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多彩な表情から目が離せない、愛される役者上白石萌音の5つの才能【映画ライターが分析】

#上白石萌音
2021年2月4日 by
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映画ライターのSYOと申します。日本のドラマ・映画界に欠かせない俳優さんの「5つの魅力」を分析する本企画、第19回は上白石萌音さんについて書かせていただきます。

現在放送中のドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』で主演を務めるなど、人気急上昇中の彼女。2011年から活動を始め、今年はデビュー10周年の節目の年となります。2016年のアニメーション映画『君の名は。』などで声優としての才能も発揮し、2020年のドラマ『恋はつづくよどこまでも』でさらに飛躍した印象です。

今回は改めて、彼女の魅力を考えていきたいと思います。

引用:Amazon

1 活躍できないフィールドがない! 偏りのない“万能型”の俳優

引用:Amazon

上白石萌音さんには、いくつか大きく注目された作品があります。まずは2014年の初主演映画『舞妓はレディ』。約800人の中から主役に抜てきされ、話題となりました。そして『君の名は。』、さらに『恋はつづくよどこまでも』。もっといえば、デビュー間もない時期にミュージカルで主演を経験しています。

もちろん、細かく見ていけば他にも多数の注目作はありますが、ざっくり見ただけでも面白いのは、実写映画・アニメ映画・テレビドラマ・舞台と形態を問わずに優れたパフォーマンスを発揮しているところ。これは、他の俳優さんと比べてもなかなかない特長かと思います(さらに、音楽活動もされているわけで……)。

俳優も声優もできて、ミュージシャンでもある。それぞれに違った魅力を発揮できるマルチプレイヤーであること、これがまず大きな「才能」として挙げられるかと思います。

2 流れるような“受け”の演技。振りまわされ系キャラがハマる

さらに上白石萌音さんの独自性は、主役を務める作品であっても「振り回され系」の傾向が強いこと。『恋はつづくよどこまでも』でも『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』でも、ベースは相手役に振り回されるポジション。そんな中でも奮闘し、どんどん自分が「振り回す」側に回っていく――。そんなキャラクターを見事に演じてきました。

つまり、出発点は「受け」のキャラクターであるということ。映画『ちはやふる』も、映画『溺れるナイフ』も、主人公を見守るキャラクターであり、上白石萌音さんの受けの演技が光っていました。

一概には言えないのですが、攻めの演技と受けの演技は、前者がエネルギー、後者がテクニックをより必要とするように感じます。攻めの演技の場合は出力を最大限にして周囲を圧倒することを求められ、受けの演技の場合は全体を見つつ、バランスを整える役割を要求されることが多い。そう考えると、上白石萌音さんはご本人の魅力もさることながら、テクニックもずば抜けていることがわかります。

ちなみに『恋はつづくよどこまでも』においては、佐藤健さんとのイニシアティブの取り合いが非常に面白い。お2人の演技の駆け引きが、そのままキャラクターの関係性の変化に直結していました。

3 演技の“鮮度”を担保する、リアクションの多彩さ

ここからは、もう少し上白石萌音さんならではの演技の魅力を考えていきましょう。『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』を観ていても感じるのは、彼女の表情の豊かさです。目を丸くしてびっくりしたり、無理難題を吹っ掛けられて困ったり、不意に嬉しいことが起こってニヤニヤしたり……「受け」の演技にも通じる、リアクションの表出が実にスムーズ。

この部分、「演技の鮮度」にも関わる非常に重要な要素です。というのも、役者というものはほとんどの場合、台本を読み、その先に起こることを知っているから。知っているのに知らないふりをして、新鮮な反応を示さねばならない――。矛盾をいかにリアルに魅せていくかが問われるシビアな職業ですが、上白石萌音さんの演技からはあざとさがまるで感じられません。

ドラマ『恋はつづくよどこまでも』や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』のようなにぎやかな作品でも、映画『羊と鋼の森』のような繊細な作品も、髪の毛をピンクのメッシュに染めて挑んだ映画『スタートアップ・ガールズ』のようなチャレンジングなものでも……。上白石萌音さんの演技には、リアリティが横たわっています。

4 キャラの“好感度”が抜群! 役の奥に、人柄がにじむ

そして……。これも上白石萌音さんの演技の特異性と言えるかと思いますが、とにかく観る者に「好きにならせる」能力が高い。これは「共感」とは少し異なっていると思います。自分とは別個の人間だと認識しながらも、応援したくなってしまう――。これはもう、彼女の人間的魅力としか言いようがありません。

もちろん、脚本の段階で「一生懸命でまっすぐなキャラクター」や「主人公を見守る優しい同級生」といった共感性の高いキャラクターを設定することはできますが、上白石萌音さんの場合は、脚本のアシストはあるにせよ、その範疇を大幅に超えた“人徳”をもたらすことができるように感じます。それは、バラエティ番組や、佐藤健さんの番組『たけてれ』に出演したときにもにじみ出ていますよね。端的に言えば「いいひとオーラ」や「マイナスイオン」に近い、人間力があふれています。

だからこそ、とことんダークなキャラクターなど、真逆の役柄を観てみたい気もします。この辺りは、今後の俳優活動の中でどんどん見られていくかもしれません。

5 別人のように変化……尽きることない“声の引き出し”

その片鱗を感じられるのが、音楽活動。上白石萌音さんはこれまでにオリジナルアルバムを4枚リリースしていますが、曲ごとに「声の表情」ががらりと変わるのです。

たとえば、2019年にリリースした「永遠はきらい」は、作詞をYUKIさん、作曲・編曲をヨルシカのn-bunaさんが手掛けています。2020年にリリースされた「白い泥」は、元チャットモンチーの橋本絵莉子さんが楽曲提供をしました。そして、『君の名は。』でブレイクした「なんでもないや」は、RADWIMPSの野田洋次郎さんが作詞・作曲を担当。上白石萌音さんは、数多の著名ミュージシャンと組み、そのたびに異なる声色を生み出してきたのです。

これらを聴いていると、彼女が映像作品で見せているものは、まだまだほんの一部だと思わされます。声優としてのお仕事が多いのも納得ですし、この才能が今後どう俳優活動に影響を及ぼしていくのか、非常に気になるところです。

まとめ

自分だけのゾーンを確立しながらも、まだまだ可能性を感じさせる上白石萌音さん。今後は、深津絵里さん、川栄李奈さんとトリプル主演する『連続テレビ小説 カムカムエヴリバディ』などの期待作も控えています。

何でもできるからこそ、どこまで“化けて”いくのか、楽しみですね。

※ページの情報は2021年2月4日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「装苑」「CREA」等に寄稿。劇場公開映画の脚本・編集協力や映画祭の審査員等も務める。

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