかり。
こういった作品を上映していたミニシアターの先駆けは1968年開館、2022年に惜しまれつつ閉館した岩波ホールとされています。
1980年代のミニシアターブームにのって東京で開業した数々の劇場が姿を消し、ユーロスペースが国内で一番歴史のあるミニシアターになりました。
「心に刺さる度合いが違う」サブスクでは味わえない映画館ならではの醍醐味
生活の中にサブスクリプションが浸透し、映画が自宅や移動中のスマホで見られる時代。
でも、大きなスクリーンで集まったお客さんと一緒に同じ作品を見る映画館ならではの醍醐味があると教えてくれるのは、ユーロスペース支配人の北條誠人さん。
「映画館の大きなスクリーンで見ると心に刺さる度合いが違う。みんなと同じ真っ暗の空間で見ていると、作り手の伝えたいことが刺さってくるんです。これこそ映画作品のおもしろさ。映画って伝えるものだと思うから。サブスクで数をこなしていくよりも、1本1本と向き合っていってほしい」(北條誠人さん)
日本映画の未来を創る、若手映画監督との交流
有名な監督の作品以外は、せっかく映画を撮っても映画館で上映されないことが多くあり、中には配信だけにとどまるケースも少なくないのだとか。
しかし、ユーロスペースでは若い世代の監督の作品を上映、舞台挨拶も数多く行っています。
上映後にQ&Aコーナーを設けて対話したり、ロビーでお客さんから直接リアクションがもらえる機会を作ったりも。
日本映画の未来を創る若手監督たちの学びや、次の作品につながるような取り組みはミニシアターならではのものです。
【教えてくれた人】ユーロスペース支配人の北條誠人さん
「上映がはじまる前に自分と同じ映画を見る人はどんな人かな?どんな過ごし方をしているのかな?見終わったら一緒に見た人はどんな感情になっているのか?…など来場者の方を少し気にかけてみるのも面白いと思います。またパブリシティーボードを見て自分の気づかなかった映画の見方や、出てこなかった言葉を探して映画の余韻にひたってほしいですね」
ユーロスペース支配人の北條誠人さんおすすめ作品
「正義の行方」4/27(土)よりユーロスペースにて公開
「福岡県下の飯塚事件が題材になっているドキュメンタリー作品です。犯人が逮捕されて死刑が執行されましたが実は冤罪じゃないかと言われています。一方的な視点で冤罪をあばくという構成ではないのがこの作品の興味深いところ。警察官、記者、弁護士の証言があり、ひとつの証言を聞いて納得して、次の証言を聞いてまた納得する。だからどの証言が正しいのかわからず、絶えず自分がブレていくんです。その感覚が面白い。あなたはどっち?と問いかけられます。真実はひとつなんだけど、人によって正義が違うんです」
ユーロスペース情報
渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 2F(ユーロライブ)/3F(ユーロスペース)/4F(事務所)
03-3461-0211
公式サイト
【アクセス】
●「渋谷駅ハチ公前」 → 「109」の右側の文化村通り → (約3分)→ 「東急本店」と「スターバックス」の間 → 「Bunkamura前交差点(松濤郵便局前)」を左折 → 60m先右側
●「渋谷駅」→「マークシティ内通路」を通り抜け →「道玄坂上交番前」信号を渡り →「セブンイレブン」の左側の道を下る →150m先左側
【チケット】
基本料金:一般1,900円/大学・専門学校生1,400円/会員・シニア1,300円/高校生800円(オンラインは900円)/中学生以下500円(オンラインは600円)
取材・撮影:TVマガ編集部
※ページの情報は2024年4月9日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。