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ブレない存在感と独特の個性が光る!役者 江口のりこの5つの魅力【映画ライターが分析】

#江口のりこ
2021年4月20日 by

映画ライターのSYOと申します。日本のドラマ・映画界に欠かせない俳優さんの「5つの魅力」を分析する本企画、第23回は主演ドラマ『ソロ活女子のススメ』が放送中の江口のりこさんの魅力を書かせていただきます。

俳優として長いキャリアをお持ちの江口のりこさんの魅力は、正直「江口のりこさんだから」に尽きると感じています。映画でもドラマでも、彼女が登場すると「何をしてくれるんだろう」と期待が高まりますよね。俳優さんには様々なタイプがいますが、彼女のまとう空気は独特で、観ていて飽きることがありません。

今回は、そんな彼女の“武器”を、5つのパートで考えていきたいと思います。

引用:https://twitter.com/TVTOKYO_PR

1 決してブレない、泰然とした「存在感」

江口のりこさんの出演作を観ていると、毎度その存在感に驚かされます。役として、あるいは役者としての輪郭の太さ、体幹の強さがしっかり感じられるので、どういったテイストの作品でも個性が薄まることがない。大地を踏みしめている感じとでもいうべきか、そこに「いる」という実感が非常にあります。だからこそ、役どころや出演時間にかかわらず、強く印象に残るのでしょう。

最近の作品だと、映画『事故物件 恐い間取り』を観た際に、その特性を改めて感じました。本作は亀梨和也さん演じる芸人が事故物件に憑く怨霊に恐ろしい目に遭わされるホラー映画なのですが、彼に物件を案内するポジションが、江口のりこさん。全くおびえず、ビビることない彼女の“強さ”が、「この人、霊に勝てるのでは……?」という安心感をもたらしていました。また、そこを逆手に取った演出も用意されていたのが印象的でした。つまり江口のりこさんの存在感は、物語に影響を及ぼし、“装置”として機能するレベルなのです。

ドラマでは、やはり『半沢直樹』でしょうか。とにかく熱量の高い演技合戦が繰り広げられることが売りの本作で、堺雅人さん演じる主人公の前に立ちはだかる“強敵”ポジションを任された江口のりこさん。初登場シーンで、完全に場を掌握し、空気をガラリと変えたのは圧巻でした。

2 場の空気を持っていく! 独特な“間”の使い方

ここからはもう少し細かく、江口のりこさんの演技がなぜ目を引くのか?を考えていきたいと思います。個人的に「面白い!」と毎度うならされるのは、間(ま)の使い方。彼女の演技は、間が独特なのです。例えば対話シーンでも、相手からかけられた言葉に対してじっと見つめてから返事をしたり、或いは秒で答えたり……こちらが想像している「テンポ感」を崩した反応を見せてくれるから、「この人(役・役者)は何を考えているのだろう?」と気になってしまうのです。

それは決して作品のノリを破壊する“クラッシャー”的な意味合いではなく、確かな演技力に加え、そこに明確な「意図」が存在するから、江口のりこさんや演出家・監督の狙いを知りたくなる。たとえば、ボケに対するツッコミも「うん……えなんで?」と言ったような返しが絶妙です。この場合の「……」には、ちゃんと「キャラクターが考える」という行為が入っていたり、そこに無表情さを足すことで観る側が「これはショックなの、怒ってるの、どっちなの?」と気になってしまったり……。あるいは「違うね。それは、違うね」と即答でズバッと切り捨てる応対(そしてそれがフフッとなる)も彼女の真骨頂といえるでしょう。視聴者や観客の興味を引き付け、能動的に参加させる手腕に長けているイメージがあります。

3 つぶやきからのシャウト! セリフの発し方がクセになる

2の“間”に付随して効果的なのは、江口のりこさんのセリフの強弱と緩急、或いは感情のアップダウン。前述した「うん……えなんで?」についても、「うん」と「えなんで」の間で声のボリュームが全く違っていることがよくあります。これが実に面白い。アクション(攻めの演技)は勿論、リアクション(受けの演技)のバリエーションが豊富だからこそ、できる技といえるでしょう。

言葉にしてしまうと細かい部分に見えてしまうかもしれませんが、これはなかなか大変な作業です。たとえば日常で人と話すとき、僕たちは知らず知らず相手にトーンを合わせますよね。それは映画やドラマでも同じで、演技派の役者さんであればなおさら、相手役の呼吸を感じ取り、綺麗に合わせていくもの。江口のりこさんもしっかり合わせつつ、ここぞという場面で崩してくる。しかもそのアップダウンがシームレスにつながっているから、俗に言う「聞かせゼリフ」のような浮いたものになっていない。

江口のりこさんが今泉力哉監督の映画『愛がなんだ』に出演した際、異彩を放ちながらもちゃんと「その世界観における異彩」の範疇に収めていて、改めて彼女の非凡なセンスを感じたのでした。

4 主役にちょっかいをかける、「いないと困る」存在

全10話や11話、同じキャラクターが何度も登場するテレビドラマにおいては、マンネリを避けるためにも江口のりこさんの存在が必要不可欠。狂言回し的なポジションもこなせるし、主人公をいじる「姉貴分」的な存在でもいい味を出してくれます。毎クール様々なドラマに出演し続けているのも、彼女にしかできない役割がしっかりとあればこそでしょう。

ドラマ『ウチの夫は仕事ができない』では、松岡茉優さん演じる主人公の義理の姉を好演。クセが強いしエネルギッシュだけど愛情深い、素敵なキャラクターを作り上げていました。吉高由里子さんの主演ドラマ『わたし、定時で帰ります。』では、主人公の行きつけの中華料理屋の店員に扮しました。一見ステレオタイプなキャラクターに思えるかもしれませんが、「次はいつ登場するんだろう」と観客を心待ちにさせてしまうほど、魅力的に表現。多くの作り手にとって「画面のどこかにいてほしい、むしろいないと困る存在」なのだと思います。

ドラマ『その女、ジルバ』では、ちょっと意地っ張りだったり弱さもあったりする不完全さがほほ笑ましいキャラクターをこれまた見事に演じていました。作る側にとっては「いてほしい」、観る側にとっては「また会いたい」と思える存在。やはり江口のりこさんは、特別です。

5 自分らしく、“異物”であり続ける「カッコよさ」

1~4の全ての根底にある魅力として、江口のりこさん自身のイメージは「一貫性」かと思います。そしてその一貫性は、「ブレない強さ」とも言い換えられます。江口のりこさんが僕たちに見せてくれる姿は、どれも自分らしく筋が通っていってカッコいい。特に素敵だなと思うのは、「異物であること」をいとわないキャラクターを多く演じていることです。

自分らしく生きるよりも、本音を隠して周囲に合わせてしまう瞬間は、誰の身にもあるかと思います。そんな中で「自分はこうしたいからこうする」をちゃんと表明して、行動に移す。ドラマ『ソロ活女子のススメ』は、まさに彼女のカッコよさと企画が合致した作品かと思います。

1人で焼肉に行ったり、動物園や水族館、プラネタリウムに行ったり……。ラブホテルでおひとりさまの時間を楽しんでみるエピソードもあって、江口のりこさんの幸せそうな表情を観ているとこちらまでほっこりしてきます。

「一人で楽しむこと」が特別なことに思われない社会になったら良い――。様々な配慮がなされた本作を、ゆくゆくは個々人の価値観を変える契機になると良いな、と感じつつ楽しんでいます。そしてそのオピニオンとしても、江口のりこさんは最適だと思うのです。

まとめ

『ソロ活女子のススメ』は、江口のりこさんにとって民放連続ドラマ初主演作。ますます人気を拡大中の彼女は今後、もっともっと様々なフィールドで活躍していくのでしょう。その姿が見られることを楽しみに待ちつつ、同時に「この先もきっとブレずに進んでいくのだろうな」と安心感も抱きつつ……楽しみに見守っていきたいなと思います。

 

※ページの情報は2021年4月20日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。


SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「新R25」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」

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