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「SPY×FAMILY」ファンを虜にする魅力を徹底分析【映画ライターが解説】

#FOD
2024年1月23日 by
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TVマガをご覧のみなさま、ライターのSYOと申します。毎回俳優さんの魅力を5つのポイントで分析させていただいている連載、今回はアニメ編をお送りします。

春ドラマ&アニメが折り返しに入ってきた今日この頃。“推し”の作品が盛り上がってきたタイミングかと思います。TVアニメにおいては、遠藤達哉さんによる人気漫画(ジャンプ+で連載中)を原作とする「SPY×FAMILY」が圧倒的な強さを見せつけている印象です。本作は分割2クール放送(1クール=約3ヶ月。分割2クールの場合は、3ヶ月放送ののち一定期間を空けてまた3ヶ月放送する形)のため、今後ますます人気が上がっていきそうです。

そこで今回は、「SPY×FAMILY」の魅力を原作とアニメを横断しつつ、5つのパートに分けて考えていきます。

引用: FOD

「SPY×FAMILY」魅力①一発で内容がわかる!「設定のわかりやすさ」

SPY×FAMILY,動画

引用: FOD

そもそも漫画「SPY×FAMILY」は、2019年に連載開始されて以降、ジャンプ+の看板作品としてけん引している人気作。それまでは「彼方のアストラ」「地獄楽」(いずれもアニメ化された人気作)といった作品がヒットしており、それらに続く形といえます。

作者の遠藤先生ご自身のキャリアが長く、「青の祓魔師」「この音とまれ!」等のアシスタントも経験(加藤和恵先生・アミュー先生とはお互いの作品を手伝う関係性)。画力の高さ、作劇のクオリティは言うまでもないのですが、いち読者として感じるのは「わかりやすさ」です。

「SPY×FAMILY」の基本構造は「父=スパイ、母=殺し屋、娘=超能力者による疑似家族もの」。この一言で説明できるところに、大きな強みがあるように感じます。キャラが立っているためわかりやすいし、この3人が家族だったらどうするだろう?と設定を聞いただけで色々と想像が膨らみますよね。もっというと、「3人とも“家族”に正体を明かせない」が入ることで、スパイ映画的な王道展開の面白さも生まれてくる。

「微妙な関係にある東国(オスタニア)と西国(ウェスタリス)。東国が戦争を仕掛けようとしている動きをキャッチした西国の諜報員<黄昏>は、標的の動向を探るために偽の家族を作り、子どもを名門校に入学させるミッションに臨む」といったしっかりした設定があり、戦争がいつ起こるかわからないシリアスな背景があるのですが、その“重さ”を第一印象で感じさせない。

むしろ「それぞれに正体を明かせない疑似家族が繰り広げる騒動」「世界平和のためのミッション」といったエンタメ感でまずユーザーを引き込み、そこから上記のようなシリアスな部分が立ち上がってくる二段構え的なつくりにしていることで、ハマった人間が“深み”を感じられるようになっているのです。

つまり、観る者を選ばない間口の広さがまずあって、深掘りしていくことで面白さが広がっていく強さも備えている。しかも、「スパイ」「殺し屋」「超能力者」それぞれを扱ってきた過去の人気コンテンツが作り上げたパブリックイメージも上手に活用しており、非常に上手い設定だと感じます。

「SPY×FAMILY」は動画配信サイト FOD で視聴することができます!

「SPY×FAMILY」魅力②とにかく見やすい!ライト層も引き込む「コメディ×ほっこり」

上に挙げたような「設定」の面白さを引き立たせるのが、「ストーリー」と「キャラクター」です。

設定が目を引きストーリーも面白く、かつキャラクターが魅力的となればヒットするのは必定。ここには端的に言って「エッジー(狭い層に刺す。少数ながら濃いファンが生まれやすい)」と「キャッチー(広い層に刺す。ライトながら数多くのファンが生まれやすい)」といった「どっちに振るか」といったテイストやアプローチの違いがありますが、「SPY×FAMILY」においてはライト層を引き込むエンタメに綺麗に振っている印象です。

その屋台骨といえるのが、基本的なテイストをコメディにしているところ。しかもニッチな笑いではなく、設定の面白さに引き続き「わかりやすい」王道な笑いを多数盛り込んでいるところが爽快です。フォージャー家の3人はいつもトラブルに見舞われてしまい、「娘役のアーニャを特待生にして標的(特待生だけが参加できるイベントにしか顔を出さない)に近づく」任務が遅々として進まない……。そんなドタバタ感が絶妙に「見やすい」のです。

さらにそこに、家族ドラマを入れ込んでいる点も秀逸。黄昏は戦争で大切な人々を亡くし、ヨルは生きるために殺し屋の道を選び、アーニャは人体実験の被験者。それぞれに孤独感を抱えている面々が、仮初の家族になることで安らぎを見出す……というほっこりできて、時にホロリとさせられる描写の数々も、観る者の心をつかむ重要な要素といえます。

「SPY×FAMILY」魅力③「ギャップ」が光る!“だけじゃない”魅力的なキャラクター

SPY×FAMILY,漫画

引用: ebookjapan

そして、先ほども軽く触れたキャラクターの魅力について。「黄昏=ロイドがカッコいい」「ヨルが美しい」「アーニャがかわいい」といったルック面のキャラクターデザインの強さがまずあって、そこに「コメディ」を入れ込むことによるそれぞれの表情を含めた“変化”が加わり、キャラクターにギャップが生まれます。

たとえば、敏腕スパイの黄昏(ロイド)が父親として振る舞うと全然うまくいかなかったり、妻役のヨルが普段はおっとりしているのにところどころで殺し屋スキルを発動してしまったり……といった部分を、心が読めるアーニャが全部わかっていてリアクションする、といった“関係性コント”の上手さが、非常に効いています。特にアーニャの表情の豊かさは有名で、「アーニャのベスト表情コンテスト」が行われたほど。

やはり、ただ「カッコいい」「美しい」「かわいい」、あるいは「面白い」だけだと多くの人の心をつかみ“続ける”のは難しく、失敗したり絶望したりといったある種の“カッコ悪さ”が加わることによってより人物像に深みが増し、共感性も生まれてくるというもの。そこに「正体がバレてはいけない」という駆け引きが入るのも巧みで、「設定」「ストーリー」「キャラクター」それぞれが有機的に作用しあっている点も重要なポイントです。

黄昏、ヨル、アーニャ以外にも、ユーザーが好きになる要素にあふれたキャラクターが「SPY×FAMILY」には続々と登場します。各キャラクターの誕生秘話などは、「SPY×FAMILY 公式ファンブック EYES ONLY」が非常に面白いので、興味がある方はぜひ読んでみてください。

「SPY×FAMILY」魅力④キャラがそこにいる感覚に…ドハマりしている声優陣の「表現力」

そうしたキャラクターの魅力を、より引き立てているのがアニメ化した際の声優陣の面々。黄昏=ロイド役の江口拓也さん、アーニャ役の種﨑敦美さん、ヨル役の早見沙織さんが控えめに言ってドハマりしている印象です。

たとえば江口さんは、感情を抑えた黄昏の“平時”をクールに演じつつ、脳内の「なっ!」「おい!」といったような驚き/ツッコミをギャップある演技で魅せています。黄昏はモノローグが非常に多いキャラクターで、本音と建前(周囲へのふるまい)の違いだったり、テンパってしまった後の「落ち着け黄昏……」といったような自分ツッコミ&なだめすかしもほほ笑ましい限りです。

そして早見さんは、ヨルの“お仕事モード”に怖さやヤバさといった闇属性をもたらす演技を披露。基本的にゆったりと話すタイプのヨルですが、ロイドやアーニャといる際の安心感、ふたりに嫌われないようにしなければ!と奮闘する際のいじらしさと、殺し屋として動く際の違いにゾクッとさせられます。「ものすごくパキッと声色を変えているわけではない」ように見える高度なテクニックを使用しつつ、ダークさを醸し出す表現力が光ります。

そして種﨑さんは、「どひゃ!」や「あわわわわ」「わくわくっ」といったようなリアクションが大きいアーニャのキュートさを見事に表現。優等生ではないけれど、とにかく一生懸命に頑張るアーニャがちゃんと「生きている」ように見えるのが流石です。原作を読んでいただくと、アーニャのセリフはほぼひらがな表記になっていることに気づくかと思います。これは彼女の言語力を示したものですが、それが種﨑さんの演技に変換された際の説得力たるや。「ちち」「はは」「じなん」といった独特の呼び方も、抜群にハマっています。

演技派3人の掛け合いの面白さは言わずもがな。毎週「あの家族に会いたい」と思える素敵なチームワークを披露しています。

「SPY×FAMILY」魅力⑤作画・色調・演出…アニメーションの「完成度」

アニメーション部分においても、作画はもちろん魅せ方が実にハイクオリティ。本作の制作はWIT STUDIO×CloverWorksなのですが、WIT STUDIOは「バブル」「王様ランキング」「恋は雨上がりのように」「進撃の巨人」(Season3まで)を手掛け、CloverWorksは「その着せ替え人形は恋をする」「空の青さを知る人よ」等、それぞれにいくつもの話題作を送り出してきたスタジオです。監督の古橋一浩さんは、「るろうに剣心 明治剣客浪漫譚」を手掛けた方ですね。

昨今の国内アニメーションのひとつの注目ポイントといえるダイナミックなカメラワークとアクション演出もしっかりと盛り込まれつつ(これによってヨルの突出した戦闘力が一目瞭然!)、カラッとした空気感や明るい色遣いなども作品の「わかりやすさ」に寄与しているように感じます。テンポ感も非常によく、会話の面白さをスピーディに魅せてくれるため中だるみすることなく毎話楽しむことができる。

また、第7話では標的の次男であるダミアンがアーニャにときめくシーンがあるのですが、花びらが舞う演出や「アーニャがよりかわいらしく見えてくる」シーンの目のハイライト(キラキラさせる)の演出の美麗さは、放送時に大いに話題を集めました。

Official髭男dismと星野源さんの楽曲が彩るOP/ED映像のおしゃれな演出(往年のスパイ映画風に味付けしたり、モンドリアン的な演出を施したり、カラーリングも素晴らしい)含め、画的な面でも満足度が非常に高い作品です。

まとめ

自分自身、いち読者として「SPY×FAMILY」の更新を毎回楽しみにしている人間ですが、本作を読むといつも「ふふっ」とさせられますし、TVアニメは毎週わくわくさせられる娯楽時間。まず「楽しませる」があるからこそ、根底にある「戦争」や「対立」の恐ろしさが引き立ち、「平和」の象徴としての「家族」への愛情が一層強くなっていくようにも感じます。

アニメ/漫画問わず、残酷描写が多い作品が増えてきたなかで、細心の注意を払ったバランスで成り立っている「SPY×FAMILY」。今後アニメ化されるであろうエピソードには突き刺さる内容のものもあり、本作のさらなる奥行きを見せてくれることでしょう。

「SPY×FAMILY」は動画配信サイト FOD で視聴することができます!

※ページの情報は2024年1月23日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「装苑」「CREA」等に寄稿。劇場公開映画の脚本・編集協力や映画祭の審査員等も務める。

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