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万人に響く共感性と人間味 女優・深津絵里の5つの魅力【映画ライターが分析】

#深津絵里
2021年12月6日 by

TVマガをご覧の皆様、こんにちは。SYOと申します。本サイトで連載中の俳優さんの魅力分析企画、今回は最新出演作「カムカムエヴリバディ」が放送中の深津絵里さん。

1986年、13歳で芸能界デビューをされたという深津絵里さん。透明感のある演技で、今日に至るまで活躍を続けています。栄枯盛衰の激しい芸能界において、30年以上一線を走りながら不可侵のゾーンを築き上げた深津絵里さんは、無二の存在というほかありません。今回は、彼女の魅力を5つのポイントで考えてゆきたいと思います。

引用:Amazon

1 気づくと好きになっている! 観る者を惹きつける“共感性”

引用:Amazon

僕自身は1987年生まれで、この世に生を受けたときから深津絵里さんはご活躍されていました。そのため、初めて彼女の存在を自覚したのは物心ついたタイミング……「踊る大捜査線」が社会現象化したあたりだったかと思います。その後ドラマ「きらきらひかる」や「恋ノチカラ」にどハマりしたわけですが、深津絵里さんが演じる役は性格や境遇が異なるにもかかわらず、いつも観る者の共感を誘うように感じます。コメディでも刑事ドラマでもサスペンスでもSFでも……こう考えると、非常に稀有な表現者ですよね。それを可能にしているのはやはり、彼女自身が持つオーラによるものでしょう。

「きらきらひかる」では人の死に寄り添う監察医、「恋ノチカラ」では新興の広告代理店に転職した女性を演じましたが(どちらも今観ても傑作です)、深津絵里さんが扮するキャラクター自身にも、もちろん演技にも違和感を抱くことがまるでなく、性別や年齢を超えて「わかる」と思えて応援したくなる点が素晴らしい。それを違和感なく見せられるところに、深津絵里さんの最大の魅力があるような気がしてなりません。実際、当時小学生~中学生だった自分は、彼女が演じた役に大変感銘を受けましたし、いまだに大切な礎になっている思い出のドラマです。

2 等身大の役でも万人に響く! ストライクゾーンを限定しない“説得力”

引用:Amazon

では、深津絵里さんのこんこんと湧いてくる共感性を、細分化して見ていきましょう。誰が見ても受け入れられるのは、そこにちゃんと“人”が出来上がっているから。つまり、彼女の演技には、万人を納得させる説得力が伴っている。これは優れた俳優さんの多くが身に着けている才能といえますが、深津絵里さんの場合は等身大のキャラクターを演じることが多いため、なかなかレアケースです。

というのも、等身大のキャラクターというのはある意味で演じやすく、ある意味で難しいからです。年齢や世代が自分に近い役を演じていると、演じる先にある「届ける」が時として埋没してしまうのです。端的に言うと、その役と何かしら(年齢や境遇など)が重なる人にだけビビットに届いて、そこからは外れた層には薄味になってしまう。視聴者が同じような経験をしているからわかる、といったような前提条件に頼る部分が強くなるのです。

しかし深津絵里さんの場合は、その時々の年齢に沿った役を演じながらも、ストライクゾーンが異常に広い。映画「ステキな金縛り」や「ザ・マジックアワー」のようなキャラが立ったコメディであればまだわかるのですが、亡くなった人物として登場する「永い言い訳」のような特殊な作品でも成立しているのは、驚きです。

また、亡くなった夫の霊と再会する妻を演じた映画「岸辺の旅」での演技も圧巻です。第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で黒沢清さんが監督賞を受賞した作品なのですが、言葉で言い表すのが困難なほどの「捉えられない何か」、愛と憎しみと喪失と、様々な感情がないまぜになった状態を見事に表現されていて、深津絵里さんの表情を見れば説明の必要がないレベルです。夫を失った哀しみと、生前の夫の不貞に対する憎しみと、再会できた喜びと――。「人は、こんな顔をするのだ」と思いながらも、納得させられてしまいます。

3 人間的魅力にあふれた、飾らない“可愛らしさ”

引用: FOD

以降2つのポイントでは、より掘り下げて考えていきたいと思います。万人を惹きつける深津絵里さんの演技の魅力は、一言で表すなら「人間味」。それをさらに区分すると「可愛らしさ」と「弱さ」ではないでしょうか。

まずは前者の「可愛らしさ」について。これは深津絵里さんご本人の魅力にも通じますが、彼女が演じる役は表面的ではなく、その本質が可愛らしい。たとえば「恋ノチカラ」では堤真一さん演じる上司に食って掛かったり、ズバズバものを言うキャラクターを演じていますが、そこに一生懸命さであったり人当たりの良さ、屈託のなさが見えるので、人間的な魅力が倍増しています。落ち込んで泣いてしまうシーンは視聴者に「慰めてあげたい」と思わせるし、喜んでいるシーンではこちらも嬉しくなる(イカ墨パスタを食べてニコッと笑うシーンは最高!)。

電気がなくなった世界での苦労をコメディタッチで(時にシリアスに)描く映画「サバイバルファミリー」では、泥まみれで七転八倒する母親役に挑戦。演じている際は大変だったかと思いますが、物語の中で役が苦労を重ね、ぼやいている姿すらも不思議とキュートに感じられます。四姉妹の波乱万丈の人生を描く映画「阿修羅のごとく」では堅物の三女を演じており、彼女の表情が柔らかくなる瞬間に観る者の心もグッと引き寄せられます。

4 人間味を引き立たせる、シリアスな役柄で魅せる“弱さ”

悪人,動画

引用: FOD

では次に、「弱さ」について。深津絵里さんはシリアスな作品にも多く出演しており、その中で魅せる苦悩や葛藤といった生々しい表情もまた、強く印象に残ります。先ほどの「共感性」にも通じますが、本気で悩み、苦しみ、それでも前に進もうとする姿に嘘がないからこそ、観る者の心の奥深くまで飛び込んでくるのでしょう。

その最高峰といえるのが、国内外で絶賛を浴びた映画「悪人」です。出会い系サイトで会った男に心惹かれ、彼が人を殺したと知ってもなお、愛そうとする女性という非常に難しい役に果敢に挑戦していますが、深津絵里さんの震えながらも相手役の妻夫木聡さんをまっすぐに見つめようとする瞳、そのまなざしは観終えた後何年経っても消えることはないのではないでしょうか。戸惑うという“弱さ”がちゃんとあるからこそ、その先にある“決意”に胸をかきむしるほど感動させられてしまう――。もし未見の方は、ぜひこの機会にご覧いただければと思います(ちなみに妻夫木さんとはドラマ「スローダンス」で全く違う男女を演じており、ふたりの演技の幅広さに唸らされます)。

そのほかのシリアスな役どころだと、先ほどご紹介した「岸辺の旅」や、ドラマ「空から降る一億の星」のようなダークな方向に歩んでいくキャラクターもそうですし、人ならざる者を演じた映画「寄生獣」では、無感情の中に垣間見せる“愛”に涙を誘われます。

また、深津絵里さんの出世作であり、代表作の一つである「踊る大捜査線」シリーズで演じた恩田すみれは、「可愛らしさ」と「弱さ」のハイブリッドな役柄といえます。一見するとクールで人に壁を作りがちに見えますが、時折見せる可愛らしさが大きな魅力。そして他者と距離を置く背景には、心に強いトラウマを残す過去の事件が絡んでいて――。「どうか幸せになってほしい」と自然と思える、名キャラクターに成長したのは、深津絵里さんの実力あってこそかと思います。

5 耳から感情が流れ込む、憂いを含んだ“声”

引用:Amazon

では最後に、1~4を可能にしている深津絵里さんの武器のひとつ、「声」について書いていきたいと思います。深津絵里さんといえば、とにかく声が清らか。それだけでなく、どこか泣きたいような気持ちにさせられてしまう“エモさ”があります。

映画以外だと、リリー・フランキーさんと夫婦を演じた大和ハウスのCMがその好例かと思います。落ち着いたトーンで淡々と語られるセリフは耳に心地よく、それでいて切なさと優しさが入り混じっていて、実に豊かな感情を含んでいました。先に挙げた「悪人」での「声が泣いている」演技は天晴れとしか言いようがありませんし、実直な家政婦に扮した映画「博士の愛した数式」では、80分しか記憶がもたない数学者(寺尾聰さん)に声でも寄り添い続ける姿が印象的でした。「寄生獣」ではその声にあえて制限を設け、感情を殺していましたが、そこからはみ出してくるものが逆説的にドラマティックに響いてくる効果をもたらしていました。

まとめ

現在放送中の「カムカムエヴリバディ」では深津絵里さんの出番がいつになるのか、多くの視聴者が期待を寄せているそうで、また新たな魅力を発揮してくれることと思います。同時に、確定しているのはきっと今回もまた、僕たちが「好きになってしまう」役を魅せてくれるのだということ。個人的には、映画への復帰も待ちわびています。また再び、深津絵里さんの新作をスクリーンで観たいですね。

※ページの情報は2021年12月6日時点のものです。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。

SYO (映画ライター)

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイトの勤務を経て映画ライターに。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「新R25」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema」

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