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完璧に設計されたキャラの成長物語が熱い!「僕のヒーローアカデミア」の5つの魅力

#SYO
2021年8月6日 by

映画ライターのSYOと申します。TVマガではこれまで人気実力派俳優の方々や『鬼滅の刃』『呪術廻戦』といった漫画/アニメについて魅力を書かせていただいてきましたが、遂にこの日がやってきました……。今回は、僕がこの世で最も好きな漫画『僕のヒーローアカデミア』について、アニメ版も絡めた「5つの魅力」を書かせていただきます。

堀越耕平先生による『僕のヒーローアカデミア』、略して『ヒロアカ』は、2014年7月より「週刊少年ジャンプ」で連載されている大人気作品。2016年にはTVアニメ化され、劇場版はこれまで3作品制作されました。最新作『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』は、8月6日に全国公開を迎えます(ゲスト声優は大のヒロアカ好き吉沢亮さん・主題歌&挿入歌はASIAN KUNG-FU GENERATION!)。

『ヒロアカ』が面白い要素を挙げたら、正直キリがありません。過去に「BRUTUS」の漫画特集で推させていただいたのですが、堀越先生の飛びぬけた画力&デザイン性や、緻密に計算されたエモーショナルな物語、心震わす名ゼリフ、愛すべきキャラクターたち……。ただ、それは皆さん既知かと思います。今回は、連載開始号をいまだに大切に保管しているガチファンの視点から、「実はここが凄いんだ」な魅力を語っていきたいと思います。

※アニメ化済みまでの内容にとどめますので、ご安心を!

引用: U-NEXT

1 ヒーローが「職業」になった世界… 設定が秀逸!

引用: U-NEXT

『僕のヒーローアカデミア』は、堀越先生が2008年に発表した読切『僕のヒーロー』が原点(オリジン)ですが、この時点である面白い特徴があります。それは「ヒーローが資格制の職業」ということ。敵(ヴィラン)や災害等々から人々を護る存在であり、スターでもある「プロヒーロー」ですね。

主人公の緑谷出久は最高のプロヒーローを目指して、ヒーロー養成高校に入学。仲間たちと切磋琢磨しながら成長していく……というのがベースのストーリーであり、そこに「個性」と呼ばれる特殊能力の設定が絡んでくるわけですが、あくまで現実を下敷きにしているところが特色。出久たちは職場体験やインターン、仮免試験といった様々なイベントをこなし、プロを目指していきます。この辺り、僕たちの人生とも通じますよね。

「異能力バトルもの」でありながら、お金の問題や社会システムについても細かな設定が施されている『ヒロアカ』は、ご都合主義的な展開が皆無。僕自身、ドラマや映画を観ていても整合性に欠けているとなかなかノレないのですが、本作に関しては一切そんなことがありません(むしろ最新話を読むたびにハマりすぎて泣きはらす始末……)。

2 アメコミ映画好きにも刺さる! 「現実」×「ヒーロー」

先ほど挙げたリアルな「設定」は、何に通じるか。そう、マーベルやDCといったアメコミ原作の映画です。たとえば『アベンジャーズ』シリーズでは、ヒーローが強すぎるがゆえに国連が管理しようとする展開があり、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』では、敵を倒すために街をドッカンドッカン破壊したスーパーマンが不始末の責任を取らされます。荒唐無稽な作品に見えて、ちゃんと僕たちが生きる世界とのリンクが張られているのです。

そうした意味で、『ヒロアカ』は近年のアメコミ映画好きには「わかる」の連続。『スパイダーマン』では主人公がヒーロー活動をやり過ぎてバイトが続かず貧乏、というくだりがありますが、『ヒロアカ』の世界ではヒーロー活動が仕事になるので専念できます(もちろん認可された場合のみ)。ちょっとしたアップデートがなされているわけですね。そのほか、『ヒロアカ』の劇中にはアメコミやハリウッド映画の小ネタがたくさん出てくるのでニヤニヤさせられます。

また『ヒロアカ』ではコスチュームを着る「理由」もちゃんと描かれます。コスチュームを着ることでヒーローの存在をアピールし、犯罪抑制につながる、グッズが発売されるから経済が回る、コスチュームを作る仕事がある等々……。反対にヴィランであれば、顔を隠すため、着ることで強迫観念から抜け出せる等々……。そうした細部のこだわりが、作品全体の説得力につながっているように思います。

3 シビアとリアルな目線で光る「不断の努力」

そうした目線は、出久のキャラクター性にもつながっています。彼は、周囲のほとんどの人が持っている「個性」が発現せず、ずっと孤独感を抱えていました。そんななか、トップヒーローのオールマイトに個性を授かり、運命が変わっていきます。その経緯も関連しているのですが、序盤から最新話に至るまで、『ヒロアカ』は「努力」を描き続けています。

本作は「いま現在できることとできないこと」が克明に描かれており、努力を日々続け、鍛錬を積むことでひとつずつできることが増えてきます。4歳までに個性が発現する世界で、15歳で個性を譲渡された出久はいわば、10年以上出遅れた状態。その“差”を埋めるために、努力と持ち前の知性でカバーする必要があるのです(ちょうどいま放送中のアニメ第5期でも、この描写がありますよね)。

主人公がただただド根性で頑張る作品も面白いのですが、『ヒロアカ』はそこに必然性をちゃんと持たせ、同時に「想いが強すぎて失敗する」も描写。出久は成長の過程で多数の重傷を負いますが、その傷跡を消さずに蓄積させていくのも、『ヒロアカ』ならではのリアルでシビアな演出といえます。こうした真摯な演出があるので、バトルもドラマも、“熱さ”が段違いなのです。

4 各キャラの成長曲線がブレない! 完璧な「継続性」

この「熱さ」には、丁寧な成長物語の積み上げが寄与しています。出久の幼なじみでありライバルへとなっていく爆豪勝己や、クラスメイトの轟焦凍も「ひとつずつ」しか強くなっていきません。

出久と対照的に、爆豪は戦闘力は抜群ですが精神が未成熟なのが難点。しかし、多くの挫折を経験してそのたびに這い上がっていき、出久との関係も「いじめっ子といじめられっ子」だったのが、対等で真っ当な関係に変わっていきます。轟も父親との確執を一歩ずつ乗り越えようと努力し、心身共にヒーローの器へと成長していきます。

そして、彼らのレベルアップが物語とがっつり連動しており(それだけでなく、ヴィランをメインにした“修行編”も約20話にわたって描いているのです!)、彼らの言動も「あの頃があるから、いまこう発言する/動く」が滅茶苦茶丁寧に紡がれています。たとえばアニメ5期で描かれた合同戦闘訓練などは、その好例ですね。

各キャラクターの物語に、しっかりと継続性があること。そのため、個々の性格が破綻することがなく、読む側/観る側も安心して推せるのではないでしょうか。

5 演技も作画もプルスウルトラ! アニメの「クオリティ」が神

『ヒロアカ』には合言葉として「プルスウルトラ(更に向こうへ)」があります。出久が通う雄英高校の“校訓”であり、「常に限界を超えてゆけ」というような意味合いがあります(多くのマーベルヒーローの生みの親スタン・リーのキメゼリフ「エクセルシオール(向上せよ)」とも通じますね)。

その精神を各々が発揮していくわけですが、アニメ版もまさにそう。キャストの演技も、各スタッフの仕事も、熱量が毎話とんでもなく高いのです。喉を潰してしまうのではないかとこっちが心配になるくらいの生々しい演技で出久の必死さを体現する山下大輝さんはじめキャスト陣の魂の力演、ダイナミックなバトル演出に、神作画の連続……。オリジナル演出やエピソードも『ヒロアカ』愛がほとばしっており、原作ファンの目線で観てもたまらないものがあります(林ゆうきさんのサントラも非常に熱い!)。

TVアニメはもちろんなのですが、劇場版では第1作で「出久とオールマイトの夢の共闘」、第2作で「出久と爆豪の衝撃の共闘」(原作のラストの展開のアイデアのひとつを提供)と、びっくりするようなアイデアを投入。第3作では何が観られるのか……。期待が膨らみます。

まとめ

『僕のヒーローアカデミア』の原作は「終章」に突入し、毎話「嘘だろ……」な展開が連続。TVアニメ第5期に映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』、さらには原画展『僕のヒーローアカデミア展 DRAWING SMASH』もあり(最高でした)、2021年は『ヒロアカ』イヤーといっても過言ではありません。これを機に、ハマっていただけたらいちファンとして非常に嬉しく思います。

「僕のヒーローアカデミア」は動画配信サイト U-NEXT で視聴することができます!

※ページの情報は2021年8月6日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。


SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「新R25」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」

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